伊賀鉄道上野市駅舎が登録有形文化財に。旧北陸鉄道加賀一の宮駅舎なども

トキ鉄「大田切橋梁」も

新たに登録される有形文化財が決まりました。交通関係では、伊賀鉄道の上野市駅舎や、旧北陸鉄道加賀一の宮駅駅舎などが選ばれています。

広告

大正時代の駅舎

文化庁の文化審議会は、新たに196件の建造物を有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申しました。秋にも答申どおり告示されます。

交通関係では、伊賀鉄道の「上野市駅舎」、「桑町跨線橋」、「小田第二暗渠」、「小田拱橋」(いずれも三重県伊賀市)の4件が、同時に選ばれたのがトピックスでしょうか。

伊賀鉄道は、JR伊賀上野駅と近鉄伊賀神戸駅を結ぶ鉄道です。大正5年に伊賀軌道として開業しました。開業当時に建築された「上野市駅舎」は、3階建てで洋風の腰折屋根を十字方向に重ねた特徴的な外観を持ちます。

「桑町跨線橋」は煉瓦造りアーチ橋、「小田第二暗渠」は花崗岩の切石を並べた特異な形式です。いずれも開業当時からの現役鉄道施設として価値があり、保存を図ります。

上野市駅

廃線後も保存

「旧北陸鉄道石川線加賀一の宮駅駅舎」(石川県白山市)も登録されました。昭和15年頃の築で、唐破風玄関を付け、社寺建築の細部意匠を取り入れるなど、白山比咩神社の門前駅として和風を意識した駅舎です。

北陸鉄道石川線の鶴来駅~加賀一の宮駅間は2009年に廃止されましたが、駅は保存されています。

加賀一の宮駅
画像:白山市
広告

大田切橋梁も

えちごトキめき鉄道の「大田切橋梁」(新潟県妙高市)も登録が決まりました。太田切川の深い谷を横断する鉄道橋です。明治時代の建築で、単アーチ橋でアーチ部を煉瓦積み、側壁等をブラフ積み風とするなど精緻な構造体が特徴で、我が国の鉄道創業時代の技術水準を示しています。

大田切橋梁
画像:えちごトキめき鉄道

同鉄道によりますと、上の写真の上の盛り土は約36mもあるそうです。36mの盛り土を人力で積み上げたわけで、想像もつかない大工事でしょう。当初は鋼材による架設が検討されたものの、鋼材が高額な輸入品だったことで、渓谷を埋め立てる大規模な築堤工事で行われました。

施工にあたった鹿島組(現鹿島建設)が一日当たり1000人を動員して、約600日に延べ30万人を動員したとのこと。建設事故で16人、コレラで63人の犠牲者を出しながら、明治20年に完成しました。

参考URL:えちごトキめき鉄道

群馬県中之条町の「旧太子駅ホッパー棟」(昭和19年)も選ばれました。鉱山資源を鉄道に積載するホッパー棟で、延長96mの鉄筋コンクリ-トの柱梁で構成されています。旧群馬鉄山に関連する唯一の建築遺構です。

道路橋としては、長崎市の「出島橋」(明治23年)も登録が決まりました。出島東端に架かるプラットトラス橋で、アイバーを用いたピン結合トラスに明治期のアメリカ系橋梁の特徴を示しています。わが国現存最古の供用下の鉄製道路橋としても価値があるそうです。

広告
前の記事「太川蛭子のローカル鉄道寄り道旅・箱根編」放送。運転再開で封印解除
次の記事「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第4弾が7/29放送へ。太川・村井が能登半島で激突!