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十国峠ケーブルカーが廃止へ。スロープカーに更新、27年夏にも導入

コンセプトは「動く展望台」

富士急グループの十国峠株式会社は、現在運行している「十国峠パノラマケーブルカー」を廃止し、新たな輸送システム「スロープカー」を2027年夏ごろに導入すると発表しました。

ケーブルカーは1956年開業で、約70年にわたり十国峠の観光輸送を担ってきましたが、設備老朽化や部品確保の難しさから更新を決定。新型車両では「動く展望台」をコンセプトに、景観体験を重視した観光輸送へ転換します。

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開業70年、老朽化で世代交代

十国峠ケーブルカーは、静岡県函南町の山麓「森の駅」と山頂「パノラマテラス」を結ぶ鋼索鉄道です。

運営会社によると、設置から約70年が経過し、設備の老朽化が進行。保守用部品の調達も年々難しくなっており、将来的な安全性維持が課題となっていました。

十国峠ケーブルカー
画像:十国峠プレスリリース
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跨座式モノレール

こうした状況を受け、十国峠では、ケーブルカーを廃止し、新たな交通システムとして「十国峠スロープカー(仮称)」を導入することを決定しました。

新たなスロープカーは、嘉穂製作所製の跨座式斜面走行モノレールを採用します。路線延長は約320m、平均勾配20度で、山麓〜山頂間を約4分で結びます。

車両は、2両編成で定員80人。最大50度まで対応可能なラック・アンド・ピニオン方式の自走式モーター駆動を装備し、勾配変化時にも床面を水平に保つ構造です。

駅から車両までを含めたバリアフリー化も進め、車椅子やベビーカー利用者にも配慮します。総工費は約8億円を見込んでいます。

十国峠スロープカー
画像:十国峠プレスリリース

 

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川西康之氏デザイン、「動く展望台」に

スロープカーの車両デザインは、JR西日本273系や117系「WEST EXPRESS銀河」などを手がけた川西康之氏が担当します。

「十国峠」の“十国”にちなみ、十角形の切子をイメージしたフォルムを採用。床から天井まで届く大型ガラスを全周に配置し、360度の眺望を楽しめる構造とします。

箱根や伊豆の景観を車内から楽しめる「動く展望台」としてPRしていきます。

十国峠スロープカー
画像:十国峠プレスリリース

 
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富士急100周年の象徴プロジェクト

十国峠のレストハウスとケーブルカーは、以前は伊豆箱根鉄道が保有・運営していましたが、2022年2月に富士急行に売却されました。

富士急グループは、箱根・熱海・十国峠エリアで観光・交通インフラ整備を進めており、今回のスロープカー導入も、その一環としています。

富士急行の創業100周年に合わせた象徴的プロジェクトにも位置づけられています。

長年親しまれてきたケーブルカーは姿を消すことになりますが、新たなスロープカーは、伊豆・箱根エリアの新たな観光名所となりそうです。(鎌倉淳)

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