JR東日本は中央線を走る特急「スーパーあずさ」の新型車両として、E353系を開発すると発表しました。1993年に導入された現行のE351系は老朽化が進んでおり、その後継となります。
基本9両編成に
E353系では、走行性能と乗り心地の向上及び消費電力の低減が大きな開発ポイントになります。具体的には、新幹線E6系にも使われている「空気ばね式車体傾斜方式」の車体傾斜装置を在来線として初めて搭載。動揺防止装置(一部先頭車・グリーン車)も採用し、中央線に多いカーブ走行での乗り心地を高めます。室内照明にはLEDを採用し、消費電力の低減を図ります。
量産先行車では、「基本9両編成」、「付属3両編成」の計12両となります。現行E351系が基本8両、付属4両ですので、基本編成を増やして9連の列車を主力にすると思われます。電動車比率は「5M4T」となり、E351より電動車が1両増えます。最高速度の変更はなく時速130km。12両編成で乗車定員は686人です。
空気清浄器も設置
外観は白地に薄紫のラインが入ります。客室は各座席にパソコンを置けるテーブルとコンセントを装備、空気清浄器も設置します。空調は個別吹き出しとなり、各座席で風向きと風量の調整ができるようになります。車両出入口には防犯カメラも設置されます。
シートピッチはグリーン車1,160mm、普通車960mmで、現行のE351系と同じです。グリーン車は横4列のままです。車体傾斜装置を使うため横3列にはできないのかもしれません。
画像は上がグリーン車、下が普通車ですが、絵を見るだけでは大差ないように思えます。
4列シートのグリーン車では利用者増は期待できず、そのためか、グリーン車の定員は50人から30人に減らされます。どうやら半室構造になるようです。
普通車に関しては、全席コンセントが大きな改善点の目玉で、それ以外には個別空調くらいでしょうか。Wi-Fiに関する告知はありませんでした。
普通車の快適性向上に力点
「スーパーあずさ」は、中央高速バスとの競合が激しいですが、それに対して到達時間の短縮はあきらめ、乗り心地の改善と普通車の快適性向上に力点を置いた開発になっているようです。
ただ、この先行車のスペックを見る限りは驚くような内容はありません。車体傾斜装置を「コロ式制御付振り子」から「空気ばね高さ制御」に変えたのが最大のポイントのようで、乗り心地の改善は見込めるでしょうが、一般利用者への訴求力には欠ける気がします。全席コンセントやWi-Fiは高速バスの標準装備となりつつありますので、それを上回るサービスを期待したいところです。
落成は2015年夏で、先行車による試験走行をした後、営業運転への導入時期を決めるということです。先行車の運用区間は新宿~松本間になる予定です