弘南鉄道大鰐線が廃止の瀬戸際に。支援計画策定も、存続へのハードル高く

弘南鉄道大鰐線が廃止の瀬戸際に立たされています。沿線自治体が支援計画を立てたものの、経営改善が進まなかった場合、路線廃止の可能性も含めた協議をする方針となりました。

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沿線5市町村が支援計画

弘南鉄道は、弘南線(弘前~黒石)と大鰐線(大鰐~中央弘前)の2路線を運行しています。両線とも利用者の減少が続き、2013年には同社が大鰐線の廃止方針を明らかにし、その後、撤回した経緯があります。以前は弘南線の黒字で大鰐線の赤字を補填していましたが、近年は両線とも赤字となり、2019年度は計約5500万円の赤字を計上しました。

弘前市、黒石市、平川市、大鰐町、田舎館村の沿線5市町村は、2019年度から両線の赤字を補塡しつつ、長期的な支援計画を検討してきました。その内容が固まり、2021年度から10年間にわたり、合計約9億5000万円を支援するという計画が公表されました。

支援の内訳は、設備修繕などに使われる安全輸送対策事業費補助が約5億9000万円、定期券の割引拡大などに使われる利用促進事業費が約1億3000万円。大鰐線については、支援だけでは黒字が見込めず、赤字補塡として約2億3000万円を計上しています。

弘南鉄道大鰐線

大鰐線の状況厳しく

弘南鉄道は、弘南線と大鰐線で利用状況が異なります。下表は少し古いデータですが、2014年度の弘南線と大鰐線を比較したものです。近畿運輸局が開いた「平成28年度地域公共交通活性化シンポジウムin関西」で弘南鉄道が使用した資料の一部です。

平成28年度地域公共交通活性化シンポジウムin関西
画像:弘南鉄道(平成28年度地域公共交通活性化シンポジウムin関西資料)

大鰐線は弘南線に比べて距離が2割ほど短く、平均乗車距離は6割強、利用者は約半分です。特徴的なのは、大鰐線は季節変動、曜日変動が大きいこと(赤枠)。要するに、利用者が少なく、時期により増減が激しいので、輸送効率が悪くなります。

利用者の減少傾向も鮮明です。とくに通学定期の利用者が減っていますが、これは沿線の学校の閉校や、定数削減が影響しているそうです。

弘南鉄道利用状況
画像:弘南鉄道(平成28年度地域公共交通活性化シンポジウムin関西資料)
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3年で1.5倍目指す

こうした利用状況の違いを反映して、今回の支援計画では、弘南線と大鰐線で支援期間に差を付けました。弘南線が2021年度から10年間の支援が決まったのに対し、大鰐線は5年間のみです。大鰐線は2023年度末に経営状況を検証し、改善が進まなかった場合、支援を2025年度末で打ち切ります。

具体的には、大鰐線は2023年度末に2019年度比で約2000万円の増収を目指します。計画通りに進まなければ、廃止の可能性も視野に入れて協議をするということです。

乗客の増加のみで2000万円の増収を達成するには、単純計算で利用者を1.5倍の約61万人に増やさなければならないということですが、わずか3年間で、地方のローカル私鉄の利用者を5割も増やすのが困難であることは言うまでもありません。となると、厳しい表現ですが、大鰐線は路線廃止の瀬戸際に立たされたといえます。

一方、弘南線については、今回の支援での黒字化を見込んでいます。大鰐線に比べれば利用状況は良く、支援期間が10年間と長いこともあり、当面の路線存続のメドは立ったと言えそうです。

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