航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が5月以降に急騰します。JALとANAが明らかにしました。これまでの上限価格を引き上げ、欧米往復は11.2万円に。2倍近い値上げで、未曾有の高値圏に突入します。
5月分を発表
国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALとANAは、2026年5月発券分で基準金額を大幅に引き上げることを発表しました。
燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。
JALによりますと、基準となるシンガポールケロシンは、2026年2月から3月の市況価格の平均が1バレルあたり146.99米ドルでした。また、同期間の為替平均は1ドル156.99円でした。これを乗じた1バレルあたりの基準金額は23,076円となりました。
4月発券分を算出した12月から1月の水準は、市況価格84.26米ドル、為替156.27円で、基準金額は13,166円でしたので、大幅に値上がりしています。

1.9~2倍の値上げ
燃油相場の基準金額が13,000円台から23,000円台に大きく跳ね上がったため、JALでは2026年5月1日発券分からの燃油サーチャージ価格を、大きく値上げします。
5-6月発券分のひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが56,000円、ハワイ・インドなどが34,700円、タイ・シンガポールなどが29,600円となります。
これは片道の金額なので、往復の場合、北米・欧州・オセアニアなどは112,000円、ハワイ・インドなどは69,400円、タイ・シンガポールなどは59,200円です。方面によって多少異なりますが、4月発券分に比べて、おおむね1.9~2倍の大幅値上げとなります。
1ヶ月前倒しに
これまでの燃油サーチャージ価格は、直近2カ月間の燃油市況価格平均に基づいて算出した金額を、翌々月から発券される航空券を対象に適用していました。つまり、本来、今回算出した2-3月の燃油相場の金額は、6月以降のサーチャージに適用されるはずでした。
しかし、最近の燃油価格の急変動を受け、JALは、直近2ヶ月間の価格平均を、翌月発券分からの適用開始に変更することにしました。言葉を換えれば、サーチャージ値上げを1ヶ月前倒しします。
この前倒しは、ANAも足並みを揃えます。JAL、ANAが揃って、サーチャージを急遽値上げする形です。予定では、両社とも5月発券分は4月発券分と同じサーチャージ額でしたが、これを撤回して、5月分で大幅値上げするわけです。
燃油サーチャージの推移
この1年、JALの欧米方面のサーチャージは2万円台で推移してきました。それが一気に5万円台に達することになります。ANAの金額もおおむね同じです。
過去1年の燃油サーチャージの推移は下表の通りです。(配信先で表が崩れる場合はこちらをご覧ください)
| 路線 | 25年 6-7月 |
25年 8-9月 |
25年 10-11月 |
25-26年 12-1月 |
26年 2-3月 |
26年 4月 |
26年 5-6月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 北米・欧州・中東・オセアニア | 29,000 | 21,000 | 25,000 | 25,000 | 29,000 | 29,000 | 56,000 |
| ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ | 18,500 | 13,500 | 16,000 | 16,000 | 18,500 | 17,800 | 34,700 |
| タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイなど | 15,500 | 10,500 | 13,000 | 13,000 | 15,500 | 15,500 | 29,600 |
| グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴルなど | 9,500 | 6,500 | 8,200 | 8,200 | 9,500 | 9,500 | 19,500 |
| 東アジア(韓国、モンゴルを除く) | 7,400 | 5,000 | 6,200 | 6,200 | 7,400 | 7,400 | 14,200 |
| 韓国、極東ロシア、沖縄・台湾線 | 3,000 | 2,000 | 2,500 | 2500 | 3,000 | 3,000 | 6,500 |
※片道あたり、発券日基準。
適用条件表の上限突き抜けて
燃油サーチャージの適用条件は、これまで基準価格21,000円台(ゾーンP)までしか設定されていませんでしたが、新たに23,000円台(ゾーンR)までを設定します。
いうまでもなく、これも燃油価格が高騰したためです。燃油価格が、想定していた適用条件の上限を突き抜けたわけです。
最新の北米・欧米向け適用条件表は以下の通りです。(配信先で表が崩れる場合はこちらをご覧ください)
| ゾーン | 基準価格 | サーチャージ額 |
|---|---|---|
| A | 6,000円~7,000円 | 4,500円 |
| B | 7,000円~8,000円 | 8,900円 |
| C | 8,000円~9,000円 | 13,400円 |
| D | 9,000円~10,000円 | 16,000円 |
| E | 10,000円~11,000円 | 18,500円 |
| F | 11,000円~12,000円 | 21,000円 |
| G | 12,000円~13,000円 | 25,000円 |
| H | 13,000円~14,000円 | 29,000円 |
| I | 14,000円~15,000円 | 33,000円 |
| J | 15,000円~16,000円 | 35,000円 |
| K | 16,000円~17,000円 | 38,000円 |
| L | 17,000円~18,000円 | 41,000円 |
| M | 18,000円~19,000円 | 44,000円 |
| N | 19,000円~20,000円 | 47,000円 |
| O | 20,000円~21,000円 | 50,000円 |
| P | 21,000円~22,000円 | 53,000円 |
| Q | 22,000円~23,000円 | 56,000円 |
| R | 23,000円~24,000円 | 59,000円 |
今回の基準金額は「ゾーンQ」を適用します。計算上の基準金額が23,000円台なので、本来なら「ゾーンR」が適用されますが、政府による緊急的激変緩和措置の補助があったので、基準金額を22,000円台とみなすとのことです。
今後の見通しは?
アメリカ、イスラエルによるイラン攻撃を受けて、燃油価格は高止まりしています。基準となるシンガポールケロシンの、直近5週間の市況価格は以下の通りです。
~3/13 175ドル
~3/20 197ドル
~3/27 195ドル
~4/3 209ドル
~4/10 197ドル
5週間の平均は194ドル程度で、今回の市況価格平均の146.99ドルより、31%程度も値上がりしています。また、直近の為替は、1ドル159円程度となっています。
このままの状況で推移すれば、次回の7-8月発券分の基準価格は30,000円台になります。新たに設定した「ゾーンQ」をはるかに超えて、「ゾーンY」くらいになり、欧米片道80,000円程度になりそうです。往復なら16万円程度でしょうか。
ただ、イラン情勢の先行きは見通せません。アメリカ・イスラエルとイランの戦争が終われば、燃油価格が多少は落ち着くかもしれません。とはいえ、産油施設が大きな被害を受けているため、燃油相場が以前の水準に戻るには、相当に時間がかかりそうで、航空券の大幅値下がりも当面は期待薄です。(鎌倉淳)





















