阪堺電軌上町線の住吉~住吉公園間が2016年1月に廃止へ。大幅減便から2年、来年が最後の正月に

阪堺電気軌道は、上町線住吉~住吉公園間(0.2km)の軌道事業の廃止を発表しました。廃止予定日は2016年1月31日で、運行最終日は1月30日です。

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最盛期には1日200本を運行

上町線住吉~住吉公園間の開業は1913(大正2)年7月。住吉公園停留場は南海本線住吉大社駅に隣接しており、阪堺電軌と南海電鉄の乗換駅にもなっています。最盛期の昭和30年代には最短1分間隔で列車が発着、1日に約200本の電車が運行されていました。

阪堺電軌鉄道は阪堺線の恵美須町~浜寺駅前14.1kmと、上町線の天王寺駅前~住吉公園4.6kmで構成されており、両線は住吉停留場で交差しています。2014年3月までは、上町線は天王寺駅前~住吉公園間の系統と、住吉から阪堺線の我孫子道方面に乗り入れる系統が交互に運行されてきました。

住吉公園

大幅減便から廃止へ

しかし、2014年3月のダイヤ改正で、運行形態を変更。上町線の電車はほとんど全てが住吉から我孫子道方面へ乗り入れることになり、住吉~住吉公園に乗り入れるのは朝7~8時台の平日5本・土休日4本のみになりました。

つまり、住吉~住吉公園間は、2014年3月に大幅減便に踏み切り、2016年1月に廃止をする、という経過をたどることになります。

減便、廃止に至る背景として、阪堺電軌は、住吉~住吉公園間の線路が敷設後60年近くを経過していて、設備の老朽化が進行していることを挙げています。

阪堺線と上町線が交差する住吉交差や住吉公園停留場構内のポイント部で老朽化が進行しており、「今後も安全運行を継続するためには、抜本的改修が不可欠ですが、改修には数億円規模の費用が必要」として、廃止を決断したということです。

利用者に大きな負担はかけないが

住吉~住吉公園間の廃止にともない、現在の住吉公園発着の電車は我孫子道までの運行に変更されます。近くに住吉鳥居前停留場があるので、利用者はそちらを利用することになります。住吉公園停留場は、正月には住吉大社への初詣客で非常に混雑しますが、それも2016年の正月限りとなりそうです。

利用者に大きな負担をかける廃止ではありませんが、伝統ある路線の「終着駅」が失われてしまうことには、一抹の寂しさを覚えずにはいられません。

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