阪急阪神HDの嶋田泰夫社長が、計画中の新大阪連絡線について、「北陸新幹線のルートが決まらなければ新大阪連絡線の駅をつくる場所を定められない」と発言しました。嶋田社長は、昨年も、北陸新幹線延伸事業の着手の遅れが、阪急新大阪連絡線建設に影響を及ぼしている旨の発言をしていますが、今回、改めて明らかにした形です。
関西空港と新大阪を直結
阪急新大阪連絡線は、十三駅から新大阪駅に至る新線計画です。JR大阪地下駅から十三駅までのなにわ筋連絡線と一体的に計画されていて、なにわ筋・新大阪連絡線と称されることもあります。2031年開業予定のなにわ筋線に乗り入れて、関西空港と新大阪駅とを直結する構想です。
なにわ筋・新大阪連絡線の開業予定時期が明示されたことはありません。「なにわ筋線との同時開業を目指す」といった阪急首脳のコメントが報じられたことはありますが、事業が進展している様子もみられません。

北陸新幹線の決定待ち
これについて、阪急阪神HDの嶋田社長は5月の記者懇談会で、なにわ筋・新大阪連絡線が進捗しない理由を明らかにしました。
日本経済新聞2026年5月21日付によりますと、嶋田社長は北陸新幹線新大阪延伸について、小浜・京都ルートを「関西経済界としては推している」としたうえで、「ルートが決まらなければ新大阪連絡線の駅をつくる場所を定められない。一日も早く決まることを切望している」と述べました。
最適な形で配置
嶋田社長は、2025年9月の日経のインタビューでも、新大阪連絡線について、「北陸新幹線の新大阪延伸の詳細が見通せない現状では事業化は難しい。費用対効果を最大化するためにも焦る必要はない」(2025年9月25日付)と発言しています。
二つの発言を重ねると、新大阪連絡線の費用便益比を高めるには、他線との乗り換えを便利にする必要があり、新大阪駅の配置はリニアと北陸新幹線の駅位置を考慮して最適化しなければならない、ということのようです。
そのため、北陸新幹線のルート決定後でなければ、阪急新大阪連絡線の事業着手もできないと、今回、重ねて明確にしたわけです。
新大阪駅に来ない可能性も
北陸新幹線新大阪延伸は、小浜・京都ルートで建設することが一度は決定し、新大阪駅の概略設計も公表されています(下図)。ただ、小浜・京都ルートは建設費が高すぎることもあり、米原ルートなどを含めた再試算が行われていて、ルート決定は振り出しに戻ってしまいました。
仮に小浜・京都ルートが撤回されれば、北陸新幹線が新大阪駅に来ない可能性もあります。嶋田社長は、北陸新幹線が来るか来ないかで、阪急やリニアの新大阪駅の配置や工事手順に変更が出るため、正式に決まるまでは、新大阪連絡線に着手できないと指摘しているわけです。

本決まりまでは
北陸新幹線の新大阪延伸ルートについては、夏ごろに改めて決定される見通しです。ただ、決定したとしても、沿線自治体が巨額の建設費を本当に負担できるのかといった問題は残されています。
つまり、ルート決定と工事着手は別の話で、北陸新幹線新大阪延伸が本決まりになるまでには、まだ相当な時間がかかるのかもしれません。となると、阪急が新大阪連絡線に着手するのにも相当の時間がかかりそうで、開業は当面、見通せないというほかなさそうです。(鎌倉淳)
























