国土交通省では、首都圏のおもな鉄道路線の遅延状況を毎年公表しています。その最新版が発表されました。首都圏で遅延が多い路線、少ない路線はどこなのでしょうか。最新のデータでランキングにしてみました。
首都圏45路線の遅延状況
この資料は「東京圏の鉄道路線の遅延『見える化』」というもの。2017年度のデータが2019年1月19日に公表されました。首都圏45路線について、1ヶ月(平日20日間)あたりの遅延証明書の発行日数を集計したものです。
そのデータに基づき、各路線の遅延した日数について、当サイトでランキングにしてみました。
順位 | 路線名 | 全遅延日数 |
---|---|---|
1位 | JR中央・総武線各駅停車(三鷹~千葉) | 19.2 |
2位 | JR宇都宮・高崎線(上野~那須塩原・神保原) | 19.0 |
3位 | メトロ千代田線 | 18.4 |
4位 | JR埼京・川越線(大崎~新宿~武蔵高萩) | 18.2 |
5位 | JR横須賀・総武線(大船~東京~稲毛) | 18.1 |
6位 | JR東海道線(東京~湯河原) | 17.8 |
7位 | JR京浜東北・根岸線(大宮~大船) | 17.7 |
8位 | メトロ東西線 | 17.1 |
9位 | JR山手線 | 17.0 |
10位 | JR常磐線各駅停車(綾瀬~取手) | 15.1 |
11位 | 東急東横線 | 15.1 |
12位 | 小田急線 | 14.8 |
13位 | メトロ有楽町線 | 14.7 |
14位 | 東急目黒線 | 14.5 |
15位 | 都営三田線 | 14.1 |
16位 | メトロ南北線 | 13.8 |
17位 | メトロ半蔵門線 | 13.7 |
18位 | メトロ副都心線 | 13.3 |
19位 | メトロ丸ノ内線 | 13.0 |
20位 | メトロ日比谷線 | 12.8 |
21位 | JR青梅線(西立川駅発車時) | 12.7 |
22位 | JR常磐快速・常磐線(上野~羽鳥) | 11.5 |
23位 | 東急田園都市線 | 11.2 |
24位 | 西武池袋線 | 11.1 |
25位 | JR京葉線(東京駅発着時) | 10.9 |
26位 | 西武新宿線 | 10.6 |
27位 | JR武蔵野線(府中本町~西船橋) | 10.4 |
28位 | 京成本線(支線含む) | 10.0 |
29位 | メトロ銀座線 | 9.5 |
30位 | 都営浅草線 | 9.5 |
31位 | JR横浜線(東神奈川~八王子) | 9.3 |
32位 | 都営新宿線 | 7.5 |
33位 | JR南武線(川崎~立川) | 7.3 |
34位 | 京急線(品川~横浜) | 5.7 |
35位 | 東急大井町線 | 5.5 |
36位 | 東急池上線 | 5.1 |
37位 | 京王線 | 5.0 |
38位 | 東武伊勢崎線 | 4.2 |
39位 | 相鉄線 | 4.2 |
40位 | 京王井の頭線 | 3.3 |
41位 | 東武東上線 | 3.0 |
42位 | 東急多摩川線 | 1.9 |
43位 | 東武野田線 | 1.1 |
ほぼ毎日遅れる路線
全遅延日数でワースト1に輝いたのは、中央・総武線各駅停車。20日のうち19.2日で遅延が発生しているということですから、ほぼ毎日です。2位の宇都宮・高崎線も19日で、ダイヤ通り動く平日は月に1回程度、ということになります。
3位に入ったのは、東京メトロ千代田線。2018年3月の小田急線の複々線化完成前のデータです。複々線により、2018年度はダイヤ乱れが改善している可能性もありそうです。
そのあと、4位埼京・川越線、5位横須賀・総武線、6位東海道線と、JR各線が続きます。いずれも20日のうち17~18日で遅延が起きており、ほぼ毎日といえます。
遅延の常連といえる湘南新宿ラインがありませんが、系統として宇都宮・高崎・横須賀・総武・東海道線に別れて集計されているためとみられます。「湘南新宿ライン」で数えたら、やっぱりほぼ毎日遅延しているでしょう。
民鉄ワーストは東横線
全体的に、他線との相互直通運転をしている路線が上位に入っていますが、直通運転のないJR山手線も9位にランクイン。混雑エリアを高頻度運転するので、ダイヤの乱れが生じやすいのでしょう。
JR、メトロを除く民鉄ワーストは11位の東急東横線。15.1日の遅延発生なので、4日に3日は遅れている計算になります。東急といえば田園都市線も遅れがちなイメージですが、23位で11.2日と、東横線よりはマシな様子です。
東武野田線は遅れにくい
成績がいいのは東武野田線。1.1日なので、ほぼ毎日ダイヤ通り運転しているといえます。東急多摩川線も1.9日としっかり運転しています。短距離で優等運転もなく、他線との乗り入れもしていないので、遅れにくいのでしょう。
40位の京王井の頭線(3.3日)や、39位の相鉄線(4.2日)も、遅延しにくい路線です。ただし、相鉄線は「遅延の常連」である埼京線や東横線と直通運転が予定されており、今後、遅延が生じやすくなりそうです。
直通運転があるなかで、40位の東武東上線(3日)と東武伊勢崎線(4.2日)は健闘しているといえます。
10分以上遅れる路線
ここまでは、全遅延のランキングでした。これを10分以上の遅延に限ってデータを見てみましょう。
日頃の鉄道利用で、10分程度の遅れなら気にならない人も多いと思います。遅延で迷惑を感じやすい、10分以上の遅延に限ってランキングにしてみました。
順位 | 路線名 | 10分以上の遅延日数 | 全遅延日数 |
---|---|---|---|
1位 | JR宇都宮・高崎線(上野~那須塩原・神保原) | 12.1 | 19.0 |
2位 | JR東海道線(東京~湯河原) | 11.8 | 17.8 |
3位 | JR中央・総武線各駅停車(三鷹~千葉) | 11.3 | 19.2 |
4位 | JR埼京・川越線(大崎~新宿~武蔵高萩) | 11.2 | 18.2 |
5位 | JR横須賀・総武線(大船~東京~稲毛) | 9.3 | 18.1 |
6位 | JR京浜東北・根岸線(大宮~大船) | 8.2 | 17.7 |
7位 | 小田急線 | 8.0 | 14.8 |
8位 | メトロ千代田線 | 7.8 | 18.4 |
9位 | JR山手線 | 7.4 | 17.0 |
10位 | JR青梅線(西立川駅発車時) | 6.1 | 12.7 |
11位 | JR常磐快速・常磐線(上野~羽鳥) | 5.3 | 11.5 |
12位 | メトロ東西線 | 5.2 | 17.1 |
13位 | 東急東横線 | 4.7 | 15.1 |
14位 | JR常磐線各駅停車(綾瀬~取手) | 4.6 | 15.1 |
15位 | メトロ有楽町線 | 4.5 | 14.7 |
16位 | メトロ副都心線 | 4.2 | 13.3 |
17位 | 京成本線(支線含む) | 3.9 | 10.0 |
18位 | JR横浜線(東神奈川~八王子) | 3.6 | 9.3 |
19位 | JR京葉線(東京駅発着時) | 3.6 | 10.9 |
20位 | メトロ南北線 | 3.5 | 13.8 |
21位 | メトロ半蔵門線 | 3.4 | 13.7 |
22位 | 都営浅草線 | 3.4 | 9.5 |
23位 | 西武池袋線 | 3.2 | 11.1 |
24位 | 東急田園都市線 | 3.2 | 11.2 |
25位 | メトロ日比谷線 | 3.0 | 12.8 |
26位 | 東急目黒線 | 2.9 | 14.5 |
27位 | JR武蔵野線(府中本町~西船橋) | 2.8 | 10.4 |
28位 | メトロ丸ノ内線 | 2.7 | 13.0 |
29位 | 都営三田線 | 2.5 | 14.1 |
30位 | 都営新宿線 | 2.4 | 7.5 |
31位 | 京急線(品川~横浜) | 2.2 | 5.7 |
32位 | 東武伊勢崎線 | 2.1 | 4.2 |
33位 | JR南武線(川崎~立川) | 2.0 | 7.3 |
34位 | 京王線 | 1.9 | 5.0 |
35位 | 東急池上線 | 1.5 | 5.1 |
36位 | 西武新宿線 | 1.4 | 10.6 |
37位 | 東武東上線 | 1.2 | 3.0 |
38位 | 京王井の頭線 | 1.0 | 3.3 |
39位 | 東急大井町線 | 1.0 | 5.5 |
40位 | 相鉄線 | 0.8 | 4.2 |
41位 | 東武野田線 | 0.7 | 1.1 |
42位 | メトロ銀座線 | 0.4 | 9.5 |
43位 | 東急多摩川線 | 0.2 | 1.9 |
大きく遅れやすいのは宇都宮・高崎線
上位陣の顔ぶれに大きな変化はないものの、ワーストはJR宇都宮・高崎線で、12.1日となっています。おおむね10日に6日は10分以上遅れている計算です。
2位東海道線、3位中央・総武線、4位埼京・川越線までが、10分以上の遅延が5割を超えています。
東京メトロは大きく遅れない?
全体3位だったメトロ千代田線は、10分以上では8位7.8日に改善。全体8位だった東西線も、10分以上では12位5.2日に改善しています。
東京メトロは、全体的に全遅延ランキングよりも、10分以上遅延ランキングのほうが順位が良くなっています。よく遅れるけれど、大きくは遅れない、というのが東京メトロです。メトロ線内だけを利用する場合は、次々電車が来るなら、遅れたとしても気にならないでしょうが。
私鉄でワーストなのは小田急線で8日。前出したように、複々線化完成前のデータですので、今後は改善するかもしれません。
東武東上線が好成績
10分以上の遅延が少ないのは、東急多摩川線、メトロ銀座線、東武野田線、相鉄線。この4路線は、10分以上遅れるのは月に1度未満です。
東急大井町線、京王井の頭線、東武東上線、西武新宿線、東急池上線、京王線も、月に2日未満で、まあ安心して乗れる路線でしょう。東武東上線は、遅延の多い東急東横線と相互直通運転しているわりに、大きな遅延が起こりにくいという点で、好成績といえそうです。
西武新宿線は、全遅延では10.6日もありますが、10分以上では1.4日と好成績です。他社線との直通運転をしていないためか、大きく遅れにくい路線といえます。
2014年のデータでは成績がよかった京急線は月に2.2日。東急田園都市線と西武池袋線が3.2日で同水準。大きく遅延するのは月に3~4日程度です。
JRは全体的に成績が悪いですが、南武線のように他線と直通運転しない路線では成績は悪くありません(2日)。
まとめてみると、直通運転や長距離列車の多い路線、優等の列車の走る路線は、どうしても遅延が生じやすくなるようです。(鎌倉淳)