東武鉄道が「ふたら」「てんかい」「ききょう」という商標登録を出願しています。「スペーシア」後継の新型特急の列車名となる可能性が高そうですが、本命はどれでしょうか。
日光にちなんだ名称
東武鉄道が「ふたら」「てんかい」「ききょう」の商標登録を出願したのは2019年9月18日。現在はいずれも審査待ちです。商標の役務は「鉄道による輸送及びこれに関する情報の提供」などで、列車の愛称に使うとみられます。
日光にちなんだ名称が含まれることから、日光地区に導入する新たな観光列車向けの愛称でしょうか。
現時点で明らかになっている計画としては、中期経営計画に示されている「新型観光特急」があり、2021年度以降に導入予定です。100系「スペーシア」後継の新型特急と目されており、これら3商標は、新型特急導入時に登場する列車の愛称となる可能性が高そうです。
二荒山神社、南光坊天海、桔梗紋
3つの愛称のうち、最もわかりやすいのは「ふたら」。日光二荒山神社にちなんでいるとみられます。
「てんかい」は、徳川家康側近で日光東照宮創建の中心人物とされる南光坊天海にちなんでいるとみられます。
「ききょう」に関しては、日光東照宮に刻まれていると話題になった桔梗紋にちなんでいるのかもしれませんが、東照宮の桔梗紋説には異論もあるので、定かではありません。
複数の名称を同時出願
東武鉄道は、列車名を商標登録する際に、複数の名称を同時出願し、一つを正式採用する傾向があります。「SL大樹」の登場時には、「SL轟」「SL葵」を同時出願しましたし、「東武川越特急」登場時には「東武川越急行」「東武川越エクスプレス」「東武川越ライナー」を出願しています。
これらの例にならうなら、「ふたら」「てんかい」「ききょう」のうち、採用されるのは一つになるでしょう。
本命は「ふたら」?
では、本命はどれでしょうか? 筆者の予想ですが、既存の東武特急の愛称「けごん」「きぬ」がともに名所にちなんでいるので、新愛称も名所にちなんだ「ふたら」が本命に感じられます。
「てんかい」の南光坊天海は歴史上有名な人物ですが、方広寺鐘銘事件に関わった黒衣のイメージも強く、愛称にはしづらい印象です。「ききょう」については、桔梗の木は日本全土に生育するので、日光を連想する人は多くなさそうです。
東上線、野田線の可能性は?
ただ、これらの愛称が東武日光線の新型特急に使われると決まったわけではありません。たとえば東上線や野田線の新列車の愛称に使われる可能性もあります。
南光坊天海は川越市の喜多院とも深いつながりがありますし、桔梗は鎌ケ谷市の市花です。最終的に、これらの名称がどう使われるのか楽しみです。(鎌倉淳)