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千葉都市モノレールの延伸中止を決定。採算性低く

費用便益比が1を下回る

千葉都市モノレールの延伸計画が、正式に中止となりました。事業性の再検証を進めてきた千葉市が、採算性が低いと判断しました。

2つの延伸案

千葉都市モノレールは、1号線(千葉みなと~県庁前、3.2km)と2号線(千葉~千城台、12.0km)の2路線が開業しています。県庁前~市立青葉病院間の「病院ルート」と、穴川~稲毛海岸間の「稲毛ルート」の2つの延伸案があります。

これら延伸案について、千葉市は、2019年9月4日に、これまで延伸凍結としていた「病院ルート」について、延伸計画を廃止すると発表しました。「稲毛ルート」については、モノレール導入は行わないことを決定しました。

千葉モノレール路線図
画像:千葉市

経営再建を図り

千葉モノレール建設は千葉県と千葉市の共同事業として進められ、当初の事業主体は千葉県でした。開業は1988年で、1995年に現在の路線網ができあがっています。

利用者は伸び悩み、1994年度に債務超過状態に陥りました。2006年には累積債務が206億円に達し、千葉県がモノレール事業から撤退しています。千葉市が再建計画を策定し、インフラ財産を市に移管し、借入金も市が負担することなどにより経営再建を図りました。その結果、近年は利用者も増加傾向にあることから、ようやく営業黒字を計上するに至っています。

こうした状況下で延伸が議論されていて、2002年には県庁前駅~市立青葉病院間の1.9kmの整備が提言されました。しかし、財政再建を公約に掲げて2009年に熊谷俊人市長が当選した後、延伸計画は凍結されています。

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費用便益比が低く

財政再建のメドが立った2017年9月に、千葉市は改めて延伸の可否を判断するための検証作業に着手。2018年度予算に関連費用として1800万円を計上し、「病院ルート」「稲毛ルート」の延伸可否を判断する再検証業務を外部機関に委託していました。

千葉市が公表した再検証結果によりますと、県庁前駅~市立青葉病院の「病院ルート」は、1.9kmの延伸で、概算整備費が196億円。1日当たりの利用者数は3,200人で、費用便益比(B/C)は0.87と見込まれました。

「千葉都市モノレール調査報告書」(2005年)の推計では、利用者は1日8,770人、費用便益比は3.57と推計していましたので、再検証の結果、大きく数字が下がったことになります。

千葉モノレール病院ルート
画像:千葉市

穴川駅~JR稲毛駅・稲毛海岸駅方面の「稲毛ルート」は、4.3kmの延伸で、概算整備費が494億円。1日当たりの利用者数は1,200人で、費用便益比は0.73と見込まれました。

千葉モノレール稲毛ルート
画像:千葉市

今回の再検証では2ルートとも費用便益比が1を上回らなかったことで、建設しても投資に見合う効果が得られないとして、延伸計画を中止する判断となったものです。結果として、1号線は千葉みなと駅~県庁前駅の3.2㎞の中途半端な路線で残されることになります。

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バス路線の改善図る

「病院ルート」は「延伸計画の廃止」、「稲毛ルート」は「モノレールの導入は行わなわない」と表現が異なりますが、「稲毛ルート」は延伸が構想段階のため、「導入しない」という表現になったようです。

また、延伸によるモノレール会社の影響については、延伸しなくとも資金不足は生じないとしました。逆に延伸すると、新たな資金需要が生じるため、経営状況に影響が生じるとしています。

千葉市では、延伸しないことにより、バス路線の走行環境や利用環境、乗り継ぎ利便性の改善などについて検討するとしています。

結局のところ、需要を課題に見積もってモノレール建設を推進したものの、採算性を手堅く見積もって計算しなおしたら、事業として成立しないと判断したことになります。他の鉄道新線計画でも、参考にすべき事例になったのではないでしょうか。(鎌倉淳)