交通機関の「YouTuber規制」は広まるか。羽田空港が収益化撮影に申請求める

3日前までに

羽田空港の第1、第2ターミナルを運営する日本空港ビルデング株式会社が、旅客ターミナル内で収益化をともなう撮影をする場合に、事前申請を求めることを明らかにしました。これまで可否が明確にされていなかったYouTuberの施設内撮影が規制されることになります。こうした動きは、他の交通機関の施設にも広まるのでしょうか。

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3営業日までの申請求める

日本空港ビルデングは、羽田空港第1、第2旅客ターミナル内での撮影について、SNSなどで収益化をともなう撮影やライブ配信をおこなう場合に、撮影日の3営業日前までに同社へ申請し、承認を求める告知を公表しました。

一般旅客がターミナル内で旅の記念撮影をするなど、個人の趣味の範囲での撮影については、これまで通り申請は不要としています。旅行中のスナップ撮影や、空港デッキから趣味で航空機を撮影する場合などは、申請不要ということになります。

羽田空港第1ターミナル

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3営業日までの申請求める

今後、羽田空港で収益化をともなう撮影をする場合、企画書を用意のうえ、撮影申請フォームより申請しなければならなくなりました。

企画書や申請フォームでは、具体的な撮影内容や目的のほか、撮影者名、連絡先、日時、場所、掲載予定、掲載媒体名(アカウント名やURL)などの記載を求めています。

さらに、撮影実施に際して、会社側の指示や取材規定の遵守、損害を与えた場合の賠償などを誓約する必要があります。

禁止事項も明確に

禁止事項も明確になりました。

旅客や空港職員の撮影や、保安検査場、国の管理エリア(出入国審査場、税関・検疫エリアなど)の撮影は禁止とし、移動しながらの撮影や、後ずさりしながらの撮影、機材を持って走ることも認めません。

なお、今回は第1、第2旅客ターミナル内での撮影についてが申請対象になっていて、第3ターミナルは対象外です。これは日本空港ビルデングの管理する施設が両ターミナルに限られるためとみられます。

第3ターミナルは東京国際空港ターミナル株式会社の管轄ですが、同社は現時点でこうした告知を出していません。

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テレビ同様の扱いに

テレビや新聞、雑誌などのメディアが空港施設内を撮影する場合、施設管理者に事前申請をするのが原則で、メディアは腕章を付けての撮影を求められます。

これに対し、YouTuberをはじめとしたメディア以外の撮影については、これまで明確な規定がありませんでした。収益化をともなうものであっても、個人の趣味の範囲の延長と捉えられてきたのでしょう。

ただ、最近は、収益化を目的とした動画撮影者が増えてきており、なかにはテレビ番組と見まがうような企画の作品もあります。個人の趣味を超えた商業撮影であることが明らかなものも多く、テレビや新聞と同様、事前申請を求める姿勢を明確にしたといえます。

いわば「YouTuber規制」ともいえますが、放送と動画配信の境界が曖昧になってきた現状をみると、実態に即した運用見直しと捉えるべきかもしれません。

申請フォームをみたところ、撮影内容や時刻を決めた形でないと申請が認められることはなさそうで、ゲリラ的な企画をおこなうことは難しくなりそうです。

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他交通機関にも広まるか

収益化撮影に関しての規制では、東京ディズニリゾートを運営するオリエンタルランドが、2022年9月に園内での営利活動を禁止する規則を新たに追加したことで話題になりました。

この規則は撮影だけをターゲットにしたものではありませんが、事実上、YouTuberなどの活動を規制する形になっているようです。

いまのところ、交通機関の事業者でこうした規則は広まっていないようですが、日本最大の空港施設の運営会社が明文化したことで、他空港の運営者や、飛行機や鉄道などの交通事業者が同様の規則を作る可能性が出てきたといえます。

ただ、メディア以外の個人にまで申請を求めると、事業者側はその処理作業に忙殺される恐れもあり、二の足を踏むかもしれません。

収益化撮影の事前申請を求める動きが、他の空港や交通機関にどう広がっていくのか、気になるところです。(鎌倉淳)

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