航空会社の「定時運航率」「欠航率」ランキング2013年度版。大手とLCCの差は意外に小さい!

2013年度の航空会社別「定時運航率」「遅延率」「欠航率」の統計がまとまりました。国土交通省の「特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報」で公表されています。

ここでは「定時運航率」と「欠航率」の2013年度(2013年4月~2014年3月)の数字をランキングにまとめて、順にみていきます。「遅延率」は「定時運航率」の裏返しですので省略します。なお、統計上の「バニラ」は、旧エアアジア・ジャパンとそれを継承したバニラエアの通算数字です。また、「日本航空」は、日本航空、ジェイエア、ジャルエクスプレスの合計、「全日空」は、全日本空輸、ANAウイングスの合計です。

この統計では、客席数が100または最大離陸重量が5万kgを超える航空機を使用する航空会社のみが対象ですので、小型機使用のフジドリームエアラインズやアイベックスなどは対象外です。

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定時運航率は日本航空がトップ

まずは、定時運航率をみてみましょう。

定時運航率ランキング】(単位:%)

  1. 日本航空 93.55
  2. 全日空 92.60
  3. スターフライヤー 91.83
  4. 日本トランスオーシャン 91.56
  5. エアドゥ 90.87
  6. ソラシドエア 90.53
  7. ジェットスター 87.69
  8. スカイマーク 87.22
  9. ピーチ 83.12
  10. バニラ 73.10

平均 91.80

定時運航率は、出発予定時刻より15分以内に出発した便のことをいいます。「出発」とはブロックアウトした時間。つまり、機体が動き出した時間のことです。定時運航率は運航した便に対する率ですので、欠航は反映していません。

首位は日本航空で93.55%。続く全日空が92.60%で2位です。大手2社の定時運航率はやはり高く、運賃分の価値はあるといえるでしょう。全体平均の定時運航率は91.80%ですが、これを超えるのは、大手2社のほかはスターフライヤーだけです。さらに、日本トランスオーシャン、エアドゥ、ソラシドエアまでの6社が90%超え。これらは、高い定時運航率の会社といっていいでしょう。

とはいえ、それ以外のほとんどの会社でも定時運航率は80%を超えています。LCCについても、ジェットスターの87.69%を筆頭に、最下位のバニラでも73.10%が定時運航されています。

JALとエアドゥ

欠航率はピーチがトップ

次に、欠航率を見てみましょう。

欠航率ランキング】(単位:%)

  1. ピーチ 0.55
  2. ソラシドエア 0.85
  3. ジェットスター 1.00
  4. スカイマーク 1.03
  5. 日本トランスオーシャン 1.13
  6. 全日空 1.21
  7. 日本航空 1.26
  8. エアドゥ 1.50
  9. スターフライヤー 1.59
  10. バニラ 2.00

平均 1.22

欠航率は運航予定便数に対する欠航便の割合です。運航予定便数とは当日運航する予定だった便のことで、事前に運航を撤回する「運休」とは異なります。最近、機長不足などでLCC各社で便の間引きが相次いでいますが、これらは「運休」に該当しますので、欠航率には反映されません。

さて、欠航率では、意外なことにLCCが大手より低くなっています。ピーチの0.55%は非常に低いですし、ジェットスターも1%と低い数字です。LCC以外でも、ソラシドエアやスカイマークといった中堅航空会社は低欠航率で健闘しています。例外はバニラですが、それでも欠航率は2%にすぎず、98%の便はきちんと飛んでいます。

ただ、LCCの欠航率が低いのは、地方空港への路線が少ない、という側面もあると思われます。LCCは基幹空港を中心に路線展開していますが、欠航が出やすいのは、航空保安施設が貧弱で天候の影響を受けやすい地方空港です。地方空港への路線が多い大手2社は、台風や大雪時にどうしても欠航が増えやすいという事情がありそうです。

LCCの「運休率」の公表を!

ここまで、航空会社別の「定時運航率」と「欠航率」の数字をまとめてみました。ざっくりいうと、「どの航空会社もそれほど大きな違いはない」といえます。たとえば、日本航空とジェットスターの差は、定時運航率で5.86%、欠航率で0.21%の違いしかありません。欠航率には「運休」が含まれていないので、そこは差し引いて考える必要がありますが、少なくとも当日空港に行って、「遅れる」「飛ばない」という事態に出くわす確率は、「大手もLCCも大差ない」のです。

LCCであっても、欠航率でみれば「100回のうち99回は欠航しない」ことになります。定時運航率でみれば、LCCは「10回のうち7~8回は定時運航している」ということになります。「LCCは遅延と欠航が怖い」とよく言われますが、統計数字を見る限り、この先入観は捨てた方がいいのかもしれません。

おおざっぱにいうと、「たまに遅れるけれど、ほとんど欠航はしない」というのが、現在の日本のLCCの特徴です。乗客としても、「遅れるくらいはいいけれど、欠航は困る」という人が多いでしょうから、そうしたニーズに適切に対応しているといえます。

とはいえ、最近の日本のLCC各社では、予約開始後の「運休」が頻発しています。うがった見方をすれば、「欠航率」を下げるために「運休」扱いにしている、といえなくもありません。国土交通省には、今後、一度予約を開始した航空便を運休させる「運休率」の数字も公表してほしいものです。

航空統計要覧〈2013年版〉

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