航空券は出発日から何日前になると、どのくらい値上がりするのでしょうか。その具体的な値動きが、国土交通省のサンプリング調査で明らかになりました。
JAL、ANAの国内航空券は出発日28日前までの値動きが小さく、28日前から動きが大きくなり、21日前を過ぎると急激に価格が上がります。ただ、路線により状況が異なることもあります。航空券の「本当の買い時」はいつなのか。具体例から読み解いていきましょう。
国交省サンプリング調査
国土交通省は2025年度上半期の、国内航空会社の運賃設定状況を公表しました。4つの区間・日付について、「代表例」としてサンプリング調査の結果を明らかにしています。
関西→羽田、釧路→羽田、羽田→熊本、女満別→羽田の4路線について、出発日からさかのぼり、何日前にいくらの運賃で航空券が販売されていたかを、航空会社別にグラフ化したものです。
順にみていきましょう。

関西→羽田線
最初は2025年6月1日(日)の関西→羽田線です。12時ごろに関西を出発するJAL、ANA、スターフライヤー(SFJ)の3便について、価格変動を調べています。ANAとスターフライヤーはコードシェア便(同一便)です。

グラフの見方ですが、上欄の運賃区分で「75日前運賃」となっている場合、区分の右端が75日前です。いちばん右側が1日前運賃です。
ご覧のように、75日前までは、各航空会社とも1万円以下で大差なく、75日前を過ぎると、ANA、JALが先導して価格を上げていきます。ANAは、75日前、55日前、28日前、21日前といった、運賃区分が切り替わる段階で値が吹き、すぐに値下がりします。
価格が下がる局面は他にもあり、スターフライヤーは70日前頃、ANAは44日前頃、JALは40日前頃に、それぞれ価格が比較的大きく下がっています。
関西~羽田線の特徴として、早期運賃と直前運賃の差が小さく、2ヶ月前に1万円だった価格が、大手でも前日に1万3000円に上がる程度です。スターフライヤーは3日前でも1万1000円程度の価格で販売しています。早期運賃と直前運賃の価格差は最大でも3割程度です。
釧路→羽田線
次に、同じく6月1日(日)の、釧路→羽田線をみてみます。10時ごろに釧路を出発するJAL、ANA、エアドゥ(ADO)の価格です。ANAとADOはコードシェア便です。

こちらは約4ヶ月前に1万円台後半だった価格が、75日前にかけてじりじりと安くなるのが特徴です。1万円台前半にまで下がった価格が、75日前を過ぎると跳ね上がり、そこから21日前まで変動は小さく、2万円程度で安定しています。
21日前を過ぎるとJAL、ANAとも価格が跳ね上がって3万円水準になり、7日前を過ぎると4万円水準になります。ADOは3日前まで2万円水準にとどまり、3日前を過ぎると一気に4万円水準に値上がりします。早期運賃と直前運賃の価格差は3倍以上と大きいです。
JALは21日前まで、ADOと同等かやや高い水準に価格を設定していて、ADOを競争のターゲットにしていることがうかがえます。いっぽう、ANAはコードシェア先のADOに配慮してか、ほぼ一貫してADOより高値となっています。
羽田→熊本線
つづいて、2025年8月1日(金)の羽田→熊本線です。JAL、ANA、ソラシドエア(SNJ)の19時頃の出発便です。

こちらも、発売開始後、75日前にかけてじり安になり、75日前を過ぎると21日前にかけてじり高となります。ただ、21日前までは1万円台後半で安定しています。
21日前を過ぎると、JAL、ANAの価格が吹き上げ、3万円水準に。さらに7日前を過ぎると3万円台半ばとなり、3日前を過ぎると4万円以上になります。
ソラシドエアは、JAL、ANAより少し遅れて値上がりし、14日前を過ぎると2万円台後半に、7日前を過ぎると3万円台になります。全体として、早期割引運賃と直前運賃との差は最大3倍程度でしょうか。
ここでもJALは、ソラシドエアに価格競争を挑み、75日前ごろの運賃は下回っています。28日前付近でも下回る局面があります。いっぽう、ANAはコードシェア先のソラシドの価格を下回ることはありません。
女満別→羽田線
最後に、同じ8月1日の女満別→羽田線です。JAL、ANA、ADOの19時すぎの便です。ANAとADOはコードシェア便です。

こちらも75日前にかけてじり安になり、そこから徐々に切り上がっていきます。28日前までは各社とも2万円台の値動きですが、価格の上下変動が大きめです。
28日前を過ぎると、JAL、ANAが揃って3万円台半ばに値上げしますが、21日前ごろに3万円台前半に値下げし、7日前をすぎると4万台に跳ね上がります。ADOは、3日前までは2万円台ですが、3日前を過ぎると4万円台となります。
繁忙期の金曜日の夜便だからか、これまでの例よりも変動が激しいようにみえます。早期割引運賃と直前運賃との差は3倍以上です。
ここでは、JAL、ANAともADOの価格を下回る局面はありません。大手2社は一貫して1万円台後半以上の価格としていて、過度な安売りを避けているようにみえます。
航空券値動きの「傾向とまとめ」
以上、4つの例を見てみました。ここからわかることを、航空券値動きの傾向としてまとめてみます。
・JAL、ANAの値動きは、おおむね同じ。
・ANAは吹き値が出やすい。高値づかみに注意。
・中堅航空会社は、JAL、ANAの後追いで値上がりする。
・コードシェア便(同一便)ではANAよりも中堅航空会社が安い。
・75日間までは、値下がりすることも多い。
・28日前までは、値上がり傾向だが、値動きは小さい。
・21日前を過ぎると、JAL、ANAは大きく値上がりすることが多い。
タイトルに戻り、航空券の「本当の買い時はいつか」を考えると、基本的には75日前、ということになりそうです。逆に、75日前までは値下がりすることもあるので、航空券を3ヶ月以上前に購入する必要は小さいといえます。
また、75日前を基準に考えると、21日前を過ぎるとざっくり1.5倍、3日前を過ぎると3倍になります。この区切りは意識しておきたいところです。
新幹線競合路線の傾向
そのほか、値動きで気になるのは、関西~羽田線は、前日でも普通運賃(当日額)の半額以下となっていることです。
北海道、九州路線は、前日に普通運賃(当日額)の8割程度の価格にまで値上がりし、早期運賃と直前運賃の差が大きいです。それと比べると、関西~羽田線は、ギリギリまで値上がりしません。
これは、関西~羽田路線は新幹線と競合するため、3万円程度の普通運賃はもとより、8割程度の2万円台でも勝負にならないため、前日でも半額の1万円台半ばにせざるをえなくなっている、ということでしょう。新幹線が航空券の価格の上値を抑えていることが、よくわかる例となっています。
結果として、関西~羽田線は、75日前から前日までの値上がり幅が小さいため、早期購入の意味が小さくなっています。キャンセルリスクを考えれば、前日購入で十分でしょう。
これは、羽田~伊丹など、他の新幹線競合路線でも同様と考えられます。すなわち以下のような傾向も付け加えらそうです。
・新幹線競合路線は、前日まで値上がりしにくい。
75日前がもっともお得
なお、この調査は、複数の航空会社が路線を持つ競合路線を抽出したものです。競合路線はこういう値動きになるということであって、単独路線の場合は、別の形になるでしょう。
また、お盆や正月といったピーク時期は、値動き以前に座席を確保できるかが問題になるので、違う視点が必要です。
それでも、全体の傾向としていえることは、航空券は75日くらい前に買うのがもっともお得で、28日前までなら、おおむね安く買える、ということでしょう。
28日前から値動きが大きくなり、21日前を過ぎると、急に値上がりするので注意が必要です。ただし、新幹線競合路線は、直前でも比較的値上がりしにくいので、直前購入でもよさそうです。(鎌倉淳)






















