「路線バスで鬼ごっこ!」第9弾 埼玉決戦を少しだけ分析する。逆転を許した小さなミス

ちょっともったいなかった

「ローカル路線バスで鬼ごっこ!」の第9弾が放送されました。太川陽介と松本利夫がチームを率いて対戦する番組です。バスの乗り継ぎ部分について、少しだけ分析してみました。

なお、以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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須田亜香里、寺島進ら参加

テレビ東京の「路線バスで鬼ごっこ!」は、「ローカル路線バスの旅」シリーズの企画の一つです。2023年10月18日に放送された第9弾では、ルイルイこと太川陽介とEXILEの松本利夫がそれぞれチームを率い、埼玉県内で対戦しました。

太川チームには副島淳と須田亜香里が、松本チームには寺島進とMAXのREINAが参加しました。

「鬼ごっこ」のルールは、ミッションをこなしながら逃げるチームを鬼チームが追いかけ、写真を撮れば攻守交代するというもの。2日間の勝負で、先にゴールしたチームが勝者となります。

今回はスタート時点で3,000円のタクシー代が与えられ、さらにチェックポイントをクリアすると1,000円が得られるという設定でした。気になった局面について、少しだけ乗り継ぎを検証してみましょう。

路線バスで鬼ごっこ9
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バス対決旅 路線バスで鬼ごっこ第9弾 秋の埼玉決戦SP
【出演】太川陽介、副島淳、須田亜香里、松本利夫(EXILE)、寺島進、REINA(MAX)
【放送日】2023年10月18日(水) 18時25分~21時00分(テレビ東京系列)

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局面ごとに検証

「路線バスで鬼ごっこ」は、鬼と逃げ子が途中で入れ替わり、入れ替わった際に鬼は拘束され、一定時間その場にとどまらなければならない、というルールがあります。そのため、全体の乗り継ぎを検証することに意味はありません。

ここでは、局面ごとに、他の乗り継ぎ方法がなかったかを検証してみます。以下、実際ルートは「▼」、検証ルートは「▽」で示します。

表記しているバス時刻は定時です。また、番組ではっきり表示されなかった乗り継ぎは筆者による推測です。☆はチェックポイントです。距離はGoogleマップでの計測です。

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籠原への別ルートは?

1日目、松本チームは深谷駅を09時05分のバスで出発し、まずは籠原駅を目指しました。乗車したバスを深谷赤十字病院で降りたものの、籠原駅へ向かうバスは09時58分までありません。待っていては太川チームに追いつかれてしまうため、やむを得ず、タクシーで籠原駅へ急ぎました。

▼松本チーム
深谷駅北口09:05→09:20深谷赤十字病院→タクシー4.5km、1,620円→09:47籠原駅09:55→10:15本石→徒歩0.3km→さくら町通り10:18→10:40妻沼下町→徒歩0.7km→妻沼聖天山(☆)

一方、太川チームは、深谷駅を30分後に出るバスで出発。同じく深谷赤十字病院で乗り継いで、籠原駅へ向かったようです。

▼太川チーム
深谷駅南口09:37→09:49深谷赤十字病院/深谷日赤09:58→10:16籠原駅10:25→10:45本石→徒歩0.3km→さくら町通り10:52→11:11妻沼仲町


※Googleマップのルートは概略です(以下同)。

松本チームはタクシーを使ったことで、スタート早々に太川チームに捕まることは免れました。その代償として、タクシー代1,620円を支払っています。しかし、スタート直後にタクシー代を使うのはもったいなかったようにも感じられます。

ただ、調べた限りでは、深谷から籠原、あるいは妻沼への別ルートは存在しません。つまり、ここでタクシー代を使わずに、逃げ子チームが第1チェックポイントまで逃げ切る方法はありませんでした。

戦略的にみれば、序盤で鬼になっても挽回の機会はありますので、捕まってしまうのも一つの方法だったでしょう。ただ、「鬼ごっこ」というバラエティ番組の趣旨に則れば、逃げられる方法があるなら逃げるべきといえます。

そう考えると、松本チームの選択は間違っていません。スタート時に3,000円が渡されたのも、ここで使うためでしょうし、リーダー松本もそれを察したのでしょう。

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忍城から追いかけていたら

松本チームは第1チェックポイントを制した後、太川チームと違う道筋で第2チェックポイントの忍城に到達しました。しかし、先手を取られて捕まってしまいます。

その後、忍城から熊谷に向かう際、北に迂回する新屋敷ルートを選択します。しかし、このときに、太川チームを追いかけていれば、途中で確保できる可能性がありました。

▼松本チーム
忍城バスターミナル15:00→15:37新屋敷15:41→16:07熊谷駅北口

▼太川チーム
忍城バスターミナル14:40→14:56太井公民館前→0.3km→久下四丁目15:20→15:44熊谷駅南口

▽松本チーム
忍城ターミナル→15:00→タクシー4km、1,620円→15:08久下四丁目

タクシーを呼ぶのに10分程度かかったとしても、久下四丁目で太川チームに追いつける計算です。ここで太川チームを捕まえれば、太川チームがたどった乗り継ぎで、松本チームが第3チェックポイント方面へ進むことができます。

このとき、太川チームは久下四丁目で30分ないし60分拘束されます。久下四丁目から熊谷駅へのバスは、乗り逃した15時20分発が最終で、他に路線もありません。すなわち、タクシーで熊谷駅に向かうほかなく、約4.7km、1,910円が見込まれます。

ここで太川チームのタクシー代を削っておけば、終盤に松本チームが有利に立てた可能性もありそうです。

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玉川温泉への最速ルート

第3チェックポイントの上田梨栗園には、太川チームが逃げ子のまま先着。一度でミッションを成功させていれば、1,000円を獲得できていました。しかし、残念ながら失敗。直後に松本チームに捕まってしまいます。

松本チームは、すぐに第4チェックポイントの玉川温泉を目指します。上田梨栗園からみれば西の方角。そのため、松本チームはいったん東松山駅に出て乗り継ぎを探りました。しかし、玉川温泉のあるときがわ町方面へのバスは見つかったものの、時刻があいません。

ここで松本チームは、いったん熊谷方面に引き返す選択をします。熊谷駅手前の大橋南まで戻り、好接続で小川町方面へ転じます。しかし、県立循環器・呼吸器病センターで時間切れの19時を迎えてしまい、当日中に玉川温泉に到達できませんでした。

▼松本チーム
上田梨栗園→徒歩0.9km→17:01東平17:02→17:20東松山駅17:25→17:51大橋南18:10→18:29県立循環器・呼吸器病センター

このとき、仮に、上田梨栗園から直接熊谷方面へ向かっていたら、どうなっていたでしょうか。以下のようになります。

▽松本チーム
上田梨栗園→徒歩0.9km→東平17:03→17:21大橋南17:34→18:25小川町駅18:27→18:40十王堂前→徒歩0.8km→玉川温泉

このように、バスが時刻通りなら、19時までに玉川温泉に到達でき、チェックポイントをクリアできていたでしょう。

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武蔵嵐山駅を目指していたら

一方、太川チームは、東平のバス停から東松山駅に至り、健康増進センターからタクシーを使って、その日のうちにときがわ町役場付近まで進みました。

▼太川チーム
東平17:32→17:50東松山駅18:05→18:28市民健康増進センター→タクシー3,000円+徒歩、計7.4km→19:00ときがわ町役場

このとき、太川チームは、当初、武蔵嵐山駅を目指していました。仮にタクシーを使わず、武蔵嵐山駅まで歩いていたらどうなっていたでしょうか。東松山駅からのバスを市民健康増進センターまで乗らず、途中の大塚で降車します。

▽太川チーム
東松山駅18:05→18:15大塚→徒歩3.5km→武蔵嵐山駅(宿泊)
武蔵嵐山駅08:43→09:01十王堂前→徒歩0.8km→玉川温泉

大塚から武蔵嵐山駅まで約3.5kmなので、当日中に歩き切ることはできたでしょう。すると翌朝08時43分発のバスに乗れば、玉川温泉に9時すぎに到着することができます。実際ルートより少し遅れますが、松本チームには先んじることができ、タクシー代3,000円を浮かすことができていました。

ここで太川チームがタクシー代を節約していれば、2日目、坂戸へ向かう際にあれだけ歩かなくても済んだ可能性が高そうです。

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川越への別ルート

2日目、鬼の太川チームは第4チェックポイントの玉川温泉で松本チームを待ち伏せて確保。ミッションを終えた後、逃げ子となって出発します。しかし、十王堂バス停からすぐに出発する便がなく、路地に隠れ、鬼の追跡を逃れます。

しかし、坂戸方面へのバスが発着する大橋バス停(前述の大橋南とは全く別の場所)を目指していたところ、途中でタクシーに乗った松本チームに捕まってしまいます。

▼太川チーム
玉川温泉(☆)10:20→徒歩0.8km→10:35十王堂前(隠れる)→徒歩3km→11:43竹本付近(拘束30分)12:13→徒歩2km→12:42大橋12:47→13:07坂戸駅北口→徒歩→13:35若葉駅13:46→14:05八幡団地14:05→14:27蓮馨寺前→まことや(☆)

▼松本チーム
玉川温泉(☆)10:38→徒歩0.8km→十王堂前→徒歩2.8km→明覚駅11:30→タクシー→11:43路上(確保)→タクシー→竹本→タクシー計5km、2,300円→11:48大橋11:48→12:14坂戸駅北口12:26→12:36鶴ヶ島市役所12:58→13:06若葉駅(食事)14:17→14:46蓮馨寺前→14:55まことや(☆)

太川チームとしては、長距離の徒歩の最中に捕まってしまい、無念でしょう。これを逃れて、第5チェックポイントのある川越方面に達する方法はなかったのでしょうか。

一つの方法として、十王堂前から武蔵嵐山駅方面へ向かえば、次のように乗り継げます。

▽太川チーム
十王堂前10:59→11:20武蔵嵐山駅西口→徒歩3.5km→12:00大塚12:42→12:59東松山駅東口14:10→14:52蓮馨寺前

あるいは、熊谷方面へ大回りをしても、以下のようにつながります。

▽太川チーム
十王堂前11:43→12:01小川町駅12:15→12:56大橋南13:15→13:46東松山駅14:10→14:52蓮馨寺前→まことや

いずれも、実際ルートより30分ほど遅れて、川越の蓮馨寺前に到着します。松本チームの蓮馨寺前の時刻表上の到着時刻は14時46分なので、それよりも遅いです。つまり、第5チェックポイントで松本チームに捕まり、ゴールへの最終局面を鬼で迎えることになります。

したがって、武蔵嵐山ルートや、熊谷(大橋南)方面へ大回りをしたらよかった、という話にはなりません。ただ、玉川温泉から坂戸方面への歩きは厳しかったので、それを減らすことはできたでしょう。

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若葉駅まで歩いていたら

松本チームは、坂戸方面へ向かう途中で、首尾良く太川チームを捉えました。しかし、坂戸から川越へのアプローチで手こずり、第5チェックポイント到着で後手を踏み、捕まってしまいます。

▼松本チーム
坂戸駅北口12:26→12:36鶴ヶ島市役所12:58→13:06若葉駅西口/東口(食事)14:17→14:46蓮馨寺前→まことや(☆)

ポイントとなったのは坂戸駅での選択です。松本チームは鶴ヶ島市役所から鶴ヶ島駅へのアプローチを目指したものの、接続が悪く、若葉駅へ向かったものの、長い待ち時間が発生してしまいました。松本は「坂戸駅から若葉駅まで歩けた」と悔やみます。

では、松本の悔恨通り坂戸駅から若葉駅まで歩いていたらどうなっていたでしょうか。

▽松本チーム
坂戸駅北口12:30→徒歩1.9km→若葉駅13:07→13:36蓮馨寺前→まことや(☆)→蓮馨寺前→徒歩0.6km→本川越駅14:00→14:24上赤坂14:35→14:43大井中央四丁目15:00→15:23ふじみ野駅西口/東口15:30→15:50ららぽーと富士見

まことやのミッションを短時間で終わらせられれば、本川越駅14時のバスに乗車できます。その後の接続は絶妙で、16時前にゴールできていたでしょう。

まことやのミッションに多少時間がかかった場合は、以下のようになります。

▽松本チーム
本川越駅14:32→14:56上赤坂15:25→15:43上福岡駅入口→徒歩2km→ふじみ野駅16:30→16:50ららぽーと富士見

この場合、太川チームはタクシー残金が2,000円ありますので、それを使えば、以下のように追いすがることができます。

▽太川チーム
本川越15:02→15:26上赤坂16:00→16:18上福岡駅入口→タクシー3km→ふじみ野駅16:30→16:50ららぽーと富士見

つまり、ふじみの駅で追いつけます。一方、松本チームもまことやでタクシー代を1,000円得ていますので、ふじみ野駅からららぽーとまでの約3kmにつぎ込んで、足りない分を歩けば16時45分までにはゴールできるでしょう。勝負の行方は最後のタクシーの使い方に持ち越されることになります。

なんであれ、松本チームが坂戸駅から若葉駅までの2km程度を歩かなかったのは、本人も認めるとおり、ミスといえるでしょう。

バスで乗り継げる区間を歩かずに乗り継いだだけなので、「バス旅」の本旨に則った選択ですし、勝負どころでなければ「小さなミス」にとどまります。しかし、ここを歩いていれば、勝利の可能性が高かっただけに、もったいなかったというほかありません。

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本川越駅のラストチャンス

では、最終局面、鬼となった松本チームが逆転する方法はなかったのでしょうか。

第5チェックポイント・まことやでの拘束解除が15時25分。ここから約700m先の本川越駅まで歩いて急げば、15時35分に駅に着くことができたでしょう。

その場合、太川チームが乗った15時35分発のバスに間に合った可能性があります。ここで攻守逆転できれば、松本チームが俄然有利となり、そのままゴールできていたでしょう。

つまり、まことやから本川越駅までバスに乗ってしまったことも、小さからぬミスだったということになります。

最終局面で逆転できないか

実際の松本チームは、本川越駅から東方面に向かって逆転を狙いました。

▼松本チーム
本川越駅15:38→15:57愛和病院入口→徒歩0.2km→愛和病院16:18→16:36さくら堤団地16:53→17:00上福岡駅入口→17:05上福岡駅→徒歩2km→ふじみ野駅東口17:45→17:53富士見ニュータウン→徒歩0.2km→ららぽーと富士見

▼太川チーム
本川越駅15:35→15:59上赤坂→徒歩1.1km→富家病院→タクシー6km、2,900円+徒歩1.4km→17:30ららぽーと富士見

この最終局面で、松本チームが太川チームを逆転する方法はないのでしょうか。

ここでポイントとなるのはタクシー代で、松本チームは、川越の時点で資金をほとんど残していませんでした。そのため、バスを乗り継ぐしかありませんが、バスだけで太川チームを逆転するルートは見当たりません。

すなわち、第5チェックポイントから本川越駅まで小走りで急ぐことが、松本チームに残された最後のチャンスでした。しかし、そこで松本チームはバスを待ち、そのバスが遅延してしまったこともあり、太川チームを取り逃してしまいました。

対する太川チームは、混雑する川越市内のバス乗車にこだわらず、本川越駅まで歩いています。最終的には、この違いが結果の差につながったとも言えそうです。

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順当な結果に

まとめてみると、今回、ミスが目立ったのは松本チームでした。ベテラン俳優への配慮もあったのか、得意のフィジカルを思うように繰り出せず、精彩を欠いた印象です。前回に続いて、メンバー構成で得意技を封じられた形でしょうか。

対する太川チームは、玉川温泉から川越へ向かうアプローチでずいぶんと歩きましたが、乗り継ぎとしては最速ルートを選んでいます。太川チームにミスらしいミスはなく、手堅く乗り継いで2日間を乗り切りました。

「路線バスで鬼ごっこ」は、偶然に左右されるゲームです。しかし、今回に関して言えば、手堅い試合運びをしたチームが勝利するという、順当な結果となりました。

これで対戦成績は5勝4敗で太川チームが一つ勝ち越しました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

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