「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第14弾 奈良~彦根を分析する。難ルートで泣き面に蜂

決して地道がいいわけではないんだよ

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第14弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、東大寺~彦根城で競う企画です。勝敗を分析してみました。

なお、以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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宇賀なつみ、貴島明日香が登場

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。

2022年12月28日に放送された第14弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、奈良県奈良市の東大寺~滋賀県彦根市の彦根城で乗り継ぎ対決しました。

途中のチェックポイントは、こちくや、山本園、近江神宮、つじ本、ブルーメの丘の5箇所です。

バスチームのメンバーは、太川陽介、宇賀なつみ、岩尾望。鉄道チームのメンバーは村井美樹、貴島明日香、原西孝幸です。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーが利用できます。

バスVS鉄道対決旅第14弾
Ⓒテレビ東京

ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスvs鉄道 第14弾 古都と戦国の地で“急がば回れ”SP
【出演】太川陽介、宇賀なつみ、岩尾望(フットボールアワー)、村井美樹、貴島明日香、原西孝幸(FUJIWARA)
【放送日】2022年12月28日(水) 17時55分~22時00分(テレビ東京系列)

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バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイが率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。☆はチェックポイントです。

▽1日目
東大寺大仏殿・国立博物館09:59→10:08近鉄奈良駅10:18→10:48イオンモール大和郡山11:05→11:11郡山市役所→徒歩0.3km→☆こちくや→徒歩0.3km→郡山市役所12:37→13:10(遅延13:25)近鉄奈良駅13:59→14:33加茂駅東口/西口14:49→15:21和束清水橋→徒歩6.7km→16:46☆山本園17:20→徒歩0.4km→朝宮17:24→18:04京阪石山寺18:07→18:15石山駅18:20→18:36大津駅

▽2日目
大津駅07:40→07:52柳ヶ崎→徒歩1.1km→08:15☆近江神宮→徒歩1.1km→柳ヶ崎09:52→10:20(遅延10:30)堅田駅→徒歩3.7km→☆11:28つじ本12:01→徒歩1.6km→12:33木の浜農協前12:51→13:02新八代→タクシー2.7km、1,130円→13:13野洲駅13:29→13:44村田製作所14:05→タクシー6.2km、2,570円→14:16六枚橋→徒歩0.2km→14:18八興前14:24→15:10幅野町→徒歩0.7km→☆ブルーメの丘16:17→徒歩0.7km→幅野町16:25→16:56川合17:18→タクシー6.8km、2,930円→17:37八日市駅17:57→18:24能登川駅→タクシー約8km、3,290円→河瀬駅付近→徒歩約3.5km→19:53松田団地北

能登川駅から彦根城に向かう途中でタクシー代が尽き、歩いている途中でタイムアップとなりました。タイムアップの時刻は20時前でした。

米原駅発の新幹線「ひかり」最終列車の発車時刻は21時00分です。それに間に合うようにエンディングを彦根城で撮影するには、このタイミングでタイムアップを宣告するほかなかったのでしょう。


※Googleマップは概略です。

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鉄道チームの実際ルート

つぎに、村井率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。

▽1日目
近鉄奈良10:16→10:21大和西大寺10:25→10:31近鉄郡山→徒歩0.5km→☆こちくや(ポイ1,150円)→徒歩0.5km→近鉄郡山12:41→13:35京都13:52→14:15草津14:25→14:49貴生川15:24→15:49信楽→徒歩7.5km→17:30頃☆山本園19:30→徒歩7.5km→20:50信楽21:00→21:23貴生川21:29→22:04草津22:26→22:37大津

▽2日目
びわ湖浜大津07:57→08:04近江神宮前→徒歩0.4km→08:15☆近江神宮→徒歩1.0km→09:28大津京09:52→10:06堅田→徒歩3.8km→☆つじ本12:34→(道迷い)→セブンイレブン守山水保町店13:07→タクシー9.3km、4,010円→13:30守山13:48→13:52草津13:57→14:21貴生川14:28→14:47日野→徒歩2km→松尾交差点15:32→タクシー4.7km、2,120円→15:40☆ブルーメの丘17:08→タクシー6.7km、2,210円→日野駅17:37→18:30高宮18:31→18:40彦根→タクシー0.8km、500円+徒歩0.9km→19:00彦根城

近江鉄道線で彦根に到着したのが18時40分。そこから残金を投じてタクシーで急ぎ、彦根城にゴールしたのは19時頃でした。

ということで、第14弾は、鬼軍曹率いる鉄道チームの勝利で終わりました。例によって、両チームがとったルートについて検証してみましょう。

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バスチームの検証

最初にバスチームの検証です。1日目、ルイルイ一行は、近鉄奈良駅からイオンモール大和郡山を経て郡山市役所に至り、第一チェックポイントのこちくやに到着しました。このとき、後発の法隆寺行きに乗るという方法もありました。その場合は、以下のようになります。

▽1日目
近鉄奈良駅10:43→11:17郡山市役所

実際ルートの郡山着より、時刻表上で6分遅くなります。大差ないのでどちらも問題はなく、乗り換えなしの直行で行くという選択肢も悪くはありませんでした。

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朝宮で乗り遅れていたら

1日目、ルイルイの最大の難関は、第2チェックポイントへのアプローチです。結論から言ってしまうと、ルイルイ一行が選んだ和束方面へのバス以外に乗り継げそうな路線はありません。近鉄奈良から加茂駅を目指し、さらに和束清水橋で下車したルートは完璧です。

加茂から和束方面へのバスは毎時1本程度しかなく、ルイルイが乗車した13時49分発に間に合わなければ、当日中に大津まで行くことはできません。その点でも、ぬかりない乗り継ぎとなっています。

1日目で気になった点があるとすれば、第2チェックポイント山本園でのミッションが長引いたらどうなっていたか、という点でしょう。あと数分遅かったら、朝宮17時24分発京阪石山寺行きに間に合いませんでした。

乗り遅れた場合は、以下のようになります。

▽1日目
山本園→徒歩0.4km→朝宮18:39→19:05大石小学校19:11→19:33石山駅→徒歩4.6km→大津駅

朝宮を約1時間後に出発するバスに乗れば、途中の大石小学校での乗り継ぎを経て、石山駅に19時半ごろに到着できます。石山駅から先は、最終バスが出てしまっているのですが、4.6kmを歩けば、その日のうちに大津駅に到着できます。

つまり、山本園で時間がかかっても、1時間ほど歩けば挽回可能なので、致命的とまではいえません。夜遅くに歩けなくても、翌朝に歩けば同じ結果が得られます。

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堅田着のバスが定時だったら

2日目、バスチームは第3チェックポイント近江神宮でのミッションを終えたあと、堅田駅経由で第4チェックポイントのつじ本に向かいます。堅田駅到着は、バスが定時なら10時20分ですが、10分ほど遅延して10時30分ごろでした。つじ本は琵琶湖大橋の向こうにあり、橋を渡るバスは11時15分です。これを待たずに、ルイルイは琵琶湖大橋を歩いて渡って、3.7km先のチェックポイントへ急ぎました。

宇賀と岩尾がチェックポイントに着いたのが11時16分。しかし、バス停の時刻を確認したルイルイは道に迷い、到着は11時28分になってしまいました。結局、堅田発のバスを待っても到着時刻はほとんど変わらなかった、ということについては、番組で触れられていた通りです。

ここで気になるのは、第4チェックポイントの焼肉ミッションの後、バスチームは目標としていた琵琶湖大橋東詰11時55分発に、少しの差で乗れなかったことです。ミッション終了が12時01分で、バス停まで約400mなので、あっと10分余早くミッションが終わっていれば、間に合っていたでしょう。つまり、堅田着のバスが遅れずに、ルイルイの道迷いがなければ、このバスに乗れていたことになります。

その場合は、以下のようになります。

▽2日目
10:20堅田駅→徒歩3.7km→☆11:10つじ本11:45→徒歩0.4km→琵琶湖大橋東詰11:55→12:15市役所前→タクシー3.3km、1,310円→12:15野洲駅12:28→12:43村田製作所12:48→13:09近江八幡駅/近江八幡駅南口13:20→14:10幅野町→徒歩0.7km→☆ブルーメの丘→徒歩0.7km→幅野町15:25→15:56川合→タクシー6.8km、2,930円→八日市駅16:57→17:24能登川駅17:30→17:45愛知川駅→タクシー13.7km、5,180円→彦根城博物館→徒歩0.9km→彦根城

琵琶湖大橋駅東詰から乗ったバスを、守山市役所で降り、タクシーで野洲駅へ。12時28分発の村田製作所行きに乗れれば、近江八幡駅までの接続が良く、幅野町までうまく乗り継げます。結果として、全体スケジュールが1時間前倒しになり、能登川から先の愛知川駅までバスで到達できます。

愛知川駅の時点で5,000円あまりのタクシー代を残していますので、そのまま彦根市中心部に入れそうです。上記の乗り継ぎ例のように、タクシー代が彦根城まで届いたとすれば、18時30分頃にはゴールできていたでしょう。鉄道チームのゴールが19時頃なので、余裕の勝利です。

要するに、堅田駅に到着するバスが遅延せずに、ルイルイが琵琶湖大橋東詰で道に迷わなければ、バスチームは難しい乗り継ぎなしに勝利できていた可能性が高かった、ということです。これが、今回の最適解といえそうです。

バスが10分程度遅れることはよくある話としても、もう少し遅延が小さく、道迷いがなければと、惜しまれるポイントです。

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堅田駅からタクシーを使ったら

バスが遅延して堅田駅に到着した後、先を急いで、タクシーに乗っていたらどうなっていたかも検証してみます。

▽2日目
堅田駅10:30→タクシー3.7km、1,670円→10:40☆つじ本11:25→徒歩1.6km→11:45木の浜農協前11:51→12:02新八代→タクシー2.7km、1,130円→野洲駅12:28→12:43村田製作所12:48→13:09近江八幡駅/近江八幡駅南口13:20→14:10幅野町→徒歩0.7km→☆ブルーメの丘→徒歩0.7km→幅野町15:25→15:56川合→タクシー6.8km、2,930円→八日市駅16:57→17:24能登川駅17:30→17:45愛知川駅→タクシー9.2km、3,270円→宇尾18:26→18:34佐和町→徒歩1.7km→彦根城

堅田駅からタクシーを使っても、上記「堅田定時ルート」に収束します。愛知川駅からタクシーを使い、南彦根駅発のバスを手前の宇尾で捕まえれば、18時半頃には彦根市街地に入れます。

ただ、堅田駅からタクシーを1,600円ほど使うので、そのしわ寄せが最後に来て、彦根直前でタクシー代が足りなくなるかもしれません。上記の試算では、タクシー代が9,540円とギリギリです。現実には、最後にタクシー代が不足してしまう可能性もあるでしょう。

それでも、愛知川駅~宇尾間で1km程度を歩けば間に合いそうで、彦根城に19時前に到着することは可能でしょう。つまり、堅田駅からタクシーを使っても、バスチームに僅差で勝利のチャンスがありました。

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新八代から歩いていたら

実際ルートに戻ります。バスチームは、第3チェックポイントのつじ本で焼肉のミッションを終え、近くの木の浜農協前まで歩いてバスを捕まえます。乗車前にタクシーを手配して、終点手前の新八代で下車、そのまま野洲駅に向かいました。

この段取りは見事です。ただ、新八代から野洲駅までは3km足らずで、歩いても30分程度。もし歩いていたら、どうなっていたでしょうか。

▽2日目
つじ本→徒歩1.6km→木の浜農協前12:51→13:02新八代→徒歩2.7km→野洲駅13:40→13:51鏡口→タクシー4.1km、1,580円→八興前14:24→15:10幅野町→☆ブルーメの丘16:17→タクシー9km、3,380円→山上新田口16:58→17:20浜野17:28→17:54能登川駅→タクシー11km、4,100円→宇尾18:26→18:34佐和町→徒歩1.7km→彦根城

新八代から野洲駅まで歩けば、一行が実際に乗った13時29分発村田製作所行きには間に合わず、13時40分発の三井アウトレットパーク行きバスになりそうです。このバスは、村田製作所の先にある鏡口を経由します。

そにタクシーを呼んでおき、八興前まで行けば、幅野町(ブルーメの丘)方面へのバスを捕まえられます。村田製作所からタクシーに乗るよりも乗車距離が短くなり、タクシー代を節約できます。

そして、ブルーメの丘からは、実際ルートと逆の永源寺方面へタクシーで向かい、永源寺発のバスを山上新田口という停留所で捕まえます。このバスを、八日市の手前の浜野で降車すれば、一本早いバスで能登川駅行きのバスに乗ることができます。これを「永源寺ルート」と呼びましょう。

永源寺ルートを使うと、能登川駅には18時前に到着します。実際ルートより30分早いだけですが、手元にタクシー代が多めに残っています。それを使ってタクシーで南彦根駅手前の宇尾まで行き、バスに乗り継いで佐和町で下車すれば、「堅田タクシールート」と同じで、僅差で勝利できていた可能性があります。

計算上のタクシー代は9,060円ですので、最後にタクシー代が余っていれば、佐和町から彦根城の入口まで、タクシーを呼べれば使えます。その場合、勝利の可能性がより高まったでしょう。

この乗り継ぎは、第5チェックポイントのブルーメの丘まで、できる限りタクシー代を節約する一方、最後に集中投入するのがポイントです。新八代でタクシーに乗らない、ブルーメの丘で情報を得る、という少なくとも二つの条件を満たすことが前提で、難易度は高いです。

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川合でタクシーにすぐ乗れていたら

実際ルートに戻ります。バスチームは、第5チェックポイントのブルーメの丘でのミッションも順調にこなし、幅野町16時25分のバスで出発します。川合で下車し、タクシーで八日市に向かおうとしますが、タクシーが来るのが少し遅くなってしまいました。仮に、すぐに乗れていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
16:56川合→タクシー6.8km、2,930円→八日市駅17:27→17:54能登川駅→タクシー8km、3,290円→河瀬駅付近→徒歩3.5km→19:23松田団地北19:28→19:41佐和町→徒歩1.7km→彦根城

川合でタクシーにすぐに乗れていれば、八日市駅で能登川駅行きの1本前のバスに乗ることができました。その後、実際ルート通りにタクシーに乗り、河瀬駅付近で降りて歩いたとして、松田団地北のバス停に着くのが19時20分すぎ。ちょうど19時28分発のバスがあり、それに乗れば20時ごろに彦根城にゴールできていたでしょう。

もちろん、これでは勝利できません。しかし、20時にゴールしていれば、エンディングを撮影した後、米原発東京行き最終の「ひかり」(21時発)には間に合いそうです。つまり、タイムアップにはなりませんでした。

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松田団地北からバスに乗っていたら

実際ルートに戻ります。バスチームは、能登川駅からタクシーに乗り、タクシー代が尽きてからは歩いてゴールを目指します。しかし、途中の松田団地北バス停を過ぎたあたりでタイムアップを宣告されました。

松田団地北からの最終バスは遅く、彦根駅方面へ20時27分があります。これに乗ると、次のようにゴールできていました。

▽2日目
松田団地北20:37→20:50佐和町→徒歩1.7km→彦根城

ゴール時刻は21時を過ぎていたでしょう。この時間からでは新幹線で東京に帰れませんので、松田団地北でバスを待つ選択をしたとしても、その時点でタイムアップの宣告となっていたことに変わりはなさそうです。

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