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なにわ筋線、事業費倍増、6500億円に。インフレ直撃、事業は継続

大阪府市も負担増に

JR・南海のなにわ筋線の事業費が約2倍に上振れすることが明らかになりました。これまでの計画は3300億円でしたが、新たに3200億円が必要になるとのこと。事業は継続するとみられますが、大阪府市にとっては大きな負担となります。

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総事業費6500億円に

なにわ筋線は、大阪市内のなにわ筋の地下に建設中の鉄道新線で、JR大阪駅とJR難波駅、南海新今宮駅を結びます。全長は7.2km、開業予定は2031年春です。開業後は大阪駅と関西空港が最速44分で結ばれ、1日24万人の利用が見込まれています。

総事業費は約3300億円と見積もられてきました。しかし、各社報道によると、物価高騰や地中障害物の撤去費用などがかさみ、さらに約3200億円が必要と試算されていることが明らかになりました。これにより、総事業費は約6500億円となります。

なにわ筋線
画像:大阪市

 
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費用便益比はどうなるか

2023年度に実施された、なにわ筋線の事業再評価によりますと、開業後30年間の費用は3211億円、便益は4777億円と見積もられ、費用便益費は1.49となっていました。

したがって、費用が6500億円になるのであれば、便益も1800億円程度上振れて6500億円以上にならないと、基準となる費用便益費1を超えません。

ただ、残事業に限った場合は、残事業費が便益以下に収まれば、費用便益比は1を超える計算です。実際に再試算した場合、インフレなどで便益も上積みされるので、計算上の余裕はありそうです。残事業で費用便益費が1を超えれば、事業は継続となります。

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負担はどうなるか

いずれにせよ、なにわ筋線は相当程度事業が進んでいますし、開業すれば1日数万人の利用者が見込めるのは確かなので、今から中止することはないでしょう。大阪府の吉村洋文知事も、事業を継続する姿勢を示しています。

ただ、費用が増えれば、増額分を府市などが負担しなければなりません。

従来の計画では、総事業費3300億円のうち、府・市が各590億円(合計1180億円)、
JR西が145億円、南海電鉄が185億円を負担し、残りは借入金や国の補助で賄うことになっていました。

単純に同じ割合で負担するのであれば、府市がそれぞれ500億円以上、JRと南海がそれぞれ100億円以上も負担が増えることになります。

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開業遅延は起きないか

新型コロナ禍以降、各地の公共事業で費用の大幅な上振れが報告されているので、なにわ筋線の費用倍増も、驚くほどではありません。もっと早い段階である程度わかっていたでしょうから、公表が遅かった印象もありますが、上振れそのものは避けがたいことです。

懸念があるとすれば、開業の遅延でしょう。開業の後ろ倒しが起こらないことを願いたいところです。(鎌倉淳)

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