兵庫県西宮市が、JR神戸線の甲子園口駅と西宮駅の間で、新駅の設置を検討しています。工場跡地の再開発事業の一環です。JR西日本も協議に参加し、住宅や商業、医療・福祉などを組み合わせた大規模なまちづくりを進めます。
12ヘクタールの工場跡地を再開発
新駅構想が浮上したのは、西宮市津門飯田町周辺にある工場などの跡地です。
このエリアでは、森永乳業近畿工場やニッカウヰスキーの工場などが操業していましたが、2019年から2024年にかけて相次いで閉鎖。約12ヘクタールのまとまった土地が生まれ、現在は大和ハウス工業が所有しています。
敷地は北側でJR神戸線に接し、南側は国道2号に面しています。阪急西宮北口駅からも直線距離で約900mという立地です。
西宮市はこの土地について「阪神間に残された貴重な一等地」と位置づけています。
市は2025年2月、土地所有者の大和ハウス工業と「まちづくり協議会」を設立。その後、JR西日本も協議に加わり、跡地を中心とした将来のまちづくりについて検討を進めてきました。
その結果、西宮市が2026年6月に「工場等跡地まちづくり方針」を公表しました。

西宮~甲子園口間に新駅を検討
このまちづくり方針のなかで示されたのが、「JR新駅の設置検討」です。
対象エリアはJR神戸線の西宮~甲子園口間に位置します。両駅の駅間は約2.5kmで、JR神戸線では比較的駅間距離が長い区間です。
新駅の具体的な位置や規模、開業時期などは決まっていません。西宮市も現時点では「未定」としており、これから利用者数の試算などを行う段階です。
西宮北口駅との新たな動線も
今回の構想では、新駅だけでなく、JR神戸線を南北に横断する歩行者・自転車の動線も検討されています。
対象エリアはJR神戸線の南側にありますが、阪急西宮北口駅方面へ向かうにはJR線を越える必要があります。ところが、この周辺では、歩行者や自転車が安全にJR線を横断できる道路がありません。
そのため、JR線を南北に結ぶ自由通路などを整備し、対象エリアと西宮北口駅周辺を歩いて行き来しやすくすることも検討されています。
新駅が実現すれば、JR線の利用が便利になるだけでなく、西宮北口駅周辺との回遊性も高まりそうです。

住宅・商業・医療などを集積
再開発では、鉄道駅だけを整備するのではなく、跡地全体を新たな都市拠点として再編することを目指しています。
方針では、シンボルとなる広場を中心に、住宅、商業、医療・福祉など複数の機能を配置。「暮らす・働く・学ぶ・集う」といった多様な用途が重なるまちを目指します。
また、「GREEN」をキーワードに、緑豊かな空間づくりや環境負荷の軽減、ウォーカブルなまちづくり、防災対策などにも取り組む方針です。
西宮市としては、西宮北口駅周辺の都市機能をさらに拡充するとともに、JR神戸線沿線にも新たな都市拠点を形成する狙いがあります。
「基本協定」締結を目指す
今後は、大和ハウス工業が土地利用や基盤整備の具体化を進め、西宮市とJR西日本が新駅やJR線横断通路、鉄道とまちづくりの連携について検討します。
市は、新駅の利用者数の試算や整備施設の具体化などを進め、2027年度以降に「まちづくり基本協定」を締結することを目指しています。

新駅の実現性は?
現時点では新駅の設置は決定していません。開業時期も決まっていません。
とはいえ、今回の構想には、新駅の設置を検討できる条件がそろっています。駅用地を含む約12ヘクタールの大規模な再開発が計画されており、JR西日本も協議に参加しています。さらに、西宮駅と甲子園口駅の間は約2.5kmあり、新駅を設置する余地のある区間です。
なにより、西宮市と大和ハウス工業、JR西日本が協議してまとめた「まちづくり方針」に、新駅の設置検討が明記されました。
まだ「構想」の段階ではあるものの、単なる新駅の要望ではなく、大規模な再開発と一体となった計画です。今後の利用者数の試算や事業スキームの検討によって、新駅の実現性が見えてくるでしょう。
さくら夙川駅以来
JR神戸線では、2016年に摩耶駅と東姫路駅が開業。西宮市内では2007年にさくら夙川駅が開業しています。
今回の構想が実現すれば、西宮市内のJR神戸線では、さくら夙川駅以来の新駅となります。






















