JR津軽線、復旧工事に当面着手せず。バス転換も視野に検討

鉄道維持には費用負担求める

JR津軽線の蟹田~三厩間について、JR東日本は、当面は復旧作業に着手しないことを明らかにしました。鉄道維持の場合は「上下分離」のうえ、運行費用の負担を地元に求め、難しい場合にはバス転換する方針を示しました。

広告

今別・外ヶ浜地域交通検討会議

JR津軽線蟹田~三厩間は、2022年8月の豪雨で大きな被害があり、現在も不通となっています。その存廃を含めて地域公共交通のあり方を検討する「今別・外ケ浜地域交通検討会議」の第3回会合が、2023年3月28日に外ケ浜町役場で開かれました。

JR東日本は、当初、津軽線の復旧について「雪解け後」としていました。しかし、この日の会議でJR東日本盛岡支社の地域連携室長は「すでに雪解けの季節になっていますが、現時点では鉄道の復旧に着手せず、本検討会議により、利便性が高く持続可能な地域交通の方向性について検討を進めたいと考えている」と述べ、復旧作業の着手を当面見送ることを明らかにしました。

津軽線被災
画像:JR東日本

 
広告

鉄道復旧と自動車転換

さらに、これまでの利用実績などを踏まえ、復旧後の鉄道のランニングコストをJR単独で負担するのは厳しいという考えを改めて示し、「鉄道復旧」と「自動車交通に転換」の二つの選択肢を提案しました。

鉄道維持の場合は、6億円の復旧費用のうち4億円を国と地元自治体が負担したうえで、上下分離の実施を求めました。さらに、復旧後も運行費用の一部を自治体が負担するよう要望しました。

広告

町長を含めた協議へ

一方、自動車交通への転換案では、運休区間をバスと乗合タクシーで運行する方法を示しました。こちらも自治体に一定の費用負担を求める方針です。

この日は、バスやタクシーを導入した場合の費用などについて具体的なデータが示されず、自治体からは議論できないという声が相次ぎました。

そのため、次回以降の会議で、具体的なデータをJR側が用意し、検討を継続することになりました。最終的には、検討会議での議論が深まった段階で、今別町と外ヶ浜町の町長を含めて協議し、今後の方針を判断する予定です。

現時点で確定した事項はありませんが、JRが復旧作業の着手を見送ったことで、津軽線蟹田~三厩間は、バス転換が視野に入ってきたと言えそうです。(鎌倉淳)

広告
前の記事JAL、全路線6600円セールの「仮想待合室」とは? 3/31再実施の全詳細
次の記事交通機関の「YouTuber規制」は広まるか。羽田空港が収益化撮影に申請求める