「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第14弾 奈良~彦根を分析する。難ルートで泣き面に蜂

決して地道がいいわけではないんだよ

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鉄道チームの検証

つづいて、鉄道チームの検証です。鉄道チームのルートを再掲しておきましょう。

▽1日目
近鉄奈良10:16→10:21大和西大寺10:25→10:31近鉄郡山→徒歩0.5km→☆こちくや(ポイ1,150円)→徒歩0.5km→近鉄郡山12:41→13:35京都13:52→14:15草津14:25→14:49貴生川15:24→15:49信楽→徒歩7.5km→17:30頃☆山本園19:30→徒歩7.5km→20:50信楽21:00→21:23貴生川21:29→22:04草津22:26→22:37大津

▽2日目
びわ湖浜大津07:57→08:04近江神宮前→徒歩0.4km→08:15☆近江神宮→徒歩1.0km→09:28大津京09:52→10:06堅田→徒歩3.8km→☆つじ本12:34→(道迷い)→セブンイレブン守山水保町店13:07→タクシー9.3km、4,010円→13:30守山13:48→13:52草津13:57→14:21貴生川14:28→14:47日野→徒歩2km→松尾交差点15:32→タクシー4.7km、2,120円→15:40☆ブルーメの丘17:08→タクシー6.7km、2,210円→日野駅17:37→18:30高宮18:31→18:40彦根→タクシー0.8km、500円+徒歩0.9km→19:00彦根城

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柘植ルート

第1チェックポイントの大和郡山までは、奈良から近鉄電車で15分もあれば到着します。そこまでは簡単ですが、その後、第2チェックポイントの最寄駅である信楽へは、鉄道で向かうには大回りです。アプローチ方法としては、おおざっぱにいって、京都経由と柘植経由の二つがありました。

鬼軍曹は、京都を経由するルートを選択しました。では、柘植ルートを選んだらどうなっていたでしょうか。第1チェックポイント終了後、約700m離れたJR郡山駅を利用して柘植に向かった場合の乗り継ぎを見てみます。

▽1日目
こちくや→徒歩0.7km→郡山12:44→12:48奈良13:20→13:34加茂13:40→14:38柘植15:01→15:19貴生川15:24→15:49信楽

貴生川15時24分発の列車で信楽に向かうのは、実際ルートと同じです。つまり、貴生川で実際ルートに収束します。

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タクシー代を温存

鉄道チームは、貴生川から第2チェックポイントまでは徒歩で往復。夜遅い列車を乗り継いで、その日のうちに大津市内に入り宿泊することができました。信楽高原鉄道が22時台まで運行しているなど、このエリアの終電は遅いので、1日目はミッションに少々手こずっても、大津市内に宿泊することはできていたでしょう。

つまり、よほどのことでなければ、両チームとも2日目午前8時すぎに近江神宮に揃う設定になっていた、ということです。

逆にいえば、鉄道チームが信楽駅からの往復でタクシーを使う意味はありませんでした。意味のない無駄遣いをせず、第2チェックポイント往復を徒歩で乗り切ったことで、鉄道チームはタクシー代を温存し、2日目が、俄然、楽になったといえるでしょう。

堅田駅に戻っていたら

つづいて2日目です。近江神宮での第3チェックポイントを終え、堅田経由から徒歩で琵琶湖大橋を渡り、第4チェックポイントのつじ本に至りました。

ここで鬼軍曹が少し検討したのは、ミッション終了後、堅田駅へ戻るか、守山駅へ向かうかという点です。堅田駅へは約4km、守山駅へは約11km。堅田駅のほうが近いですが、第5チェックポイントに向かうには大回りです。

鬼軍曹は、店員に時刻表を調べてもらった上で、守山駅に向かいましたが、仮に堅田駅へタクシーで戻っていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
つじ本→タクシー3.8km、1,490円→堅田13:10→13:29山科13:35→13:50草津13:57→14:21貴生川

このように、堅田13時10分発の湖西線列車に乗れれば、草津で実際ルートに追いつきます。堅田から草津までは、山科経由でも40分ほど。列車のタイミング次第ですが、乗ってしまえば、それほど時間はかかりません。

つじ本から堅田駅までは4km弱で、タクシー代は1,490円。実際ルートの4,010円に比べれば半分以下です。つまり、堅田にタクシーで戻っていたら、大回りにはなるものの、その後の到着時刻は変わらず、タクシー代が浮いていたわけです。

ただ、その後の鉄道チームの乗り継ぎをみると、タクシー代を必要とする区間はあまりなく、あえてここで節約する必要性が高いとはいえません。とどのつまり、堅田駅まで戻った方が節約にはなったけれど、その必要性は小さかったように感じられます。

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焼肉ミッションを早く終えたら

ところで、鉄道チームは、第4チェックポイント・つじ本での焼肉ミッションに手こずりました。その後に道迷いもありました。仮に、焼肉ミッションを短時間で済ませ、つじ本にタクシーを呼んでそのまま守山駅に向かっていたらどうなっていたでしょうか。

実際に、つじ本のミッションを終了したのは12時半ごろだったので、それより早く、たとえば12時10分頃にミッションが終わって、タクシーにすぐ乗れたと仮定します。

▽2日目
つじ本→タクシー9.9km、3,650円→守山駅12:48→12:52草津12:57→13:21貴生川13:28→13:47日野駅→徒歩2km→松尾交差点→タクシー4.7km、2,120円→☆ブルーメの丘→タクシー6.7km、2,210円→日野駅16:36→16:58八日市17:11→17:45彦根→タクシー0.8km、500円+徒歩0.9km→彦根城

上記のように、守山駅12時48分の列車に乗れれば、その後の乗り継ぎが1時間前倒しとなります。実際ルートに基づいてそのまま1時間前倒しで進めば、彦根城には18時頃にゴールできていたでしょう。これが鉄道チームの最適解だったように感じられます。

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迷う場面が少なく

今回の鉄道チームには、ルート選択に迷う部分は、ほとんどありませんでした。言葉を換えると、鬼軍曹一行は、想定された乗り継ぎをたどったように思えます。

見落としそうなショートカットもなく、高度な乗り継ぎも必要ありません。つまり、鉄道チームはよほどヘマをしない限り、19時ごろのゴールは動かなかったように感じられます。

焼肉のミッションが順調に終わり、その後の道迷いもなければ、あと1時間早く、18時頃にゴールすることもできたでしょう。ただ、少々の時間オーバーは、信楽高原鉄道と近江鉄道という運行本数の少ない路線で収束する側面もあり、それよりさらに1時間早いゴールは難しかったように感じられます。

逆に、鉄道チームが想定外に遅くなっていた可能性があるとすれば、1日目の第1チェックポイントで、ポイに浪費をしすぎるか、第2チェックポイント往復のうち、片道でタクシーを使ってしまった場合でしょう。

その場合は、2日目にタクシー代が枯渇して、もう1本遅い列車でのゴールとなっていた可能性がありそうです。つまり、今回の鉄道チームの勝因は、1日目に我慢してタクシー代を残し、2日目の使い処で適切に使った、ということでしょうか。

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ゴール時刻比較

最後に、想定されるゴール時刻を、それぞれのチームで比較してみます。

▽バスチーム
S:宇尾17:26→17:34佐和町
S:松田団地北17:27→17:40佐和町
A:松田団地北17:49→18:06佐和町
A:愛知川駅17:45→タクシー→18:15彦根城博物館
B:宇尾18:26→18:34佐和町
B:松田団地北18:37→18:50佐和町
E:松田団地北20:09→20:18佐和町

▽鉄道チーム
S:日野16:36→17:45彦根
B:日野17:37→18:40彦根
C:日野18:07→19:15彦根
D:日野18:37→19:41彦根

佐和町バス停は、彦根駅より約300mほど、彦根城に近いです。徒歩にして3~4分の違いです。

バスチームの場合、能登川駅から彦根方面へのアプローチには、実際ルートで一行が到達した松田団地北のほか、上記検証でも出てきた宇尾があります。松田団地北は三ツ屋発、宇尾は南彦根駅発のバスです。宇尾のほうが能登川駅から近いですが、400mほどの違いなので、大差ありません。

そのほか、タクシー代に余力があれば、愛知川から直接彦根城にアプローチできます。

同じアルファベットで互角です。ただし、バスチームで「S」を実現できる乗り継ぎは、探した限りでは見つかりませんでした。「A」のタクシー利用が最速のようです。

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どちらが有利だったか

バスチームの最適解を「堅田定時ルート」、鉄道チームの最適解を実際ルートより1時間早い便と仮定すれば、今回は鉄道チームに有利な設定でした。しかし現実には、鉄道チームは最適解より1時間遅れていましたので、バスチームが最適解をたどれば勝利の可能性がありました。

バスチームの最適解は、堅田駅到着のバスが定時であれば、それほど難しくはありません。しかし、現実にバスは遅延しましたし、さらにルイルイが道に迷ってしまいました。

バスチームとしては、もともと分が悪い戦いに、小さな不運と小さなミスが重なって、勝ち目がさらに薄くなりました。路線バスが少ない滋賀県湖東エリアを舞台にした難ルートで、泣き面に蜂というところでしょうか。

鉄道チームは連敗を2で止め、対戦成績を7勝7敗の五分に戻しました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

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