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「ローカル路線バスの旅Z 第4回 岐阜城~鳥取砂丘」の正解ルートを考える。分かれ目は和田山に

バスがいっぱいあるのにステイする論理は弱い

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テレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」の第4回が放送されました。田中要次と羽田圭介がコンビとなって、路線バスだけを乗り継いで旅をする番組です。

今回のマドンナは村井美樹。ソフトな鉄道ファン「ソフ鉄」のタレントとしておなじみです。

目標は、岐阜城から鳥取砂丘まで、路線バスを乗り継いで3泊4日で到達する、というもの。例によって、正解ルートを検証してみましょう。

いつものことですが、以下はネタバレ100パーセントです。また、結果論100パーセントです。行ってない筆者が机上で語っているだけです。ご理解のうえ、お読みください。

※以下、掲載時刻は確認しましたが、間違いや勘違いがあると思います。その場合はご容赦、ご指摘ください。文中敬称略です。

3人が実際に旅したルート

最初に、番組で実際に3人が旅したルートをたどってみましょう。時刻表上の定刻を確認してみました。徒歩距離は、原則としてオンエアされた数字を表記しています。

▽1日目
岐阜公園歴史博物館前0850→0905JR岐阜駅 0937→1005墨俣1027→1050大垣駅前 1110→1157牧田(上野)1305→1315関ヶ原駅 1320→1345門間交差点→徒歩2.5km→柏原1523→1538 近江長岡駅1537→1624長浜駅1723→1801木之本バスターミナル

▽2日目
木之本バスターミナル0802→0828永原駅→徒歩3.6km→野口0910→0949マキノ病院前→徒歩1.6km→北深清水1026→1052弘川口1055→1150小浜駅1355→1453近江今津駅→徒歩1.5km→木津1549→1601新旭駅→徒歩5km→安曇川駅1731→1806朽木学校前

▽3日目
朽木支所前0835→0852梅ノ木1014→1041途中→徒歩7km→大原 1229→1333京都駅前 1408→1513亀岡駅前1614→1724園部駅西口/園部駅東口1851→1923桧山

▽4日目
桧山0709→0809福知山駅前0815 →0848下夜久野駅前0857→0908上夜久野駅前→徒歩1km→道の駅やくの→徒歩1km→金浦→徒歩9km→和田山駅1357→1429八鹿駅1510→1625湯村温泉

ということで、目的地の鳥取砂丘に到達できず、失敗に終わりました。最終日に、あとバス1本まで追い詰めたところで断念、という惜敗でした。

ローカル路線バスの旅Z4
画像:テレビ東京ホームページ

ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z 第4 弾 岐阜県・岐阜城~鳥取県・鳥取砂丘
【出演者】田中要次、羽田圭介、村井美樹
【ナレーター】キートン山田、太川陽介

「湖北ルート」か「湖東ルート」か

岐阜城を出発した一行は、巧みな乗り継ぎで長浜まで到達します。最初のポイントは、琵琶湖をどう回るか。長浜で一行は、木之本へ向かうか、米原へ向かうかで悩みます。

木之本へ向かえば、琵琶湖を北から回り込む「湖北ルート」、米原へ向かえば、東から回り込む「湖東ルート」となります。

一行はバス運転手に先のルートを確認したうえで、木之本行きバスに乗車。湖北ルートを選択しました。このとき、湖東ルートをたどっていたら、どうなっていたのでしょうか。

米原へ向かっていたら

長浜の案内所でも教えられていた通り、このルートでは、米原から先のバスが見つかりません。そのため、まず米原市内から彦根市内まで、約6kmを歩くことになります。

▽1日目
長浜駅1742→1819米原駅西口→徒歩6.2km→彦根駅

彦根以西もバスだけではつながらず、歩きとバスを組み合わせて進むことになります。ルートはいくつかありますが、実現可能性が高そうなものとして、以下を例示しておきます。

▽2日目
彦根駅0725→0755河瀬駅西口→徒歩8.7km→能登川駅1015→1028国道石塚→徒歩1.4km→石寺栢尾1157→1233近江八幡駅北口/近江八幡駅1349→1419村田製作所1422→1443野洲駅1532→1541野洲西町→徒歩2.1km→守山駅1615→1707堅田駅1725→1757浜大津1854→1933比叡平1950→2027三条京阪→京都駅前

▽3日目
京都駅前0631→0730亀岡駅前0801→0911園部駅西口/園部駅東口0952→1027桧山1215→1315福知山駅前1540→1613下夜久野駅前1807→1819上夜久野駅前→徒歩10km→和田山駅

▽4日目
和田山駅0930→1005八鹿駅1235→1350湯村温泉1505→1551砂丘センター

このように、4日目に鳥取砂丘へゴールできます。

湖東ルートのバリエーション

湖東ルートの場合、2日目に彦根駅を7時25分発のバスに乗れば、上記のコースでゴール可能です。

ただ、米原に18時過ぎに到着し、6㎞先の彦根を翌朝7時25分に出るバスに乗るというのは、簡単なようで難しいでしょう。その次の彦根発は8時48分ですが、同行程だと接続が悪くなります。

▽2日目
彦根駅0848→0918河瀬駅西口→徒歩8.7km→能登川駅1145→1158国道石塚→徒歩1.4km→石寺栢尾1442→1518近江八幡駅北口/近江八幡駅1548→1618村田製作所1650→1711野洲駅→徒歩3.6km→守山駅1802→1850堅田駅1920→1950浜大津

▽3日目
浜大津0647→0723比叡平0725→0802三条京阪→京都駅0848→0953亀岡駅前1022→1132園部駅西口1248→1320桧山1500→1600福知山駅前

3日目の夜に福知山に到達できますが、翌朝に実際ルートに追いつかれます。

上記のコースのほか、たとえば愛知川駅から能登川駅までのバスを使うなどすれば歩く距離を多少縮めることは可能です。また、八日市方面へ抜けるなどのバリエーションもあります。しかし、「正解」と表現できるほどの好ルートは見つかりませんでした。

湖東エリアはJR東海道線を軸として、湖側から山側へ向かうバス路線は比較的多いのですが、鉄道沿いに進めるバス路線がほとんどありません。

そのため、湖東ルートを選択した場合、たとえば河瀬駅から近江八幡駅まで18kmを歩き切るという、脚力にものを言わせた行程になっていた可能性もありそうです。

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小浜で折り返さなかったら

ということで、一行が長浜から木之本行きを決断し、「湖北ルート」を採ったことは、間違ってはいなかったようです。

2日目の一行は、才媛・村井の活躍もあり、途中までミラクルな接続で午前中に小浜駅まで到着します。スタッフもびっくりの頑張りだったことでしょう。

しかし、意気揚々と小浜駅に到達した一行を待っていたのは、その先にはバスがない、という非情な現実でした。

番組では、小浜から舞鶴へ向かうには、約20kmの徒歩が避けられないと表現されています。「遠回りしてバスに乗って移動したほうが成功する確率が高い」という羽田氏のひとことが決め手となって、一行は引き返すことを決断します。

もし、20kmの徒歩を厭わずに、しゃにむに舞鶴を目指していたら、どうなっていたでしょうか。

▽2日目
小浜駅→徒歩19.3km→高浜駅前1815→1844東舞鶴駅前1900→1922西舞鶴駅前

▽3日目
東舞鶴駅前0745→0827大江駅前0848→0859天津出合1025→1130与謝野駅1150→1208岩屋上→徒歩5km→中藤1349→1425出石1552→1621八鹿駅1715→1832湯村温泉

▽4日目
湯村温泉1030→1116砂丘センター

あるいは、実際ルートと同様、福知山に出たとして、以下のようにもつながります。

▽3日目
東舞鶴駅前0745→0827大江駅前0848→0859天津出合0905→0929福知山駅前1130→1203下夜久野駅前1341→1352上夜久野駅前→徒歩10km→和田山駅1710→1747八鹿駅

▽4日目
八鹿駅1235→1350湯村温泉1505→1551砂丘センター

このように、小浜から舞鶴へ抜ける「舞鶴ルート」は、徒歩距離は長いものの、時間的には余裕を持ってつながります。ルイルイ・蛭子コンビには難しい行程かもしれませんが、健脚自慢の田中・羽田コンビなら成立しうるルートといえます。

「流星館」を目指していたら

番組にも出ていた「流星館」を目指した場合についても触れておきます。流星館より先のバスはなく、高浜方面か、京都側の美山に抜けるしかありません。

高浜方面で約17km、美山方面へ約13kmの徒歩が生じます。どちらも山道です。不可能ではないにしろ、小浜市からあえて山の中に入ってまで進む合理性に乏しく、現実的に一行が選択しうるルートには思えませんでした。

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「小浜往復」をしなかったら

実際ルートに戻りましょう。

一行は、小浜から引き返し、近江今津に戻りました。結果的に、小浜往復は無駄足になってしまったわけです。

仮に、最初から小浜往復をしなかったらどうでしょうか。つまり、北深清水から乗車したバスを弘川口で降りずに乗り通して、近江今津駅で情報収集していたら、ということです。

▽2日目
木之本バスターミナル0802→0828永原駅→徒歩3.6km→野口0910→0949マキノ病院前→徒歩1.6km→北深清水1026→1059近江今津駅1236→1301下古賀1301→1334細川

細川とは、鯖街道にある停留所です。上記のように細川まで順調に到達できます。しかし、細川から南に向かう堅田行きバスは、1日2本しかなく、10時10分が最終バスです。週末なら17時14分に出町柳行きのバスがあるのですが、ロケ日は平日でした。

そのため、仮に13時34分に細川に着けたとしても、その先へ行けず宿泊を余儀なくされます。細川という山間の集落で実際に宿泊できるかは置いておき、3日目以降は以下のように繋がります。

▽3日目
細川0647→0718途中→徒歩7km→大原0847→0951京都駅前1028→1133亀岡駅前1314→1424園部駅西口/園部駅東口1548→1734福知山駅前

3日目に和田山へ到達することはできず、4日目に、実際ルートに追いつかれてしまいます。すなわち、仮に小浜駅往復をしなかったとしても、実際ルートをたどる限りは同じ結果が待ち受けていたことになります。

細川での停滞を避ける方法、すなわち鯖街道以外で京都市へ抜ける方法も探しましたが、効果的なルートは見つりませんでした。

要するに、小浜まで往復してもしなくても、湖北ルートで京都市を経由した場合、最速であっても福知山近辺で実際ルートに収斂するわけです。言葉を換えれば、小浜往復は時間のロスではありませんでした。

ちなみに、近江今津から、小浜も京都市内も経由せずに鳥取方面へ向かうことはできません。

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玉置でバスに乗れていたら

再び、実際ルートに戻ります。一行は朽木から鯖街道、途中峠を抜けて、大原を経由して京都市に入ります。京都市からは国道9号線に沿って北上し、園部に到達。園部で泊まりたそうな田中、村井を羽田が押し切り、桧山で3泊目となりました。

「バスがいっぱいあるのにステイする論理は弱い」という明言を残した羽田。この行動力の価値は高く、桧山に泊まったおかげで、翌朝は福知山駅8時15分のバスに乗ることができました。福知山で泊まったのと同等の結果を得ることができたのです。

福知山からのバスは上夜久野に午前9時すぎに到着。この後、上夜久野から和田山までの徒歩区間が、今ロケ最後の山場となりました。

一行は、上夜久野駅から歩き始め、道の駅やくのや、金浦を経由して、バスがないことを確認しつつ進みます。そして、玉置というバス停付近で、八鹿行きのバスを見つけながら乗り逃してしまいました。このバスに乗れていたら、どうなっていたでしょうか。

▽4日目
桧山0709→0809福知山駅前0815 →0848下夜久野駅前0857→0908上夜久野駅前→徒歩1km→道の駅やくの→徒歩1km→金浦→徒歩8km→玉置1131→1210八鹿駅1235→1350湯村温泉1505→1551砂丘センター

このように、ゴールできました。つまり、本当にタッチの差で、一行はゴールを逃したことになります。

「夜久野マラソン」が成否を分けた

一行は玉置付近でバスを乗り逃しましたが、じつはこのバスは、もう少し上夜久野寄りのイオン(和田山)を経由しています。

イオン発は11時28分。上夜久野駅前からイオンまでは、まっすぐ歩けば8.5km。つまり、2時間20分で8.5kmを歩ききれば、ゴールできたわけです。結果論ですが、この「夜久野マラソン」が成否の分かれ目となったわけです。

和田山から八鹿へのバスの時刻表と乗り場を知った上で、逆算して歩いていれば、十分間に合ったでしょう。時刻を知らなかったのが敗因といえば敗因ですが、実際のところ、一行の展開では、和田山以西のバス情報を得るのは難しかったと思います。

仮に、一行が玉置11時31分発のバスに乗れていれば、小浜往復という「ミス」を克服しての大逆転劇で、意外性の高い結末になったことでしょう。

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「大逆転」が可能なコース設定

ルート検証をしてみると、今回は、どんな経過をたどろうが、最終的に、この福知山駅前8時15分発のバスに乗る可能性が高いコース設定になっていました。

舞鶴ルートを採らなければ、一行は京都市内を経由するほかありません。京都市経由で余裕をもってゴールするには、3日目までに和田山に到達しておく必要があります。しかし、湖北ルートではほぼ不可能で、湖東ルートでも、ミスなく乗り切った場合にのみ可能です。

3日目に和田山に到着できない場合、3日目の宿泊は福知山でも桧山でも結果は同じで、福知山駅前8時15分発のバスに乗り、「夜久野マラソン」にチャレンジすることになります。「夜久野マラソン」を克服できればゴールです。

つまり、3日目夜に桧山に到達していればゴール可能なわけです。3日目の夜に桧山に着くには、京都駅を18時08分発のバスに乗れば間に合います。3日目の夕方までに京都駅にいれば良いわけです。

湖北ルートで小浜まで間違って往復しても、湖東ルートでさまよっても、なんとか3日目の夕方には京都駅に着けるでしょう。

要するに、最後に京都市からスパートを掛け、夜久野を猛然と越えていればゴールできたわけで、「大逆転」が可能なコース設定だったことがわかります。

ルートを整理すると

ここまでを整理すると、今回は、大別して3つのルートがありました。「湖東ルート」「湖北ルート」「舞鶴ルート」です。湖東と湖北は京都市を経由します。

ルートの特徴をおおざっぱにまとめると、湖東ルートはバスが乏しく、徒歩を最小限にするには難解な道のりです。湖北ルートは、バスのつながりは比較的わかりやすいですが、朽木から大原に抜ける「鯖街道」で1日2本しかないのがボトルネックです。舞鶴ルートは小浜~高浜の20kmに挑む度胸が必要だったでしょう。

いずれのルートも相当の距離を歩かなければなりません。そう考えると、今回のお題そのものが、田中・羽田コンビの健脚を前提とした設定だったと言えそうです。ちなみに、徒歩を挟まずバスだけで乗り継げるルートは見つかりませんでした。

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「正解」は舞鶴ルート?

正解ルートがどれかは、悩むところです。徒歩距離の比較でみると、実際ルート(湖北ルート)では31.2kmで(上夜久野~和田山間を10kmとして計算)、湖東ルートは30.9km(同)、舞鶴ルートは32km。どれもほとんど変わりません。

総歩行距離が大差ないなら、舞鶴ルートがわかりやすく、時間的な余裕もあって、「正解」と表現できるかもしれません。もちろん、異論はあるでしょうし、筆者も舞鶴ルートが絶対的な正解だと考えているわけではありません。

スタッフが想定したルートは、湖北と湖東の両方でしょう。だからこそ、京都市から挽回することで、番組を盛り上げる構成になっていたのだと思います。

難易度は判断が難しいところです。結局のところ、「夜久野マラソン」を時間内にクリアできるかが最大ポイントなので、難しいとはいえませんが、平易なルートとも表現しかねます。

「宿送迎」を上手に活用すれば、もう少し徒歩距離を縮めることはできたかもしれません。ただ、例外的なルールを戦略的に用いることには違和感がありますし、検討し始めたらキリがないので、考慮にいれませんでした。

番組の質が変化

ところで、湯村温泉から鳥取への「ゆめぐりエクスプレス」は、かつて1日4便があり、最終バスは17時25分発でした。それが2017年4月に改正され、現在のダイヤになっています。もし、このロケが1年前に行われていれば、一行はゴールできていたわけです。

金浦から和田山へのバスも、かつてはオンデマンドではありませんでした。そのほかにも、全国の路線バス網が、少しずつ縮小されていることが見て取れました。

地方のバス路線が減っていく以上、これからも、今回のように30km程度の徒歩を前提としたコースが設定されていくことになるのでしょう。「ローカルバス路線バス乗り継ぎの旅」というタイトルは変わっていませんが、「Zシリーズ」になって、内容が質的に変化していることが感じられる回となりました。(鎌倉淳)

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