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「三峰ロープウェイ復活」で秩父鉄道は救えるか。検討3ルート案を比較する

秩父市が調査結果発表

埼玉県秩父市で、三峰ロープウェイの復活構想が浮上しています。背景にあるのは、三峯神社周辺の深刻な交通渋滞と、秩父鉄道末端区間の維持問題です。

ロープウェイ復活が実現すれば、三峯神社へのアクセスを大きく変え、秩父鉄道の利用者増にも貢献する可能性があります。しかし、どこにロープウェイを架設するのかによって、その効果は大きく異なりそうです。現地を見てきました。

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廃止後、道路渋滞が問題に

三峰ロープウェイは1939年に開業しました。山麓の大輪駅から三峰山頂駅まで約1.9kmを結び、最盛期には年間35万人近くが利用したそうです。しかし、道路整備が進むにつれて利用者が減少し、2007年に廃止されました。

廃止後、三峯神社は「白い気守」ブームなどで全国的な人気パワースポットとなり、参拝客が急増しました。

最近の参拝客は年間60万人規模に達し、休日には三峯神社周辺で20kmを超える渋滞が発生。大きな問題となっています。

こうした状況を背景に、秩父市では「三峰ロープウェイ再架設可能性調査」に着手。このほど、その調査結果の概要を明らかにしました。

候補となっているルートは3つです。①従来の大輪から三峯神社付近に至るルート、②道の駅大滝温泉周辺からのルート、③秩父鉄道終点の三峰口駅からのルートです。

それぞれルートについては、後で説明するとして、まずは現地を見てみましょう。

秩父鉄道

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西武秩父駅からバスで

5月下旬の平日に、池袋から西武特急で訪れてみました。現在、三峯山へのアクセスは西武秩父駅からのバスが主流で、平日でも1~2時間に1本程度のバスが運行されています。

三峯神社バス

平日の12時30分出発のバスに乗車。車両は貸切利用もできそうな座席数の多いタイプですが、ほぼ満席となりました。

乗客には若い女性も多く、三峯神社がパワースポットとして人気がある様子がうかがえます。

三峯神社バス

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1時間半もかかり

西武秩父駅から25分ほど走り、三峰口駅に到着。ここでも数名が乗車し、残っていた空席も埋まりました。

三峰口駅から三峯神社までは、直線距離なら5kmあまりです。しかし、標高差は800m以上もあり、道路を走ると24kmにも達します。途中、離合が難しい区間もあり、カーブも多く、車酔いに弱い人には厳しいバス路線でした。

三峯神社バス

西武秩父駅から1時間半近くかかり、ようやく終点の三峯神社に到着しました。

路線バスで山道を1時間以上も走るのは体に堪えるもので、バスに乗り慣れている筆者でも、ちょっと疲れたほどです。渋滞する休日は、もっと大変でしょう。

三峯神社

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神社までは500m

バス停は駐車場の一角にあります。駐車場は、平日だからか余裕がありましたが、広いとはいえず、週末には駐車場待ちの渋滞ができるというのも頷けます。

バス停から神社までは500mほどで、徒歩10分程度です。平日のため空いていて、参拝するのにストレスはありませんでした。

ただ、山岳地帯の神社ですので、境内は広いとはいえず、一度に参拝できる人数も限られます。そのため、休日はかなりの混雑になるようです。

三峯神社

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山頂駅跡に行ってみる

三峯ロープウェイの山頂駅の跡地も見に行ってみます。山頂駅は一度移転をしているのですが、廃止時は神社から800mほど北側の場所にありました。

バス停からは1300mほど離れた位置にあります。現在は「シャクナゲ園」とされている場所です。

写真の右上に向けて、索道跡のような線が見られるのがわかるでしょう。

三峯神社とシャクナゲ園
画像:GoogleMap

行ってみると、ロープウェイの設備は完璧に撤去されていました。

三峯ロープウェイ跡地

写真奥の広場が、ロープウェイ乗り場の跡地のようです。とはいえ、ここがロープウェイ乗り場であったことは、知らなければわからないでしょう。

右手の建物はトイレです。建物は残されていますが、トイレは閉鎖されています。

索道跡はいまも木が切れていて、先まで見通せます。

三峯ロープウェイ索道跡

人の気配はなく、クマが出そうなので、早々に退散したくなるような場所でした。

ただ、三峯ロープウェイが復活するとすれば、山頂駅は、やはりここになると思われます。それを前提に、調査対象となった3つのルート案をみてみましょう。

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ルート案① 旧ロープウェイ復活案

かつての大輪~三峰山頂間を再建する案です。距離は約1.9km、標高差は680mです。

三峯ロープウェイ案
画像:GoogleMap

長所としては、既存ルートでの再構築のため、工事がしやすく、距離も短いことです。

山頂に向かうバスルートのうち、狭隘な区間を避けることができますので、マイカー利用者からの転移が見込まれ、渋滞解消に効果があるでしょう。

短所としては、山麓側の大輪付近に広い駐車場用地を確保するのが難しいことでしょう。

旧ロープウェイの利用者が減少したのも、乗り場付近に広い駐車場を確保できなかったことが一因です。したがって、この問題を解消できなければ、新ロープウェイの利用者も伸び悩みそうです。

大輪は鉄道駅からも離れているため、公共交通利用の場合、路線バス利用が前提となります。そのため、西武秩父駅~大輪間のバスが残れば、三峰口駅までの秩父鉄道は、あまり利用されないでしょう。つまり、秩父鉄道の利用者を増やす効果は限られます。

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ルート案② 三峰口接続案

秩父鉄道三峰口駅から三峰山頂をダイレクトに結ぶ案です。距離は約5.6km、標高差は860mです。

三峯ロープウェイ三峰口案
画像:GoogleMap

長所としては、秩父鉄道の駅と直結することで、公共交通の利便性が抜群に高まることです。東京・池袋から西武鉄道、秩父鉄道を経由して三峯神社まで、軌道系交通機関のみでアクセスできるようになり、新たな観光ルートが形成されます。

三峯神社直通の路線バスを廃止したとしても、秩父市街や都内から神社まで、公共交通アクセスを維持できます。バス運転士不足が深刻になっても、観光客の足を確保できます。

また、三峰口駅付近は比較的平地が広く、鉄道用地もあることから、駐車場を確保しやすいです。隘路を嫌うマイカー客は、三峰口にクルマを停めてロープウェイを利用するでしょうから、道路渋滞の解消にも貢献します。

短所としては、架設距離が長いことでしょう。5.6kmとなれば、ロープウェイとしては日本最長距離となります。

所要時間も長く、片道20分以上かかることが予想されます。そうなると、運転間隔が最短で30分間隔になってしまい、単位時間あたりの輸送力も限定されるでしょう。

解決方法として、ゴンドラのような循環式にするか、箱根ロープウェイのように途中駅を設けて乗り換える形が考えられます。ただ、そのぶん建設費や維持費が割高になってしまいます。

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ルート案③ 道の駅大滝温泉案

道の駅大滝温泉付近から三峯神社を結ぶ案です。距離は約2.4km、標高差は790mです。

三峯ロープウェイ大滝案
画像:GoogleMap

道の駅大滝温泉付近は、旧大滝村の中心地で、大滝総合支所も近くにあります。秩父市から山梨県方面に伸びる国道140号沿いでは、主要な拠点になっています。

道の駅の駐車場はそれほど広くありませんが、大滝総合支所にも公的スペースがあるため、三峰口ほどではないにしろ、駐車スペースを確保しやすいという長所があります。パークアンドライドの拠点として整備しやすく、山頂への道路渋滞を軽減できるでしょう。

三峯ロープウェイ大滝案
画像:GoogleMap

また、温泉施設にロープウェイ乗り場を併設することで、観光面での相乗効果が見込めるというメリットもあります。

さらに、秩父市中心部から大滝を直結する大滝トンネルを建設中で、2027年度に開通予定です。開通すれば、三峰口駅から大滝総合支所まで、バスで10分程度になるでしょう。

三峯トンネル
画像:GoogleMap

ロープウェイの架設距離も2kmあまりと短いため、所要時間も短く、建設費も低く抑えられます。

短所としては、公共交通アクセスにバスが不可欠なことでしょう。運転士が足りるなら、西武秩父駅~大滝間の路線が残る可能性が高く、その場合、秩父鉄道の利用促進効果は限られたものとなります。

つまり、公共交通ネットワークの再整備という視点で見れば、秩父鉄道末端区間の活用が難しく、限定的な効果にとどまる可能性があります。

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まとめてみると

3つのルート比較をおおざっぱにまとめると、大輪案はもっとも作りやすいですが、駐車場確保に難があり、鉄道駅からも離れています。

三峰口案はもっとも作るのが大変で、維持費もかかるため、運賃も高くなりそうです。ただし、運転士不要なロープウェイを駅に直結できるため、人口減少下において持続性の高い交通システムを構築できます。駅付近の遊休地を活用すれば、駐車場スペースも広くとれそうです。

大滝案は比較的低額で建設が可能で、維持費も安く運賃も抑えられ、一定の駐車場スペースも確保できます。ただし、鉄道駅からは離れていて、公共交通でのアクセスはやや不便です。

比較してみると、大輪案には優位性が乏しいため、駅直結の三峰口案と、バランスのとれた大滝案の比較になりそうです。

このとき、地域公共交通のあり方として検討する場合、秩父鉄道末端区間の存廃問題も考慮に入れなければならなくなります。秩父鉄道を救えるか、という視点です。

それについては次の記事で考えます。

【続きはこちら】
三峰口駅維持のカギを考える。三峰ロープウェイ復活で秩父鉄道は救えるか【2】

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