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「富山高山すし空港」で生じた責任。高山へのアクセス確保が必要に

寿司専門店も

富山空港の新しい愛称が「富山高山すし空港」に決まりました。飛騨高山へのアクセス拠点としての位置づけと、富山の食を代表する「すし」を組み合わせたネーミングで、観光や空港振興の視点から理解できる部分はあります。

ただ、ネーミングをした以上、高山へのアクセスを確保する責任が生じますし、空港で寿司を楽しめるような仕掛けも求められるでしょう。

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「きときと」では伝わりにくい

富山空港は、2012年から、「富山きときと空港」という愛称を使用してきました。

「きときと」は富山の方言で「新鮮な」「生き生きとした」という意味で、県民にはなじみ深い言葉だそうです。富山湾の新鮮な魚介類を連想させるネーミングとして、地域色のある愛称でした。

ただ、県外では意味が伝わりにくく、海外ではまず理解されません。地域の魅力を知ってもらうきっかけにはなっても、初めて名前を知った旅行者に観光地や空港の特徴を伝える力は、必ずしも強くありませんでした。

富山空港

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環境厳しく

一方で、富山空港を取り巻く環境は厳しくなっています。

2015年の北陸新幹線金沢開業により、東京方面への航空需要が大きく縮小。関西や中部への路線もなく、国内線だけで空港を支えることが難しくなってきました。

そのため近年は国際線誘致に力を入れていて、ソウル、上海、台北などの路線が就航した実績もあります。富山空港は外国人に人気のある飛騨高山や白川郷に近く、国際線を誘致してインバウンドを取り込むことが課題となっていました。

そこで生まれたのが、「富山高山すし空港」という、新たな名称です。

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高山にもっとも近い

富山空港から高山市中心部へは、クルマで1時間半ほど。中部空港などより近く、富山空港は、高山市に最も近い空港です。その立地をアピールするため、愛称に「高山」を取り込みました。

また、富山県は、「寿司といえば富山」というキャッチフレーズで、「すし県」をPRしています。寿司もインバウンドへの訴求力が高いため、空港名に取り込んだということです。

富山高山すし空港
画像:富山空港ウェブサイト

 
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高山へのアクセス問題

要するに、「富山高山すし空港」は、富山空港の切実な事情を背景にしたネーミングです。高山市も同意しているようですので、ネーミングそのものについては、部外者が口を挟む問題ではありません。

ただ、旅行者の視点では、「高山」と名付けた以上、高山市内へのアクセスは確保してほしいところです。一時期、富山空港~高山間のバスが運行されていた時期もありましたが、利用が伸び悩み、現在は運休中です。

空港名に「高山」を取り込んだのであれば、これを速やかに復活させて、航空便と接続して運行する必要があるでしょう。高山を目指して「富山高山すし空港」に降り立った旅行者が、高山市内へのアクセスに困るようなことは、あってはならないからです。

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空港名に入れた責任

当然のことですが、この問題は、当事者も認識しているようです。

北日本放送2026年7月8日放送によれば、空港を運営する富山エアポートの幹部は、「二次交通の充実ということで空港としても協力できる部分は協力したい」と、バスの運行へ協力する姿勢をみせました。

空港名に「高山」を入れた責任として、高山へのバス路線は、きちんと運行してほしいところです。

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中部空港と大差ない

ちなみに、現在、富山空港から高山市内へ公共交通機関で向かう場合、いったん富山駅へ出てから、JRや高速バスに乗り継ぐルートになります。所要時間は時間帯によって異なりますが、2時間半から3時間程度かかります。

これでは、中部空港から高山市内への時間と、大差ありません。外国人が海外から飛騨高山にダイレクトアクセスするなら、便数が多い中部空港がやっぱり便利、という話になってしまいます。

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「すし空港」なら寿司店も

また、「すし」というネーミングを入れた以上、空港でもきちんとした寿司を楽しめるような店舗が必要でしょう。

現在の富山空港には、「とやま鮨らーめん」というレストランがあり、寿司も提供しています。現実問題として、空港利用者の多くは空港の食事に必ずしも寿司を求めておらず、ラーメンのような軽食も期待されているからでしょう。

富山空港の現在の利用客数では、ひとつのレストランで幅広いメニューを提供せざるをえないという事情は理解できます。

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空港全体のリニューアルも

一方で、「すし空港」に期待して訪れた旅行者が求めるのは、もう少し本格的な店舗でしょう。

富山の名物が寿司と主張し、「すし空港」とまで銘打つのならば、空港内に「富山の寿司」を提供する専門店を期待したくなります。それが空港客だけでは成り立たないのであれば、空港外からの利用者も訪れたくなるような仕掛けが求められます。そうなると、空港全体のリニューアルが必要になるかも知れません。

結局のところ、これだけ意図的なネーミングにした以上、アクセスも空港施設も、それにふさわしい体制が求められる、ということです。富山県も課題は認識しているでしょうから、これからの富山空港の変化に、おおいに期待したいところです。(鎌倉淳)

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旅行総合研究所タビリス代表。旅行ブロガー。旅に関するテーマ全般を、事業者側ではなく旅行者側の視点で取材。著書に『鉄道未来年表』(河出書房新社)、『大人のための 青春18きっぷ 観光列車の旅』(河出書房新社)、『死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡』(洋泉社)など。雑誌寄稿多数。連載に「テツ旅、バス旅」(観光経済新聞)。テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ルート検証動画にも出演。