タイ高速鉄道バンコク・ノンカイ線が着工。チェンマイ線も計画中

タイの高速鉄道が着工しました。バンコク・ノンカイを結ぶルートの一部で、中国が建設に協力します。新幹線方式のバンコク・チェンマイ線も、日本が調査書をタイ政府に提出し、実現へ向け動き出しています。

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バンコク~ナコンラチャシマー間で着工

タイの高速鉄道計画は、バンコクを中心に、大きく分けて4方面の路線が計画されています。

このうち、バンコク~ノンカイ線(ノンカイ線)が中国方式で、バンコク~チェンマイ線(チェンマイ線)が日本方式で、それぞれ建設することが決まっています。

今回着工されたのは、中国方式で建設されるノンカイ線の一部で、バンコク~ナコンラチャシマー間の約250kmです。

最高速度250km/hとなるタイ初の高速鉄道です。現在、同区間は在来線で3時間以上かかっていますが、完成すれば1時間半で結ばれるそうです。

タイ高速鉄道ノンカイ線
画像:THE NATIONより

「一帯一路構想」の一部

この区間は、中国の「一帯一路」の一部となる予定で、将来的にはノンカイからビエンチャンを経て、ラオス国内を抜けて中国のシーサンパンナまでつながる構想です。実現すれば、北京からバンコクまでが鉄道で結ばれるという、重要な路線です。

総工費は1,790億バーツ(約6200億円)。当初はタイ・中国両政府が分担する構想でしたが交渉がもつれ、最終的にはタイ単独出資で中国から技術協力を受けるという枠組みに変更されました。

当初はバンコク~ノンカイ間を一気に作る計画でしたが、経由地のナコンラチャシマまでとし、ラオスとの接続は棚上げされています。

そうした紆余曲折を経たものの、2017年12月21日に、とにもくかくにも着工に漕ぎ着けたわけです。順調にいけば2021年に開業します。

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バンコク・チェンマイは3時間半

一方、日本の新幹線方式で建設予定のバンコク~チェンマイ間は、日本側による事業性調査が行われ、このほどその報告書がまとまり、12月14日にタイ側に提出されました。

バンコク~チェンマイ間の高速鉄道は、約670kmで、途中12駅が建設されます。最高速度は300km/hで、所要時間は約3時間半です。

報告書の詳細は公表されていませんが、現地報道によりますと、工事をバンコク~ピッサヌロークと、ピッサヌローク~チェンマイ間の2期に分け、バンコク~ピッサヌローク間については、2019年に着工し、2025年の開業を想定しています。

全線の総事業費は4,200億バーツ(約1兆4500億円)と見積もられています。日本側は「事業性はある」としていますが、中国方式に比べて工費が高いこともあり、現地では慎重論もくすぶっています。

タイ鉄道の旅も変化の時代

タイが日中両方式の高速鉄道を導入する背景としては、国内の政治的な理由のほか、伝統的な全方位外交という国策を反映しているようです。

いまのところ、具体化している高速鉄道計画はタイ北部方面だけですが、マレーシア方面への建設構想もあります。

こうした高速鉄道計画が本当に実現するのか、という点については、筆者は判断するほどの知識を持ち合わせていません。ただ、作ると決まれば、日本の整備新幹線のように、何十年もかけてチマチマ進めることないのでは、と思います。

なんであれ、タイの鉄道は、この先10年で大きな変化を迎えそうです。夜行列車を使ったのんびりとした鉄道旅行はタイの楽しみの一つですが、そうした旅ができるのも、そう長くはないかもしれません。(鎌倉淳)

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