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高松空港民営化の提案内容が壮大で。地方空港にはこんなに夢がある?

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民営化される高松空港の運営権を、三菱地所や大成建設などの企業連合が獲得しました。提案では旅客ビルの増築や、LCC対応の駐機場設置などを計画しています。路線数を倍増させ、現在の7割増の旅客数を目指すという構想は、なかなか壮大です。

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2018年4月に民営化

高松空港は、2018年4月に民営化される予定で、運営を担う事業者を公募していました。今回、その事業者が三菱地所を代表とする企業連合に決定。大成建設や建設コンサルタントのパシフィックコンサルタンツなどで構成します。

国土交通省が公表した運営事業者選定の講評によりますと、「設備投資の総額」で他陣営を圧しています。「投じる金額」が運営権獲得の決め手となったようです。

高松空港民営化案
画像:国土交通省

クリーンエリアを17.5倍に拡大

巨費を投じるだけに、その提案内容はなかなか壮大です。既存の旅客ビルをリニューアルした上で増築し、保安検査後のクリーンエリア(制限地域)を現在の180平米から3,150平米にまで拡張します。17.5倍です。

クリーンエリアでは、商業スペースを大幅に拡大し、瀬戸内ブランドの物販店や、地元食材を使ったフードコートを設けます。

国際線エリアの商業施設も拡充。免税店をウォークスルータイプとし、現在の180平米を450平米にするそうです。

高松空港民営化フードコート
フードコート。画像:国土交通省
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旅客数は7割増目指す

旅客数は2015年の180万人から、2032年に307万人を目標とします。こちらは7割増です。内訳は国内線225万人、国際線82万人です。集客のステップとして、まずは首都圏からの観光客を増やし、さらにリピーターの向上などを目指します。

路線数は、現在国内線3、国際線4ですが、これを国内線6、国際線7に増やすことを目指します。具体的には、国内線は現在の羽田、那覇、成田に加え、LCCなどを誘致し、福岡、中部、新千歳の3空港と結びます。国際線は現在の台北、上海、ソウル、香港の4路線をデイリー化する一方、タイ、シンガポール、北京の各路線を誘致します。

路線誘致のため、着陸料などを四国瀬戸内エリア最安値に設定したうえで、LCCの就航意欲を喚起する料金割引を実施します。

高松空港民営化路線図案
画像:国土交通省

空港施設も充実

便数増に対応して、空港施設も充実させます。搭乗ゲートを6スポットから8スポットに拡大し、LCC対応の搭乗施設やスポットも新設。国際線手荷物受取場の処理能力も複数便で同時対応できるようにします。

高松空港民営化到着ロビー
到着ロビー。画像:国土交通省

高松空港民営化案
空港ラウンジ。画像:国土交通省

個人客が利用しやすいように、空港アクセスも充実させます。高松駅、高松港へのバスのアクセスを強化する一方、主要観光地へ直接向かえる「ダイレクト・エアポート・シャトル」も新設。レンタカーやカーシェアも充実させます。駐車場容量は、現状の約1,000から約1,300台に増やします。
 
地域と連携して、搭乗客以外も集うにぎわいづくりにも力を入れます。四国の特産品を販売する屋外のイベントスペースや、子供が遊べるアウトドア施設も構想。周辺の公園と組んだ集客策も検討し、地域から愛される空港施設を目指すということです。

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空港全体を一体運営

現在、高松空港は、滑走路などの空港施設は国が、ターミナルビルと貨物ビルは香川県や高松市、航空会社などが出資する第三セクターの高松空港ビルが、駐車場は一般財団法人の空港環境整備協会がそれぞれ運営しています。

今後は三菱地所などの企業連合が新設する特別目的会社(SPC)が、国に空港施設の運営権対価として50億円を支払った上で、約16億円で高松空港ビルの株式を取得します。SPCが滑走路などの空港施設と、ターミナルビルなどの付帯施設をあわせた空港全体を、一体的に運営します。

SPCには、香川県や高松市などの関係自治体が10%以下の割合で出資し、非常勤の取締役1名と常勤の職員1名を派遣することが条件になっています。

2017年12月には、三菱地所連合がビル施設の運営を開始し、2018年4月から空港全体を一体運営します。当初の運営期間は15年間ですが、最長55年まで延長できます。

野心的な計画

正直なところ、三菱地所連合の提案は、高松空港という地方空港レベルでは壮大すぎて、こんな立派な地方空港が本当に実現するのだろうか、と思わなくもありません。

計画を見ると、国内線に関しては四国の玄関口としての地盤固めを目指し、国際線に関しては瀬戸内エリアの玄関口としての地位を獲得しようという野心がうかがえます。

しかし、路線網拡大には地元自治体などの協力が不可欠ですし、立地が悪ければ利用客は簡単には増えません。その意味で、空港会社がいくら頑張っても、地方空港では限界があります。

地方空港の民営化モデル

それでも、空港運営者の努力は重要です。高松は都市自体はそれほど大きくはありませんが、瀬戸内周遊の起点となりうる立地と考えればポテンシャルはありそうです。それを活かす構想は素晴らしく、地方空港の夢の具現化を目指す計画にも思えます。

少なくとも、国と第三セクターが運営する状態ではとても実現できそうもない提案で、民間企業が参入する意味があろうと感じさせる内容でした。

高松空港の民間委託は、国管理空港としては仙台空港に次ぎ2例目です。仙台空港に比べれば、都市規模も空港規模も劣る高松で、どこまで民営化の成果を示せるか。今後の地方空港の民営化モデルとしても、注目したいところです。(鎌倉淳)


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