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札幌市電がメインストリート・駅前通に新路線で環状線運転へ。札幌駅、桑園、苗穂への延伸は可能か?

札幌市電の延伸が決定しました。現在の起点・終点となっている「西4丁目」と「すすきの」を接続する路線を敷設し、途中に「狸小路」の電停を新設する計画です。延長距離は400メートルにすぎませんが、これで市電は環状運転が行われることになります。

ご存じの通り、今回の延伸部分は、札幌市のメインストリートである駅前通を走ります。メインストリートを走る路面電車の建設は、現代日本では画期的です。そもそも、最近は路面電車の建設じたいがほとんどなく、21世紀に入ってからは富山市のみ。その前は豊橋市の1982年まで遡らなければなりません。富山、豊橋はいずれもメインストリートの延伸ではありませんので、メインストリートに新たに線路が敷設されたのは、少なくとも半世紀ぶり以上です。

札幌市電延伸
画像:札幌市路面電車活用計画

メインストリートに路面電車が走っている都市自体、すでに日本ではごくわずかです。言うまでもありませんが、メインストリートに線路があると道路混雑が激しくなるからです。その意味で、繁華街の真ん中の駅前通に新線を敷設する札幌市の決断は、かなり大きな意味を持つといえるでしょう。

環状運転開始は2015年春の予定。ただ、この環状運転で札幌市の交通が大きく変わる、ということを期待する人は少ないかもしれません。焦点はその先に構想されている札幌駅延伸が実現するかどうかです。

もし、札幌駅延伸が実現すれば、札幌駅と大通・すすきのという札幌の2大繁華街が路面電車で結ばれます。一方で、同区間にはすでに地下鉄があるほか、地下歩道まで完成しており、さらに路面電車を作る意味は薄いという指摘もあります。観光客は路面電車を選ぶ人もいるでしょうが、地域住民は早くて便利な地下鉄か、お金のかからなくて歩きやすい地下歩道を使う人が多いのではないかという意見です。全国的にみても、現在の日本において、地下鉄と路面電車が同一区間で重複して運行されている例はありません。

札幌~大通間に路面電車を建設する意味があるとすれば、それは中心市街地である大通・すすきの空洞化防止に役立つ場合でしょう。札幌駅前の商業集積が増えるにつれて、大通・すすきのの商業施設は衰退傾向にあります。路面電車が中心市街地アクセスへの向上につながるなら、建設する価値は出てくるかもしれません。

具体的には、札幌駅からさらに先に路面電車を延伸する場合です。たとえば札幌ビール工場方面や、あるいは北大ポプラ並木方面に路線を延ばすなら、そのエリアから大通へ直通できるようになりますから、中心市街地の活性化には役立つでしょう。ただ、それらの区間で採算が取れるほどの輸送量を確保できるのかは微妙なところです。

札幌市としては、札幌駅エリアから北三条通りを苗穂方面に延長する計画を持っているようです。経由地の詳細は未定ですが、北海道庁前から東へ分岐して苗穂に至る路線が有力です。この路線ができれば、苗穂方面から大通へのアクセスが向上して、札幌駅前~西4丁目間の採算性も向上するでしょう。

いっぽう、もう一つの延伸候補地として桑園地区が挙げられています。これは「西15丁目」から福住桑園通を北上する路線が有力のようです。こちらも、桑園エリアから大通への利便性が向上するというメリットがあります。ただ、優先順位としては最後になるかもしれません。

とまれ、駅前通に路面電車が走れば、札幌を紹介する写真や映像に路面電車が登場する機会が増えますし、都市のイメージを変える要素にはなるでしょう。観光客誘致のためだけに路面電車を敷設する必要はありませんが、地元住民の利便性を向上させつつ、観光的にもメリットのある展開を望みたいものです。

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