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「宮蘭航路」の使いこなし方。就航日が2018年6月22日に決定!

宮古・室蘭が10時間6,000円

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岩手県の宮古港と北海道の室蘭港を結ぶフェリーの定期航路の就航日が、2018年6月22日と決まりました。三陸と道央を10時間で結ぶ新たな航路について、旅行者の視点で使いこなしを考えてみましょう。

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「シルバークイーン」が就航

宮古と室蘭を結ぶ「宮蘭航路」を運航するのは川崎近海汽船です。2018年6月22日から、両区間を1日1往復運航します。現在八戸~苫小牧航路で使用されている「シルバークイーン」(7,005トン)を転用し、326kmを10時間で結びます。

室蘭市としては2008年11月に青森航路が廃止されて以来10年ぶりのフェリー、宮古市は初のフェリー航路となります。両市とも新航路を盛り上げようと、連帯した動きも盛んになっているようです。

宮蘭航路
画像:シルバーフェリーパンフレットより

宮古・室蘭フェリー時刻表

まずは、時刻表です。以下の通りとなりました。

■宮古・室蘭フェリー時刻表
宮古発08:00→室蘭着18:00
室蘭発20:00→宮古着06:00(翌日)

片道10時間の理由

所要時間が片道10時間となったのは、厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)に即したためです。

改善基準告示では、トラックドライバーなどの休息時間は8時間必要とされています。乗降などの作業時間を含め連続10時間のインターバルがあれば、一人のドライバーが乗船前後で連続して運転することができます。そのため、宮古・室蘭間の10時間は、トラック業界にとって理想的な所要時間です。

理想となる10時間航路をトラック業界が求め、それに船会社が応じて誕生したのが、この航路。その意味では、トラックドライバー向けのフェリーといえます。

ただ、旅行者にとっても10時間という航路は使いやすく、適度な休息を挟みつつ海の旅を楽しむのに向いています。そこで、旅行者がどう使うと便利かを考えてみましょう。

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下り便利用なら宮古泊が必要

まず、宮古市のフェリーターミナルは藤原埠頭で、JR山田線磯鶏駅からは徒歩圏です。JR山田線の当該区間は現在不通ですが、2019年3月に復旧し三陸鉄道として運転再開される見通しです。JR宮古駅からは約2kmあまりで、歩こうと思えば歩ける距離です。

宮蘭航路では、下り便は宮古港午前8時発です。東京からの夜行バスは宮古駅に午前7時35分に着くので、ギリギリ間に合いません。したがって、クルマ以外の旅行者が乗船するには宮古市内に泊まるほかありません。

宮古市内はホテルが多いとはいえず、復興需要もあり予約が取りにくい状況です。そのため、正直なところ、鉄道やバスで本州から北海道へ向かう旅行者が、あえて宮蘭航路を使う必要性はなさそうです。

クルマを利用する場合は、東北道盛岡南インターから国道106号線へ入るルートです。盛岡~宮古の道のりが大変なので、仙台方面から北海道へ向かうなら、八戸から苫小牧のフェリーを使った方がよさそうです。将来、三陸沿岸道が全通すればアクセスがラクになりますが、それについては最後に書きます。

上り便は使いやすい

北海道から本州へ向かう上り便を考えてみましょう。室蘭港はJR室蘭駅から1kmあまりです。20時のフェリーに乗るには、札幌を16時の高速バス「白鳥号」に乗れば間に合います。

JR普通列車の場合は、札幌発15時20分の「快速エアポート」が都合が良く、特急利用の場合は札幌16時39分発の「スーパー北斗」で間に合います。

フェリーで宮古港に朝6時に到着した場合、宮古駅には朝7時には着けるでしょう。宮古駅前07時05分の高速バス「106急行」に乗れば、09時20分に盛岡駅前に着けます。

JRの場合、山田線は現在不通区間がありますが、2017年11月に盛岡~宮古間の運転が再開されます。運休前のダイヤでは宮古駅09時35分発の快速「リアス」があり、盛岡駅に11時38分に着きます。

盛岡駅を12時08分発の普通列車に乗り継げば、東京に22時20分に到着できます。すなわち、宮古~東京が普通列車で同日着できますので、青春18きっぷをフル活用できます。

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宮蘭航路の運賃

「宮蘭航路」の運賃は、以下のようになっています(小児半額)。

■宮古~苫小牧フェリー運賃
・特等 15,000円
・1等 12,000円
・2等寝台 8,000円
・2等 6,000円
・学割2等寝台 6,800円
・学割2等 4,800円
(小児は大人運賃の半額)

八戸・苫小牧航路の最低運賃が5,000円なので、それよりも1,000円高い設定となりました。

八戸~苫小牧航路には、「札幌・八戸なかよしきっぷ」5,400円、「札幌・盛岡なかよしきっぷ」7,100円という、バスとフェリーを組み合わせた商品もあります。現時点では、これに類した商品が宮蘭航路では発売されていませんし、宮蘭航路に価格的なアドバンテージがあるとはいえません。

やっぱりトラック向け

まとめてみましょう。2018年夏時点では、宮蘭航路は上り便を青春18きっぷで利用すると使い勝手がいい航路です。青春18きっぷで北海道を楽しんだ後、夜行便で宮古港に渡り、最後の1枚で東京に戻る、という使い方には適しているでしょう。

札幌発の場合、札幌~東京間を、高速バス(2,280円)+フェリー6,000円+青春18きっぷ1枚(2,370円相当)の、計1万円あまりで、約30時間で移動できることになります。参考までに札幌~室蘭間のJR普通運賃は2,490円です。

比較として、たとえば高速バスと大洗~苫小牧航路を使えば、東京~札幌間を約27~28時間程度、9,990円(パシフィックストーリー)で移動できます。そう考えると、宮蘭航路をあえて使う必要はなさそうです。その意味で、宮蘭航路は旅行者向けではなく、やっぱりトラック向け航路です。

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三陸沿岸道の完成に期待

ただ、東京~札幌間を移動する人ばかりではないでしょうし、北関東や南東北から北海道を目指すときに、宮蘭航路は新たなバリエーションにはなりそうです。

また、クルマ利用の旅行者には、建設中の三陸沿岸道も気になります。仙台から宮古まで完成した場合、高速料金無料の高規格道路を3時間で走ることができます。

三陸沿岸道の全通時期は未確定ですが、2020年度までには、仙台~宮古のほとんどの区間で完成します。完成後は、東北道で八戸まで行って苫小牧行きフェリーに乗るよりは、宮蘭航路のほうが高速代とフェリー運賃のトータルが安くなると期待されます。

三陸沿岸は内陸部に比べて雪も少ないので、冬季はとくにドライバーに使いやすい航路になりそうです。その頃には増便もされ、旅行者にも便利な航路になることでしょう。(鎌倉淳)


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