和歌山電鐵が、ヤマト運輸と提携し「貨客混載」を開始します。名物の「たま電車」が「クロネコヤマト」を運ぶことになるわけです。
宅急便の荷物を運ぶ
和歌山電鉄とヤマト運輸は、宅急便の輸送の一部を鉄道で担う「貨客混載」を2018年2月16日から始めると発表しました。和歌山電鉄貴志川線の田中口駅~神前駅間2.3kmで、宅急便の荷物を運びます。
手順としては、ヤマトの社員2名が和歌山太田センター(和歌山市)から、宅急便の荷物を集配コンテナに積み込み、近くの田中口駅に向かいます。
7時15分発の電車に乗り込み、集配コンテナを電車に固定。社員も同乗し、神崎駅で下車します。下車後は、集配コンテナと自転車をドッキングし、リヤカー付き電動自転車として神前地区で集配します。
トラックよりも効率的
社員2人がかりでそんな面倒なことをするくらいなら、トラックで配達したほうがラクなのではないか、と思わなくもありません。しかし、ヤマト運輸によると、神前駅近くは人家が密集しており、リヤカー付き電動自転車を利用したほうが集配効率が上がるとのこと。
グーグルマップで見てみると、たしかにこのあたりは道が狭く、トラックの停車場所に困る場所が多そうです。そうしたことを踏まえて、集配コンテナと集配人を電車で運んだほうが早い、という判断になったのでしょう。
当該列車にも「たま電車」
さて、和歌山電鐵と言えば、貴志川駅の「たま駅長」と、「たま電車」をはじめとする楽しいデザインの車両で有名です。
田中口駅7時15分発の電車の車両を調べてみると、日によって異なるものの、「たま電車」で運行される日もあります。つまり、「たま電車」が「クロネコ」を運ぶ日があるわけで、「ねこの電車がネコの荷物を運ぶ」という姿が見られるわけです。
和歌山電鉄は、車両の空きスペースで荷物を輸送できるので、新たな収益源を確保できます。ヤマト運輸は、トラックの燃料費を減らすことができ、集配効率が上がります。鉄道ファンは、「ねこがネコを運ぶ」という変わった情景を見られます。
最後の一つはどうでもいいことのようにも思えますが、上手くいけば、「三方良し」の新鉄道名物となりそうです。(鎌倉淳)