フィンエアー(フィンランド航空)が、新千歳~ヘルシンキ線を就航させるようです。実現すれば、2002年にKLMがアムステルダム線を撤退して以来17年ぶり。ニセコなど道内スキー需要を見込んだインバウンド路線との位置づけですが、定着するのでしょうか。
日欧の最短経路
フィンエアーは、ヘルシンキを拠点とする航空会社です。日本に最も近いヨーロッパという立地を活かして、成田、中部、関西への定期便を就航。最短9時間30分で日欧間を結んでいます。福岡にも、夏季のみ運航しています。
フィンエアーが拠点とするヘルシンキ・ヴァンター空港は、乗り継ぎの効率性を重視して設計されていることもあり、日本からヨーロッパ各地へ乗り継ぎやすくなっています。ヘルシンキからは、ヨーロッパ100都市以上へ乗り継ぎ可能です。
週2往復、冬季のみ
そのフィンエアーが2019年12月16日から、新千歳~ヘルシンキ線を開設します。当面は週2往復程度、冬季のみの運航です。
ヘルシンキ発は木、日曜で、新千歳発は月、金曜。時刻表は以下の通りです。
ヘルシンキ17:05→新千歳09:00(日、木)
新千歳11:35→ヘルシンキ14:10(月、金)
ヘルシンキ→新千歳の所要時間は8時間55分。日欧最短の9時間切りとなります。
2019~2020年の冬季運航は2020年3月27日までです。夏季運航については未定です。使用機材はエアバスA330で、座席数は289席または263席です。
ヨーロッパの観光シーズンは夏で、冬にヨーロッパ旅行をする日本人は多くありません。その冬季に路線を設定するのは、新路線のターゲットが、ニセコなど北海道へのスキー場へ向かう、ヨーロッパからの旅行者だからです。
画期的な新路線
北海道のスキー場は、近年インバウンドで潤ってきましたが、実情としてはアジア・オセアニアからの旅行者がほとんどです。欧米からわざわざ極東の島までやってきてスキー、スノボを楽しむ人は多くありませんでした。
そこへ、ヨーロッパからのインバウンドをあてこんだ路線が誕生するわけで、北海道のスノーリゾートとしては、画期的な新路線といえるかもしれません。
KLM撤退から17年
新千歳空港からヨーロッパへの直行便は、2002年までKLMオランダ航空がアムステルダム線を運航していました。
この路線は、小牧~新千歳~アムステルダムという珍しい路線で、複数の国内空港で旅客を拾ってヨーロッパへの搭乗率を確保しようという試みで設定されていました。しかし、搭乗率は振るわず、5年足らずで撤退に追い込まれています。
フィンエアーの新千歳線が誕生すれば、17年ぶりの北海道・欧州直行便になります。新しい時代を切り開く新路線が定着するか、注目したいところです。(鎌倉淳)