2026年3月ダイヤ改正で実施した、函館線特急の自由席廃止の影響が、利用実績に表れています。
公表された利用状況によると、4月、5月ともに、札幌~岩見沢間の特急利用実績が前年比で激減し、JR北海道は「全車指定席化による利用動向の変化」を認めました。
対前年比2割減
JR北海道は、道北方面に向かう特急「ライラック」「カムイ」などについて、2026年3月ダイヤ改正で全車指定席化し、自由席を廃止しました。
同社はこのほど、5月の利用状況を発表し、これらの列車が走る札幌~岩見沢間について、特急利用者が前年比80%に減少したことを明らかにしました。
発表資料では、「道北方面で特急列車の全車指定席化によるご利用動向の変化が見られた」と言及し、全車指定席化による自由席廃止の影響を認めました。

ダイヤ改正後に落ち込み
道北方面の特急利用実績を振り返ると、2025年12月が97%、2026年1月が86%、2月が91%、3月が89%、4月が84%、5月が80%と推移しています。
1月2月も大雪などの影響で苦戦していましたが、ダイヤ改正後の影響を全面的に受ける4月から、落ち込みが激しくなっていることがわかります。
同社は4月についても、「道北方面では特急列車の全車指定席化により、お客様のご利用動向の変化が見られた」と説明しており、2ヶ月連続で、全車指定席化の影響を認めた形です。
他方面の実績
他方面の5月実績では、道南方面(東室蘭~苫小牧)が102%、道東方面(南千歳~トマム)が96%となっています。
道南、道東方面は、2024年に全車指定席化していますので、今年の利用実績に自由席廃止の影響は出ていません。
道東方面が微減ですが、JR北海道は「特急トクだ値」の設定日減少を理由に挙げています。
利用しづらく
指定席は事前に座席を確保できるメリットがあるものの、自由席に比べると購入が面倒です。また、指定席料金は自由席料金より高く、割引きっぷも縮小されたため、実勢価格も値上がりしました。
これまで自由席を利用していた出張客や短距離利用者からは、「思い立ってすぐ乗りにくくなった」「手が届きにくくなった」との声も上がっていて、特急を利用しづらくなったのは確かでしょう。
普通列車利用に至らず
札幌~岩見沢間を普通列車も含めた利用者でみても、5月は対前年比79.9%と2割の減少です。すなわち、特急利用者の減少が、そのまま路線全体の利用者減少につながっています。
特急利用をやめた「2割」は、JRの普通列車に乗るのではなく、旅行をやめるか、バスやマイカーなど他の交通機関に移ったことを意味しています。
収入面では健闘
ただし、収入面で見ると、5月の中長距離収入は、対前年比97.5%と健闘しています。
これは道南、道東方面を含めた全路線の数字ですが、道内主要3線区の特急利用状況平均の90.5%を上回っています。
つまり、利用者の減少ほど、収入は減っていないわけです。
道北方面へ向かう函館線特急単独の収入状況は公表されていませんが、利用者が2割減ったとしても、収入が2割減ったわけではないことが推察されます。
イールドマネジメント効果
JR北海道は、2024年春に道南、道東方面で全車指定席化を実施し、割引きっぷにイールドマネジメントを導入しています。
同社は「ライラック」「カムイ」の全車指定席化について、「イールドマネジメントシステム効果を最大化」することを理由に挙げていて、結果を見る限り、その成果が出ていることがうかがえます。
わかりやすく言えば、客が減っても単価を上げたので、収入は大して減っていない、ということです。むしろ、輸送力に余裕が出たので、今後の増収余地は高まった側面もあります。
そう考えると、函館線特急の利用者減少も「想定の範囲内」に収まっているのかもしれません。経営面から「自由席廃止」の成否をみるには、もう少し時間がかかりそうです。(鎌倉淳)























