小湊鐵道が「里山トロッコ」を2015年11月に運行開始。同社初の本格的観光用車両は「SL牽引」に

小湊鐵道が、蒸気機関車(SL)を先頭にした観光トロッコ列車を走らせると発表しました。愛称は「里山トロッコ」で、沿線の自然や田園風景を車内から楽しんでもらうものです。

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蒸気機関車をもとにしたディーゼル機関車

報道各社の情報をまとめて「里山トロッコ」の概要をみてみましょう。まず、「里山トロッコ」は新造の機関車1両、客車4両の5両編成になるようです。機関車は大正14年~昭和24年頃まで同社を走っていたドイツ製のC形コッペル蒸気機関車をもとに製造したもので、「SL」と書きましたが実際はディーゼル機関車のようです。

客車となるトロッコ車両の天井はガラス張りで、自然の光を採り入れられる設計です。4両の客車のうちの編成中央の2両には側面が吹き抜けで窓ガラスがなく、天井も透明にされています。編成定員は144人です。

小湊鐵道機関車小湊鐵道で保存されているC型タンク車。写真は同社ホームページより

養老渓谷などで駅前整備も

運行開始は2015年11月で、12月下旬~3月上旬を除く土日祝や学休期を中心に年180日程度運行します。平日は1日2往復、休日は3往復の予定。運賃は未定ですが、普通運賃に500円程度のトロッコ料金を加算する見込みとのことです。

運行開始にあわせて、養老渓谷駅や里見駅前ではアスファルトをはがして木を植えるなどの景観も整備します。また、「里山トロッコ」の車掌の制服を小湊鐵道開業当時のものにして、レトロな雰囲気も盛り上げます。

当初は上総牛久~養老渓谷間の18.5kmを約1時間で走行しますが、里見駅の整備終了後は里見~養老渓谷間の9.2kmの運行に短縮する計画です。沿線に広がる景色を楽しんでもらうため、通常の半分程度の時速約30kmで運転し、景色のいい場所や見所ではさらに減速するなど、乗客を楽しませる運行を目指します。

同社が新車両を導入するのは1977年以来38年ぶりで、本格的な観光専用の鉄道車両は初めてとのこと。文字通り社運を賭けた大プロジェクトのようで、ぜひ応援したいところです。

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