大雪時のチェーン装着を義務化へ。新しい標識を覚えておこう!

200区間を指定へ

国土交通省と警察庁は、大雪時にチェーン装着を義務化する方針を明らかにしました。今冬から実施する予定で、2018年12月にも省令を改正します。

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最高30万円の罰金つき

この方針は、国土交通省で開催された「冬期道路交通確保対策検討委員会」で、大雪時の道路交通の確保のために、チェーン規制を実施すべきという提言が示されたことを受けたものです。

省令改正により、タイヤチェーンを取り付けていない車両の通行を禁止する意味を表示する規制標識を新設します。

チェーン装着規制
画像:国土交通省

この規制標識は移動式を想定しており、集中豪雪などでチェーン未装着の自動車の立ち往生が懸念される日に、LEDを用いた電光表示により規制を実施します。規制区域でチェーンを付けずに通行すると、道路法に基づいて6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科されます。

大規模交通障害を受け

この規制が実施される背景として、2018年冬の豪雪時に、大規模な交通障害が発生したことが挙げられます。

2018年1月には、首都圏を中心に積雪20cm を超える大雪がありましたが、このとき、首都高速道路中央環状線で10時間を超える車両の滞留が発生しました。トレーラーが坂道で立ち往生したことなどが原因です。

2月には北陸地方を中心に積雪1mを超える大雪があり、国道8号で約1,500台の車両の立ち往生が発生、2日以上にわたり通行に障害が発生しました。このときは、大型車の脱輪をきっかけに渋滞が発生するなか、未明の激しい降雪により車両の雪がたまり、自走できない車両が続出したことが原因でした。

いずれもチェーン未装着の自動車が動けなくなったことが、通行障害の要因になったわけです。

このような突発的な大雪が発生したときの対応として、集中豪雪が予見される時に、主要な道路で予防的通行規制区間を設定たり、チェーン未装着の自動車の走行を規制します。

チェーン規制
画像:国土交通省

スタッドレスタイヤでも

国土交通省によると、雪による立ち往生車両は、年間500台以上も発生しています。このうち、全体の約6割が大型車です。スタッドレスタイヤを装着していても、縦断勾配5%を超える区間では立ち往生が多く発生しています。また、スタッドレスタイヤを装着している車両のうち、チェーン未装着車が9割弱を占めています。

スタッドレスタイヤであっても、チェーンを付けなければ、坂道などで立ち往生しやすいのです。

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除雪対応力も低下

地方において、除排雪の対応力が低下していることも、新規制の背景に挙げられます。除雪オペレーターの高齢化によって、除雪能力が年々低下。除雪に携わる企業も減少傾向で、たとえば札幌市では2000年から2016年にかけて、19%も減っているそうです。

そこで、国交省としては、除雪方針を転換。これまで集中的な大雪時は、「道路をできるだけ通行止めにしないこと」を目標として対応してきましたが、今後は、大規模通行障害の抑制と通行止め時間の最小化を図ることを目標にします。「道路ネットワーク機能への影響最小化」を目指すわけです。

200区間を順次指定

大雪時のチェーン義務化は、その一環で、過去に立ち往生が起きた場所や急坂などの約20区間を、2018年度末までに順次指定。2019年度以降も加えて、最終的に幹線道路を中心に約200区間に広げていきます。

2月に大規模通行障害が発生した福井県では、下図のような規制区間が想定されています。

福井県通行規制
画像:国道8号・北陸自動車道 冬期交通確保対策(案)

直轄国道では、2区間で予防的通行規制による集中除雪を実施し、チェーン着脱場等の整備状況を踏まえチェーン規制を検討します。高速道路では、重点区間2区間でチェーン規制を検討します。

このように、警報発令レベルの大雪が降った際に、立ち往生が懸念される区間に限り、実施される規制です。そのため、普段はスタッドレスタイヤを装着していれば気にしなくていいのですが、冬季に荒天が予想されるときに幹線道路を走る場合、チェーン装着をしなければならなくなりそうです。

新しい標識も、しっかり覚えておきましょう。(鎌倉淳)

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