青春18きっぷと北海道&東日本パスに「新青函特例」が誕生。初めて新幹線が乗車可能に。「北海道新幹線オプション券」の使い勝手を検証!

青春18きっぷに、新しい特例が誕生します。2016年3月26日の北海道新幹線開業後、奥津軽いまべつ~木古内~五稜郭間に別売りの「オプション券」が設定され、別料金を払えば新幹線と第三セクターの道南いさりび鉄道に乗車できるようになります。

また、北海道&東日本パスでは、新青森~新函館北斗間相互発着の場合に限り、別に特定特急券を購入すれば、北海道新幹線の普通車に乗車できるようになります。

別料金が発生するとはいえ、青春18きっぷや北海道&東日本パスで新幹線に乗車できるのは初めてのこと。この「新青函特例」のしくみと使い勝手を検証しましょう。

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「特例価格」は青春18きっぷ1回分

2016年3月26日の北海道新幹線新青森~新函館北斗間開業にともない、在来線の海峡線蟹田~木古内間が廃止され、江差線の木古内~五稜郭間は第三セクターの道南いさりび鉄道に移管されます。

これまでは、青春18きっぷを持っていれば、蟹田~木古内間で特急「白鳥」に乗車できる「青函特例」がありましたが、在来線の廃止にともない「白鳥」も姿を消すので、3月26日以降、この青函特例は使えなくなります。

特例廃止後、青春18きっぷの青函間の扱いはどうなるのかが注目されましたが、2016年1月5日、JR北海道などが新ルールを発表しました。

その骨子は、新しく設定される「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を購入すると、北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間および道南いさりび鉄道線の木古内~五稜郭間をそれぞれ片道1回利用できる、というもの。価格は2,300円で、青春18きっぷ1回分相当となりました。

津軽二股

ベストに近い特例に

利用時にはオプション券のほか、青春18きっぷを携行する必要があり、新幹線改札口で提示しなければなりません。

オプション券は自動改札対応かと思いましたが、青春18きっぷの提示が必要となると、新幹線乗車時も有人改札を通らなければなりません。このあたり、実際の運用がどうなるかはわかりません。

とまれ、どうなるかと思われた青春18きっぷの青函特例の新ルールは、想像できる範囲内ではベストに近い形になったのではないか、と思います。2,300円という価格についても、高いとはいえません。奥津軽いまべつ~木古内間の特定特急料金が1,490円、木古内~五稜郭間の道南いさりび鉄道の運賃が960円の予定なので、総額は2,450円。オプション券は150円ほど安くなっています。

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津軽線との接続は?

オプション利用時の本州側の乗換駅は津軽線津軽二股駅です、隣接する北海道新幹線奥津軽いまべつ駅で新幹線と乗り換えになります。公式には別扱いとなっている両駅を「接続駅」と指定したのにはやや驚きました。

ここで問題となりそうなのは、津軽線と北海道新幹線の「別駅扱い」での接続でしょう。

北海道新幹線の発表済みダイヤと、津軽線の現行ダイヤで組み合わせてみると、接続時刻表は以下のようになります。

北海道新幹線・津軽線接続時刻表

▽青森→木古内
青森0620→蟹田0707→0731奥津軽0813→0850木古内
青森1038→蟹田1121→1146奥津軽1347→1424木古内
青森1317→蟹田1419→1445奥津軽1701→1738木古内
青森1524→蟹田1629→1654奥津軽1701→1738木古内
青森1814→蟹田1859→1924奥津軽2058→2136木古内

▽木古内→青森
木古内0648→0726奥津軽0808→0833蟹田→0943青森
木古内0944→1022奥津軽1301→1326蟹田→1442青森
木古内1257→1335奥津軽1535→1559蟹田→1653青森
木古内1457→1535奥津軽1803→1828蟹田→1944青森

※奥津軽=奥津軽いまべつ駅と津軽二股駅
※津軽線の2016年3月ダイヤ改正後のダイヤが上記と同じとは限りません。念のため。

青森~函館は最短3時間に

ご覧のように4往復が有効本数で、実質的に使えそうな乗り継ぎはさらに少なくなります。ただ、2016年3月に津軽線のダイヤも変わるはずなので、津軽二股での北海道新幹線接続が多少マシになるのではないかと期待しましょう。

仮に接続が改善されたとしても、青森~木古内間は最短2時間程度かかります。木古内~函館間は1時間程度かかりますので、青森~函館は最短3時間程度になりそうです。接続が悪いと5~6時間かかるかもしれません。

ということで、「北海道新幹線オプション券」の使い勝手は、津軽線のダイヤ次第、ということになりそうです。

北海道&東日本パスはベストの形に

一方、「北海道&東日本パス」については、北海道新幹線開業後は、新青森~新函館北斗間相互発着の場合に限り、別に特定特急券を購入するとこで、北海道新幹線の普通車の空席を利用できます。この区間の特定特急券は3,930円でやや高いですが、新青森から新函館北斗までワープできるのは魅力的です。こちらの「新青函特例」は、想像しうる限りでは満点ではないでしょうか。

ただし、北海道&東日本パスは、北海道新幹線開業前の大人10,290円、小児5,140円から、開業後は大人10,850円、小児5,420円に値上げされます。新幹線運賃分が上乗せされた、といえなくもありませんが、もともと安いきっぷなので影響は少なそうです。

気になる点があるとすれば、北海道&東日本パスのフリーエリアに道南いさりび鉄道が追加されなかったことでしょうか。そのため、木古内~五稜郭間を利用する場合は別運賃が必要となります。

長万部以北との接続がカギ

青春18きっぷと北海道&東日本パスの「新青函特例」は、利用者にとっては悪くない形でまとまったと思います。問題があるとすれば、普通列車で北海道の旅を続けたときの長万部以北です。函館線(山線)も室蘭線も普通列車の減便が予告されています。

長万部から先を普通列車で移動するのが難しくなれば、せっかくの「オプション券」も「特定特急券」も効果半減です。本州から北海道の普通列車の旅がうまく流れるよう、長万部での普通列車の接続も改善されれば言うことないのですが。(鎌倉淳)

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