JR東日本は、新たな券売機サービス「新幹線eチケット購入機(仮称)」の実証実験を2026年度末ごろから開始すると発表しました。新幹線のきっぷを駅で最短1分で購入できるという簡易型の券売機です。まずは大宮駅と宇都宮駅に設置されます。
最短1分で購入可能
「新幹線eチケット購入機」は、新幹線の乗車直前に、駅で最短1分で新幹線チケットを購入できるのが特徴です。
購入できるきっぷは新幹線eチケットです。購入したチケットは、Suicaなど交通系ICカードに紐付けて、紙のきっぷを受け取ることなく新幹線改札を通過できます。
購入時にスマートフォンアプリのインストールや会員登録などを必要としません。簡単な操作で購入が可能です。

8割が乗車当日に購入
JR東日本によると、新幹線の券売機利用者の約8割が乗車当日に購入しており、その半数は発車20分以内という状況で利用しています。
一方、現行の駅の指定席券売機は操作が複雑で、操作には時間がかかります。また、改札では「乗車券」と「特急券」という複数枚のきっぷ投入が必要なケースもあり、利用者から改善を求める声が寄せられていました。
新システムはこうした課題の解消を目指したものです。JR東日本では、「新幹線eチケット購入機」を、同社が推進する「Suica Renaissance」第4弾と位置づけています。

JR東日本エリアのチケットを発売
実証実験では、JR東日本エリアの東北新幹線、秋田新幹線、山形新幹線、上越新幹線、北陸新幹線のチケットを発売します。
自由席、指定席、TRAIN DESK、グリーン車、グランクラスの座席を購入できます。利用できるのは新幹線eチケットのみで、決済はクレジットカード限定です。
乗車時には交通系ICカードと紐付ける必要があります。したがって、購入時に交通系ICカードも必要です。

結果を踏まえて拡大へ
購入できるのは新幹線eチケット限定なので、指定席の価格は通常のきっぷより200円安くなっています。ただし、特定都区市内駅制度は適用されず、チケットは新幹線駅間のみ有効です。また、「新幹線eチケット(トクだ値)」の取り扱いはありません。
JR東日本は今後、実証結果を踏まえて設置駅の拡大を検討するほか、2026年秋開始予定の新幹線予約サービス「JRE GO」と共通基盤を活用し、訪日外国人向け機能の強化や対象エリア拡大も進める方針です。
簡単なことを簡単な操作で
今回の発表は、「わかりにくい」という評判もある、駅の指定席券売機の改善を狙った施策です。
駅の指定席券売機は多機能で、さまざまなきっぷを購入・発券できるというメリットがあります。しかし、新幹線にいますぐ乗りたい、という人には、余計な機能が多いのも確かです。
その点で、「次に出発する新幹線の予約を取る」という簡単なことを、簡単な操作で実現できることにはメリットが大きいと言えます。
デメリットとしては、新幹線eチケットのため、特定都区市内駅制度が利用できないことが挙げられます。ただ、そもそも新幹線駅に設置される販売機のため、乗車時に特定都区市内駅制度を必要としない旅客も多そうで、デメリットはあまり意識されないかもしれません。
単独利用者向け
購入できるのは大人1名分のみで、クレジットカード決済限定、交通系ICカード必須という制約もあります。家族旅行や現金派の利用者には使いづらく、実証実験の段階では、「急いでいる単独利用者向け」のサービスといえそうです。
ただ、交通系ICカードを2枚以上登録可能にする機能を付与することはできるでしょうから、本格運用時には複数人に対応するかもしれません。その場合、訪日客を含むグループ旅行者にも使えるものになるでしょう。
しかし、機能を増やせば操作のステップが増えて複雑化しますので、その点をどう考えるかは、検討の余地がありそうです。
ネットを介さずにチケットレス
新幹線のチケットレス化は着実に進んでいますが、今回の取り組みは「インターネットを介さずにチケットレスを利用できるようにする」という点で、従来とは異なるアプローチとして注目されます。
また、新幹線乗車にSuicaなど交通系ICカードを使うよう推進する施策とも受け止められますので、JR東日本のSuicaに賭ける執念も感じられます。
利用者にとっては、駅窓口が混んでいても、新幹線チケットを購入しやすくなるので悪い話ではありません。しかし、駅窓口縮小につながるサービスなので、その点は気がかりでしょう。(鎌倉淳)

























