シンガポールの地下鉄(MRT)のサークルラインが、2026年7月12日に全線開業します。最後まで未開通だった南側区間がつながり、路線名どおり「環状線」になります。途中、マレー鉄道の旧シンガポール駅の地下にも駅が設置され、15年ぶりに駅が“復活”します。
「C字路線」の運転系統
シンガポールの地下鉄、MRTサークルライン(Circle Line)は、都心周辺をぐるりと囲む計画で、2009年から段階的に開業してきました。ただ、南側の一部だけが未開通となっています。
そのため、これまでのサークルラインは、実際には「C字型」の運転系統でした。ハーバー・フロント側とマリーナ・ベイ側がつながっておらず、「サークルライン」といいながら一周できなかったわけです。

いよいよ環状線に
しかし、2026年7月12日、最後の区間であるハーバー・フロント~マリーナ・ベイ間が開業し、サークルラインは完成します。
山手線や大阪環状線のように、都心周辺をぐるりと回る「環状線」が、シンガポールに誕生するわけです。全長は39kmで、駅数は30(枝線区間除く)。山手線の34.5kmよりやや長く、環状区間の駅数は同じです。

マリーナ・ベイからセントーサ方面へ
サークルラインの完成で、旅行者の利便性も高まりそうです。最大のポイントは、マリーナ地区とセントーサ島という、二つの統合型リゾート(IR)を結ぶことです。
マリーナ・ベイ・サンズ最寄りのベイ・フロント駅から、セントーサ島玄関口のハーバー・フロント駅方面へ、サークルライン経由で一本で結ばれます。乗り換えが減り、観光客の動線がシンプルになります。
また、サークルラインは既存の主要路線と12駅で接続します。南北線、東西線、ダウンタウン線、トムソン・イーストコースト線などとの乗換利便性も向上します。

旧シンガポール駅跡にカントンメント駅
今回の延伸により、ケッペル駅、カントンメント駅、プリンス・エドワード・ロード駅の3駅が新たに開業します。3駅は、いずれもシンガポール南部の港湾エリアに位置します。
このうち、旅行者的に注目なのは、カントンメント駅でしょう。
この駅は、かつてのマレー鉄道のタンジョン・パガー駅の地下に整備されています。タンジョン・パガー駅は、マレー鉄道の終点にあたり、「シンガポール駅」とも称されたターミナルです。2000年代以前にマレー鉄道を利用した旅行者なら、ご記憶の方も多いでしょう。

タンジョン・パガー駅での鉄道運行は2011年6月30日をもって終了していますが、そのホームの地下に新ホームが作られ、約15年ぶりに鉄道が“復活”するわけです。

駅ホームのデザインも、旧駅舎をイメージさせる、アールデコ調の旧駅舎の雰囲気を取り入れています。

なお、旧駅舎は現存しており、将来的には博物館になる構想もあるようです。ただ、現時点で旧駅舎は一般開放をしていません。
地下鉄網が拡張中
シンガポールでは近年、地下鉄網の拡張が急速に進んでいます。現在も「クロスアイランド線(CRL)」や「ジュロン地域線(JRL)」などの新線が建設中です。
シンガポールの国土面積は東京23区ほどしかありませんが、公共交通を重視する政策によって鉄道ネットワークは年々強化されています。
サークルライン全通は、その象徴的なプロジェクトの完成といえそうです。(鎌倉淳)
























