政府は、新幹線の基本計画路線を対象とした「ケーススタディ」を実施する方針を明確にしました。2026年6月にまとめた「骨太の方針2026」原案に盛り込まれたもので、東九州新幹線や四国新幹線など、沿線自治体は調査対象への選定を求める動きを強めています。
「骨太」原案に明記
政府は、2026年6月30日にまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」原案において、新幹線の基本計画路線の「ケーススタディ」を実施する方針を明記しました。
新幹線の基本計画路線は1973年に決定されたものの、着工されたのは中央新幹線(リニア)のみで、それ以外は整備計画への格上げにも至っていません。
ただ、現行の整備新幹線の未完成区間は少なくなっており、ようやく、基本計画路線の建設も視野に入るようになりました。
ケーススタディは、その整備手法などを検討するもので、今後の基本計画路線の整備の方向性を探る基礎資料になるとみられます。

「骨太2025」に端緒
基本計画路線の整備手法の検討は、前年の「骨太の方針2025」にも盛り込まれていました。
「骨太の方針2025」では、「基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワークについて、各地域の実情を踏まえ、地方創生2.0の実現にも資する幹線鉄道の高機能化に関する調査や方向性も含めた検討など、更なる取組を進める」と記載され、基本計画路線について新たな調査・検討を進める方向性が示されていました。
これを受け、国土交通省は、基本計画路線のなかから対象路線を選び、整備や運行手法などを検証する「ケーススタディ」などの実施を決め、2026年度予算で1億8900万円を計上しました。
そのうえで、「骨太の方針2026」において、ケーススタディの実施が政府方針として改めて明記された形です。
東九州が調査対象に名乗り
ケーススタディの対象路線はまだ決まっていませんが、基本計画路線の沿線自治体は、早くも調査対象への選定を国に求めています。
福岡県、大分県などで構成する東九州新幹線鉄道建設促進期成会は、国に対し、ケーススタディの対象として東九州新幹線を選定するよう要望しています。
この期成会には、沿線4県のほか、基礎自治体として唯一、北九州市が参加しています。そのうえで、対象ルートについて、北九州市を含むルートを基本とすることを求めています。
すなわち、久留米から分岐する「久大線ルート」や、新八代から分岐する「肥薩線ルート」を牽制しています。
四国はフル規格求める
また、四国新幹線整備促進期成会も、ケーススタディの対象路線への選定を要望しています。
四国期成会では、ケーススタディについて、フル規格新幹線を前提とした調査とし、将来的な整備計画への格上げにつながる内容とするよう求めています。
すなわち、一部区間がミニ新幹線や、いわゆる「中速新幹線」で整備されることを牽制した形です。
今後の新幹線計画を占う
基本計画路線には、東九州新幹線や四国新幹線のほか、羽越新幹線、奥羽新幹線、山陰新幹線、中国横断新幹線などがあります。
ケーススタディの対象に選ばれることが、整備新幹線への格上げに直接つながるものではありません。ただ、対象に選ばれれば、整備に向けて前進できる可能性はあります。
すなわち、ケーススタディの対象にどの路線・ルートが選ばれるかが、今後の新幹線計画の動向を占う焦点となるわけです。
政府の財政事情をみれば、基本計画路線の全線を複線フル規格で作るのは困難です。そうした状況で、単線やミニ新幹線などを含め、どのような形での整備が「ケース」として取り上げられるかも、大きな注目点となりそうです。(鎌倉淳)






















