神奈川県は、相鉄いずみ野線の延伸について、湘南台~倉見の全区間を対象に検討を進める方針を明らかにしました。これまでは湘南台~慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)付近を先行区間と位置づけてきましたが、採算性の確保に至らなかったとして、検討区間を倉見までの全線に拡大します。
倉見まで約8kmの延伸構想
相鉄いずみ野線の延伸は、現在の終点である湘南台駅から、JR相模線の倉見駅がある寒川町倉見地区まで、約8kmを結ぶ構想です。2016年の交通政策審議会答申にも盛り込まれています。
神奈川県は、これまで、一定の利用者が見込める慶應義塾大学SFC付近までの約3kmを先行区間として検討を進めてきました。藤沢市の秋葉台公園付近にA駅、SFC付近にB駅を設ける計画です。その先の倉見地区までの約5kmは、第2期区間と位置づけてきました。
しかし、先行区間だけで事業化に必要な採算性を確保することができず、事業着手には至っていません。

新幹線新駅の具体化で方針転換
そうしたなか、倉見地区では東海道新幹線新駅の誘致に向けた動きが進んでいます。神奈川県は、JR東海から新駅の概略設計に関する技術的な協力を得られる見込みが立ったとして、2026年9月の補正予算案で、概略設計に関連する予算として1,430万円を計上しました。
さらに、2028年度までの3年間で総額2億7,000万円の継続費も設定しました。これにより、新駅の構造や配置などの概略設計と、設置による経済波及効果の推計を実施します。
ハブ駅が誕生
こうした状況を受け、黒岩祐治知事は9月17日の県議会一般質問で、相鉄いずみ野線の延伸について、検討対象を湘南台~倉見の全区間に広げる方針を明らかにしました。自民党の吉田淳基県議の質問に答えたものです。
知事は「慶応SFC付近までを先行区間として検討をすすめてきたが、採算性の確保には至らなかった」と述べ、SFCまでの先行開業を事実上断念することを認めました。
そのうえで、「新幹線新駅が設置され、相鉄いずみ野線がつながれば、JR相模線を含めた3路線が接続するハブ駅が誕生し、延伸区間の利用者も大きく増加することが期待される」と説明し、「新幹線新駅の設置を想定して、相鉄いずみ野線延伸の検討区間を寒川町倉見地区までの全線に拡大し、採算性の向上について検討を深めていく」と述べました。

新幹線、相模線、いずみ野線が接続
倉見地区には現在、JR相模線の倉見駅があります。ここに東海道新幹線新駅が設置され、相鉄いずみ野線が延伸すれば、知事が述べたように、3路線が接続する交通拠点となります。
JR相模線を介して県央・湘南地域から新幹線へアクセスしやすくなるほか、相鉄線沿線から東海道新幹線に乗り継ぐ新たなルートが構築されます。
新たな方針は、新幹線と相鉄の両方を倉見でつなげることにより、経済波及効果を高め、新駅・新線双方の実現性を高めることが狙いとみられます。
2016年の交通政策審議会答申時の調査では、湘南台~慶應SFC間の費用便益比は0.3~0.4、湘南台~倉見間は0.2でした。これは新幹線新駅を前提としていない数字ですが、新駅設置により、湘南台~倉見について、1以上に引き上げることを目指すわけです。
2040年代以降に
ただし、JR東海は倉見地区への新駅設置を決定していません。
したがって、相鉄いずみ野線の延伸が決まるとすれば、新幹線倉見新駅の建設が確定した後となります。それはリニア中央新幹線の開業後の話であり、実現するにしても2040年代以降になるでしょう。
逆に言えば、先行開業を断念することにより、相鉄いずみ野線では、近い将来の延伸の可能性がなくなったといえます。慶應SFCまでの早期開業を期待していた方には、残念なお知らせかも知れません。(鎌倉淳)






















