2040年までに開業する鉄道新線総まとめ。夢の新路線はいつできる?

通勤新線から新幹線、リニアまで

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秋田新幹線新仙岩トンネル

秋田新幹線では、仙岩峠に新トンネルを掘る構想があります。田沢湖線の赤渕~田沢湖間の約15kmで、2021年7月に、秋田県とJR東日本が整備計画の推進に関する覚書を交わしました。

トンネル計画の詳細は明らかになっていませんが、新線区間の最高速度を160km/hに引き上げた場合、秋田新幹線の所要時間が約7分短縮するようです。

覚書締結時に、JR東日本は700億円のうち6割(約420億円)までを負担する方針を表明し、実現への意欲を示しました。

工期は11年を見込みます。開業予定は未定ですが、環境アセスなどを含めると15年程度はかかるとみられ、早くても2030年代後半になりそうです。

新仙岩トンネル
画像:秋田県
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山形新幹線米沢トンネル

山形新幹線では、板谷峠に新トンネルを掘る構想があります。奥羽線庭坂~関根間の約23kmで、JR東日本が2015年に基礎的な調査を開始しました。2022年10月には、山形県とJR東日本が整備計画の推進に関する覚書を交わしました。

新トンネルの仮称は「米沢トンネル」。山形県とJRが2024年度までの予定で地質調査などをおこなっています。新トンネルは200km/h以上で走行できる新幹線仕様で建設される見通しで、完成すれば所要時間が10分程度短縮します。

建設には15年ほどかかる見通し。2025年ごろに事業化が決まったとして、開業は2040年ごろになりそうです。

板谷峠トンネル
画像:後藤源(山形県議会議員)ウェブサイトより
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実現可能性のある路線

ここまでが、事業着手をしたか、事業着手の可能性が高い路線です。最後に、事業化の可能性があるものの、現時点では未定の路線を見て行きましょう。

東京では、新金貨物線の旅客化へ向けて検討が進んでいます。2022年8月から、葛飾区がJR東日本、国土交通省、都などと検討会を開いて計画を検討しています。

国道6号線との踏切問題などがあり、全面的な旅客化は難しい模様です。まずは踏切問題のない新小岩方を第一期として開業後、第二期へと進む段階的整備を模索しているようです。

葛飾区では、2030年頃の第一期開業を目指しています。新線を作るわけではないので、旅客化が決まれば話は早いでしょう。

埼玉高速鉄道の岩槻延伸も、さいたま市長や埼玉県知事が前向きなため、実現可能性があります。2022年12月21日には、中間駅まちづくり方針案がさいたま市議会に報告され、新線建設に向けた環境整備が進んでいることもうかがえます。

相鉄いずみ野線の慶應SFC延伸についても、相鉄新横浜線の開業後、先に進む可能性があります。

瀬谷~上瀬谷間の上瀬谷ラインは棚上げになっていますが、米軍上瀬谷通信施設跡地の再開発計画が固まれば、実現に向け動き出すかもしれません。

大阪では、IRが決まればJR桜島線の舞洲、夢洲延伸の可能性があります。京阪も中之島線を九条方面に延伸できないか模索しています。

福岡地下鉄空港線を、福北ゆたか線方面へ延伸する構想もあります。4つのルート案が検討されましたが、いずれも採算性に課題があり、実現するかどうかは不透明です。

鹿児島ではウォーターフロントの再開発にあわせて、市電を延伸する計画があります。ただ、新型コロナ以降、検討は停滞していて進展がみられません。

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新幹線は?

新幹線については、具体化しているのは北海道新幹線の札幌延伸と、北陸新幹線の大阪延伸だけです。最後の整備新幹線として、西九州新幹線の新鳥栖~武雄温泉間をフル規格で作る可能性もありますが、佐賀県が受け入れればの話です。

整備新幹線の建設が一段落すれば、「次の整備新幹線」の建設が視野に入ります。とくに、四国新幹線や東九州新幹線で沿線での建設運動が盛り上がりつつあります。どこまで実現するかは見通せませんが、国交省は「単線新幹線」や「在来線高速化」など新たな新幹線の形を模索しており、四国などでいずれ事業化に至る可能性は高いでしょう。

2023年にも、新たな新線計画が事業化に向け動き出すかもしれません。どの路線も開業を楽しみにしたいところです。(鎌倉淳)

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