東京で「舟通勤」は定着するか。日本橋~豊洲、晴海~日の出に新航路

交通手段としての舟運

日本橋~豊洲間と晴海~日の出間に新航路が誕生します。東京都が主導する通勤向けの航路ですが、「舟通勤」は定着するのでしょうか。

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交通手段としての舟運

東京都は「交通手段として舟運」に対する補助制度を創設し、運航事業者を募集しています。このほど、その対象航路が、二つ決定しました。「日本橋~豊洲」と「晴海~日の出」です。

この制度は、東京都の「舟運活性化に向けた取組」の一環です。①平日朝夕、または、②交通不便地域の船着場を含む航路の運航をする事業者に対し、運航経費の半額を補助するという枠組み。対象期間は2023年度から3年間です。

これまで、東京の水上交通は観光的な要素が強かったですが、今後、都市の機能を高めるため、「舟旅通勤」ができる航路を定着させようという取り組みです。

日本橋・豊洲航路は2023年10月から、晴海・日の出航路は2024年春から運航を開始します。

東京水上バス

 

日本橋・豊洲航路

まず、日本橋・豊洲航路の事業者は観光汽船興業と三井不動産です。

観光汽船興業は隅田川や東京湾で水上バスを運航していて、三井不動産は日本橋と豊洲で街作りを行っています。三井不動産が発着地を整え、観光汽船が運航する、という形です。

日本橋の船着場は橋の南岸にあります。豊洲の船着場はららぽーと豊洲の目の前です。

日本橋も豊洲も交通不便地域ではないので、①平日朝夕に運航する「通勤航路」として設定するようです。

豊洲~日本橋間は、メトロ有楽町線と銀座線を銀座一丁目/銀座駅で乗り換えれば20分ほどです。水上航路にしても同等の時間はかかりそうで、舟運にどれだけのアドバンテージがあるのかは、何とも言えません。ただ、混雑する通勤電車に乗らなくてもいいのはラクでしょう。

「三井の街・豊洲」から、「三井の本拠地・日本橋」となれば、三井関係者だけでも相当の通勤者が存在するでしょう。その水運を三井不動産が手がけるのですから、事業として成立するかはともかく、最初の航路としてはやりやすそうです。

舟旅通勤の航路・事業者
画像:東京都
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晴海・日の出航路

2024年春にスタートする晴海・日の出航路は、②の交通不便地域向け航路といえます。

晴海の船着場は晴海フラッグの交通広場前にあり、地下鉄の駅から離れています。晴海フラッグは今後、人口が急増する見込みですので、その住民の足として開設するとみられます。

事業者は東京湾クルージングと野村不動産です。東京湾クルージングは東京湾や隅田川で不定期船を運航していて、野村不動産は晴海フラッグに参画しているデベロッパーのひとつです。

日の出桟橋の船着場は浜松町駅から約0.8kmの距離にあり、徒歩10分ほどです。晴海フラッグの住民が浜松町近辺のオフィスに通うなら、通勤に使える航路でしょう。

まずは試験運航

補助要件は、①②いずれも「運航日が月8日以上または年96日以上」「運航日の総運航時間が1時間以上」となっています。要件としては甘く、まずは試験的な運航から開始することになりそうです。

ただ、毎日運航でなければ「舟旅通勤」としては機能しません。補助期間の3年間で、どれだけ運航体制を整えて地域に定着できるか、注目したいところです。(鎌倉淳)

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