「太川蛭子のバス旅2019 第5弾 北陸横断」の正解を考える。蛭子さんを歩かせすぎないで!

トップスターは無人島行かない

テレビ東京系列で「太川蛭子のバス旅2019」第5弾が放送されました。ルイルイこと太川陽介と、蛭子能収がローカル路線バスを乗り継ぐテレビ番組です。水曜日夜に引っ越ししたレギュラー番組「太川蛭子の旅バラ」の企画の1つです。

「バス旅2019」第5弾のお題は北陸横断。高田城から東尋坊まで、路線バスを乗り継いで2泊3日で到達するのが目標です。この正解ルートを検証してみましょう。

なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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親不知をどう越えるか

「太川蛭子のバス旅2019」は、ローカル路線バスだけを乗り継いで目的地を目指すというルールの旅番組です。ただし、バスが走っていない区間では、1万円までタクシーを利用できます。

「バス旅2019」第5弾の目標は、新潟県上越市の高田城から、福井県坂井市の東尋坊まで2泊3日で到達するというもの。ゴール到着時刻のリミットは18時。途中のチェックポイントはありません。マドンナは元タカラジェンヌの遼河はるひ。タイでの無人島ロケも体験したという強者です。

北陸4県をまたぐ旅で、3日間で県境を3つ越えるという手強そうなルートです。「ローカル路線バスの旅」では初めてとなる親不知の険をどう越えるかも注目点となりました。

太川蛭子のバス旅2019第5弾
画像:テレビ東京

引っ越し初回スペシャル 太川蛭子のバス旅第5弾 北陸横断の旅! 新潟県・高田城~福井県・東尋坊
【出演】蛭子能収、太川陽介
【マドンナ】遼河はるひ
【ナレーター】茂木淳一
【放送日】2019年10月9日

実際ルート

まずは、一行が実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。

▽1日目
高田公園入口09:07→09:48直江津駅前10:20→10:31直江津ショッピングセンター前12:02→12:45能生案内所13:12→13:32糸魚川総合病院14:50→15:25青海寺町→徒歩0.2km→青海駅→タクシー15km、5,740円→玉ノ木→徒歩8.6km→泊駅19:05→19:27宇奈月市民サービスセンター(宇奈月温泉送迎)

▽2日目
宇奈月市民サービスセンター07:25→07:54入善駅前08:30→08:48黒部宇奈月温泉駅09:05→09:25黒部駅前10:22→10:37東布施口→徒歩1km→木下新→徒歩3.7km→魚津駅12:50→13:13水族館前13:36→13:51滑川駅前15:25→16:18富山駅前16:30→17:20高岡駅前

▽3日目
高岡駅前06:54→08:07井波09:55→11:10金沢駅西口/金沢駅前(東口)12:18→13:22寺井史跡公園前13:35→13:58小松駅14:00→14:12小松空港14:30→15:00JR加賀温泉駅15:40→16:16吉崎御坊蓮如上人記念館・越前加賀県境の館

吉崎御坊蓮如上人記念館・越前加賀県境の館(以下、吉崎御坊)から先、あわらぐるっとバスの最終は16時00分発で間に合わず、ここで敗退となりました。この最終バスに乗れば、あわら湯のまち駅で乗り換えて、東尋坊にゴールできていたのですが、わずかに間に合いませんでした。正解を検証してみましょう。


※グーグルマップのルートは概略です。実際ルートを正確になぞったものではありません(以下同)

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タクシーを呼んでいたら

ルイルイが最初に悔いたのは、青海駅でのタクシーでした。青海から先、ロケ日(木曜日)にはバスがないことを事前に把握できていたので、青海駅に予めタクシーを呼んでおけば、玉ノ木でバスに乗り継げた、という反省です。もし、ルイルイの言うとおり、タクシーを呼んでおいたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
糸魚川総合病院14:50→15:25青海寺町→徒歩0.2km→青海駅→タクシー15km、5,740円→玉ノ木15:51→16:20泊駅前

一行が玉ノ木で乗れなかった15時51分のバスに乗り継げた場合、上記のように繋がります。

が、時間的に、この乗り継ぎが実現できたかは微妙でしょう。仮に青海駅をタクシーで15時30分に出たとして、15kmをタクシー20分で玉ノ木に到達しなければならず、ギリギリです。実際は、玉ノ木の手前に市振というバス停もあるのですが、一行は気づけませんでした。

実際ルートの通り、最初に市振駅に寄ってバス停探しをしていたりしたら、間に合わなかった可能性が高そうです。

仮に、巧く乗り継げた場合、たとえば以下のように乗り継げます。

▽1日目
糸魚川総合病院14:50→15:25青海寺町→徒歩0.2km→青海駅→タクシー15km、5,740円→玉ノ木15:51→16:20泊駅前18:00→18:22舟川新・桜並木→徒歩3.7km→入善駅20:18→20:36黒部宇奈月温泉駅20:58→21:18黒部駅前

▽2日目
黒部駅前08:26→08:41東布施口→徒歩1km→木下新09:21→09:30魚津駅前09:50→10:13水族館前11:01→11:16滑川駅前11:30→12:22富山駅前12:30→13:20高岡駅前13:59→15:16井波16:20→17:35金沢駅西口17:48→18:57寺井史跡公園前

▽3日目
寺井史跡公園前07:25→07:48小松駅08:10→08:22小松空港10:00→10:30JR加賀温泉駅10:50→11:26吉崎御坊/吉崎別院前駐車場13:00→13:28あわら湯のまち駅13:56→14:23東尋坊

このように、2日目以降はほとんど歩かずに、3日目の早い時間に東尋坊にゴールできます。1日目に黒部駅まで到達できていれば、その後が非常にラクになることがわかります。

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井波に泊まっていたら

次に大きなポイントとなったのは、2日目の高岡駅でしょう。一行は井波まで行こうとしましたが、井波での宿が電話で確保できなかったため、高岡で宿泊することにしました。仮に、井波に宿泊できていたら、どうなっていたか見てみましょう。

▽2日目
富山駅前16:30→17:20高岡駅前18:02→19:24井波

▽3日目
井波06:20→07:35金沢駅西口/金沢駅前(東口)08:18→09:19寺井中央09:39→10:00小松駅10:20→10:32小松空港11:05→11:36JR加賀温泉駅12:40→13:16吉崎御坊/吉崎別院前駐車場14:28→14:58JR芦原温泉駅15:10→15:53東尋坊

吉崎別院前駐車場から芦原温泉へのバスは土休日のみ運転ですが、3日目は土曜日なので利用できます。したがって、2日目の夜に井波に泊まっていれば、東尋坊に無事ゴールできたことになります。井波の宿が見つからずに高岡に泊まってしまったことが、今回の最大の敗因といえます。

井波に行けば行ったで、離れた宿に送迎してもらい、なんとかなった可能性もあります。しかし、1日目から強行軍で進んできた一行に疲労の色は濃く、宿の状況が見えないなか井波まで突き進むのは難しかったのでしょう。

金曜日のバスを待っていたら

では、一行の体力を奪ってしまった1日目を、もう少しラクに乗り切る方法はなかったのでしょうか。

振り返れば、1日目の青海駅での選択として、翌日(金曜日)に出るコミュニティバスを待つという決断もあり得ました。「明日にバスが出るなら、明日まで待とう」という選択です。

というより、「路線バスのない区間のみタクシー利用可」というルールを厳密に解釈すれば、青海~市振間でタクシーは使えないはずです。その考え方に基づいて、青海以東で一行が宿泊した場合は、どうなるでしょうか。

一行が青海まで至り、時刻表を確認したうえで、宿を求めていったん糸魚川に戻り、金曜日のコミュニティバスを掴まえる、という仮定でルートをたどりましょう。

▽1日目
高田公園入口09:07→09:48直江津駅前10:20→10:31直江津ショッピングセンター前12:02→12:45能生案内所13:12→13:32糸魚川総合病院14:50→15:25青海寺町→徒歩0.2km→青海駅→徒歩0.2km→青海駅入口16:04→16:20糸魚川駅日本海口

▽2日目
糸魚川駅日本海口07:30→07:45きらら青海入口→徒歩0.2km→きらら青海08:40→09:08玉の木→徒歩0.6km→境西09:47→10:08泊駅前→タクシー6.7km、約2,820円→入善駅11:00→11:18黒部宇奈月温泉駅11:25→11:45黒部駅前12:25→12:40東布施口→徒歩1km→木下新13:31→13:40魚津駅前13:50→14:13水族館前16:01→16:16滑川駅前16:30→17:22富山駅前18:30→19:31高岡駅前20:29→21:41井波

このように、タクシーを泊駅~入善駅間で使えば、2日目に井波まで到着できます。上記の乗り継ぎでは富山駅前で時間を取っていますが、1本前の17時30分のバスに乗れれば、井波にはさらに1時間以上早く着けます。2日目に井波に着いていれば、ゴールできることは上述した通りです。

つまり、1日目に糸魚川に泊まったほうが、タクシー代を温存することで、2日目に効果的なタクシー利用ができた可能性があったわけです。とはいえ、2日目には井波までしか行けませんので、最終的に宿の手配がつかず、現実的にゴールできなかったであろう結論に変わりありません。

また、泊駅~入善駅間は、迂回して乗り換えればバスでつながりますので、「バスのない区間に限り」というタクシー利用ルールに抵触する可能性があり、議論が残るところでしょう。

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ヒスイ海岸駅で待っていたら

もう一つの可能性として、ヒスイ海岸駅での選択です。一行はタクシーを玉ノ木で降りたあと、徒歩で西へ向かいます。玉ノ木以西は路線バスがあるため、タクシーを利用できない、という判断をしました。そこから約3.8km歩いたヒスイ海岸駅でバス停を発見。しかし、次の発車が20時30分だったため、待たずに泊駅前まで歩きました。

体力を考えれば、ここで休憩してバスを待つ、という選択もあったはずです。その場合、どうなっていたでしょうか。

▽1日目
青海駅→タクシー15km、5,740円→玉ノ木→徒歩3.8km→ヒスイ海岸駅20:30→20:43泊駅前

▽2日目
泊駅前07:20→07:36舟見交番前/舟見中町09:54→10:34入善駅11:00→11:18黒部宇奈月温泉駅11:25→11:45黒部駅前12:25→12:40東布施口→徒歩1km→木下新13:31→13:40魚津駅前13:50→14:13水族館前16:01→16:16滑川駅前16:30→17:22富山駅前18:30→19:31高岡駅前20:29→21:41井波

このように、2日目に高岡駅前まで到達でき、実際ルートに収斂します。高岡駅前から井波へのバスも上記のように遅くまでありますので、2日目に井波まで行くこともできます。つまり、ヒスイ海岸駅から泊駅前までは、歩いても歩かなくても結果は同じで、井波に宿があればゴール可能でした。

さらにいえば、このヒスイ海岸駅のバスは、約2.5km東の境西というバス停の発着です。一行は玉ノ木から海べりを歩いてしまったからか、このバス停に気づきませんでしたが、気づいていれば、もっと徒歩を短縮できました。以下のようになります。

▽1日目
高田公園入口09:07→09:48直江津駅前10:20→10:31直江津ショッピングセンター前12:02→12:45能生案内所13:12→13:32糸魚川総合病院14:50→15:25青海寺町→徒歩0.2km→青海駅→タクシー15km、5,740円→玉ノ木→徒歩1.5km→境西20:25→20:43泊駅前

この乗り継ぎなら、1日目の徒歩は2km弱で済んだことになり、2日目夜に井波に宿があればゴールできたことになります。

付け加えると、実際ルートで一行は泊駅前でよく確認しないまま19時05分のバスに乗り、宇奈月市民サービスセンター前に行ってしまいましたが、無理にこのバスに乗らずに、泊駅周辺で宿探しをしても、その後の結果は同じだったことになります。

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井波の宿がポイント

ここまで何度も書いてきたように、2日目に井波に着いていれば、時刻表上はゴール可能でした。

言い換えれば、2日目の井波到着が時刻表上のゴールの要件になっているわけです。しかし、現実には宿の問題があったので、2日目に、その先の金沢駅に到達していなければ、ゴールはできなったことになります。

詳細は省きますが、2日目に金沢駅に到達するためには、逆算すると魚津駅前を09時50分に出るバスに乗らなければなりません。

そのためには黒部駅を08時26分に出るバスに乗る必要があり、初日の黒部駅宿泊が求められます。これは「青海タクシー待機」パターンの成功乗り継ぎと同じです。

つまり、2日目に金沢に到達してゴールするためには、ルイルイが悔いた青海→玉ノ木のきわどい乗り継ぎを実現させなければならなかったわけです。その意味では、難易度が高いお題だった、といえます。

ただ、これは井波に泊まれないという条件下の話で、井波に泊まれるのであれば、初日は糸魚川に泊まっても間に合うので、ギリギリの設定ではありませんでした。要するに、マドンナはるひが喝破したように、「三連休前の週末ロケ」が今回の敗因の背景にあるわけで、一行にとっては不運だったといえるでしょう。

一言でいえば、今回のお題は、時刻表上はそれほどの難題ではないものの、現実にはかなり難題だった、ということです。

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目の付け所はよかったが

全体をまとめてみると、金曜日しかない親不知を越えるバスと、土休日しかない吉崎別院から芦原温泉方面のバスを組み合わせた、目の付け所のいいルート設定だったと思います。

ポイントとなった井波宿泊ですが、高岡から井波への最終バスが遅いので、2日目の昼までにもたついても夜から挽回可能な設定になっています。その点でもよく練られていたお題といえます。三連休前ではない木金土曜日にロケが行われていて、一行が青海で一晩バスを待つ余裕があれば、なかなかいい「ローカルバス乗り継ぎの旅」番組になったことでしょう。

現実には、初日に一行が先を急いで金曜限定のバスに乗らず、2日目は連休がらみの混雑で井波に宿がなく、残念な結果となってしまいましたが。

見ていてつらくなる

気になったのは、テレビの画面を通じて一行の疲労感がもろに伝わってきた点です。タクシーが使える「バス旅2019」シリーズにしては徒歩が長い回となり、健脚とはいえない一行の体力を奪っていったことがうかがえます。とくに御年71歳の蛭子さんの疲れ方は、見ているのがつらくなるほどでした。

こんな展開が続けば、高齢者への配慮に乏しい番組と思われかねません。蛭子さんを歩かせすぎないような、適度な緩さの番組を期待したいところです。(鎌倉淳)

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