日本で最も利用者の多い、首都圏の鉄道。その平均通過人員(輸送密度)の最新データをJR東日本が公表しました。都心部で利用者が増加する一方、首都圏の外縁部では利用者が減少している路線もあります。大船以南の横須賀線は全区間で利用者減少に転じました。
JR東日本が公表した平均通過人員
輸送密度は1日1kmあたりの旅客数を示し、鉄道利用者数の目安とされています。JR東日本では「平均通過人員」という名称でデータを毎年公表しています。
以下では、JR東日本の資料を基に、首都圏エリアの2017年度区間別輸送密度を、多い順にランキングにしてみました。単位は1日1kmあたり利用者数(人)です。( )内は前年度の数字で、前年度比で輸送密度が低下した路線には▼マークを付けました。
順位 | 路線名・区間 | 輸送密度(前年度) |
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1位 | 山手線 品川~田端 | 1,124,463(1,111,243) |
2位 | 埼京線 池袋~赤羽 | 747,124(738,295) |
3位 | 中央本線 神田~高尾 | 686,317(679,307) |
4位 | 東海道本線 東京~大船、品川~鶴見など | 663,141(654,373) |
5位 | 東北本線 東京~大宮(武蔵浦和経由含む) | 630,228(618,066) |
6位 | 総武本線 東京~千葉、錦糸町~御茶ノ水 | 429,567(425,851) |
7位 | 常磐線 日暮里~取手 | 361,889(359,338) |
8位 | 横浜線 東神奈川~八王子 | 231,016(230,126) |
9位 | 南武線 川崎~立川 | 205,221(204,063) |
10位 | 東海道本線 大船~小田原 | 201,513(200,252) |
11位 | 高崎線 大宮~熊谷 | 198,649(198,468) |
12位 | 京葉線 東京~蘇我、市川塩浜~南船橋 | 177,849(174,163) |
13位 | 根岸線 横浜~大船 | 177,431(177,125) |
14位 | 横須賀線 大船~逗子 | 129,936(130,324)▼ |
15位 | 青梅線 立川~青梅 | 123,194(124,059)▼ |
16位 | 武蔵野線 鶴見~西船橋 | 114,143(112,543) |
17位 | 総武本線 千葉~佐倉 | 103,805(103,476) |
18位 | 東北本線 大宮~宇都宮 | 95,508(94,196) |
19位 | 川越線 大宮~川越 | 88,962(88,483) |
20位 | 外房線 千葉~茂原 | 86,013(86,393)▼ |
21位 | 常磐線 取手~勝田 | 62,217(61,589) |
22位 | 内房線 蘇我~君津 | 56,978(56,995)▼ |
23位 | 高崎線 熊谷~高崎 | 46,634(46,291) |
24位 | 成田線 佐倉~成田 | 43,187(42,320) |
25位 | 東海道本線 小田原~熱海 | 42,398(41,061) |
26位 | 上越線 高崎~新前橋 | 39,443(38,717) |
27位 | 中央線 高尾~甲府 | 37,617(37,253) |
28位 | 相模線 茅ヶ崎~橋本 | 29,379(28,903) |
29位 | 横須賀線 逗子~久里浜 | 26,053(26,510)▼ |
30位 | 五日市線 拝島~武蔵五日市 | 25,368(25,641)▼ |
31位 | 成田線 成田~成田空港 | 24,592(23,383) |
32位 | 八高線 八王子~高麗川 | 20,610(20,449) |
33位 | 常磐線 勝田~いわき | 19,596(19,651)▼ |
34位 | 川越線 川越~高麗川 | 19,587(19,360) |
35位 | 成田線 成田~我孫子 | 18,163(18,204)▼ |
36位 | 伊東線 熱海~伊東 | 17,297(16,749) |
37位 | 東北本線 宇都宮~黒磯 | 15,988(15,284) |
38位 | 両毛線 桐生~新前橋 | 15,177(15,169) |
39位 | 上越線 新前橋~渋川 | 14,252(14,300)▼ |
40位 | 鶴見線 鶴見~扇町ほか | 14,115(14,180)▼ |
41位 | 総武本線 佐倉~銚子 | 11,199(11,373)▼ |
42位 | 両毛線 小山~桐生 | 8,946(8,976)▼ |
43位 | 成田線 成田~佐原 | 8,540(8,578)▼ |
44位 | 日光線 宇都宮~鹿沼 | 8,513(8,265) |
45位 | 東金線 大網~成東 | 8,149(8,374)▼ |
46位 | 南武線 尻手~浜川崎 | 7,777(7,429) |
47位 | 水戸線 小山~友部 | 7,083(7,059) |
48位 | 水郡線 水戸~常陸大宮 | 5,478(5,557)▼ |
49位 | 外房線 茂原~安房鴨川 | 5,259(5,332)▼ |
50位 | 信越本線 高崎~横川 | 4,429(4,465)▼ |
51位 | 日光線 鹿沼~日光 | 4,298(4,054) |
52位 | 青梅線 青梅~奥多摩 | 3,979(4,045)▼ |
53位 | 上越線 渋川~水上 | 3,685(3,754)▼ |
54位 | 成田線 佐原~松岸 | 3,165(3,227)▼ |
55位 | 八高線 高麗川~倉賀野 | 3,103(2,990) |
56位 | 内房線 君津~安房鴨川 | 3,031(3,187)▼ |
57位 | 吾妻線 渋川~長野原草津口 | 3,008(3,027)▼ |
58位 | 水郡線 上菅谷~常陸太田 | 2,573(2,603)▼ |
59位 | 烏山線 宝積寺~烏山 | 1,459(1,488)▼ |
60位 | 久留里線 木更津~久留里 | 1,591(1,643)▼ |
61位 | 鹿島線 香取~鹿島サッカースタジアム | 1,157(1,171)▼ |
62位 | 水郡線 常陸大宮~常陸大子 | 1,001(1,010)▼ |
63位 | 吾妻線 長野原草津口~大前 | 379(383)▼ |
64位 | 久留里線 久留里~上総亀山 | 103(122)▼ |
インバウンド路線は好調
輸送密度が増加しているのは、東京都心に近いエリアです。人口減少の時代ですが、東京の人口は増え続けており、それが輸送密度に反映されている形です。
また、インバウンドの影響を受ける路線も好調です。成田線の成田~成田空港間は前年度比5%増の24,592。日光線鹿沼~日光間は同6%増の4,298を記録しました。
横須賀線は2015年度がピーク
ただ、沿線に鎌倉市という観光地を抱える横須賀線は、インバウンドの恩恵が数字に出ていません。14位の大船~逗子間は、利用者が減少に転じています。外国人観光客が多い路線にもかかわらず、利用者が低下しているということは、通勤・通学の需要がそれだけ減っているのでしょう。
横須賀線は逗子~久里浜間の利用者も減り始めていて、大船~久里浜間の全線でみると、2015年度を直近のピークとして利用者減に転じています。いまのところ減り幅は対前年比1%未満と小さいのですが、沿線の横須賀市で人口減少が顕在化していることもあり、今後が気がかりです。
千葉県も低下が目立つ
輸送密度の低下が目立つのは、千葉県です。とくに、高速道路延伸の影響を受けている内房線は深刻で、君津~安房鴨川間は3,031にまで落ち込みました。この区間には毎時1本の普通列車が運行されていますが、この列車本数をどう維持していくかが、これからの課題になるかもしれません。
房総半島のローカル線として知られる久留里線では、末端部(久留里~上総亀山)の輸送密度が103となりました。2008年度には330ありましたので、10年で3分の1になってしまったわけです。大きな災害などが生じた場合、そのまま廃止になってもおかしくない数字で、こちらも気になります。(鎌倉淳)