「あわしまマリンパーク」が2024年2月12日をもって閉園することを発表しました。「船で渡る水族館」が姿を消します。
老朽化設備が耐えられず
あわしまマリンパークは、静岡県沼津市にある水族館です。伊豆半島三津の沖合に浮かぶ小さな島(淡島)が丸ごとリゾート施設になっていて、1963年に淡島海洋交園として開業。1984年にあわしまマリンパークに改称しました。
施設の公式SNSは1月22日、2月12日を以て閉園する旨を告知。閉園の理由は「老朽化した設備が日々の営業に耐えられなくなる日も近いため」ということです。
沖合に浮かぶ水族館
あわしまマリンパークは、伊豆半島の沖合に浮かぶ立地が特徴です。半島と島との間には、かつてはロープウェイが架設されていて、本土側の重寺(しげでら)駅と島側の淡島駅間の約330mを海上で結んでいました。
希少な海上ロープウェイでしたが、設備の老朽化で2008年8月に運行を停止。これを最後に、日本で海上ロープウェイは全て姿を消しています。
その後、島へのアクセスは船が用いられてきました。海峡部は200mほどなので、乗船時間は10分もかかりませんが、「船に乗らないと行けない水族館」として知られてきました。
アニメの聖地としても
パーク内には、展示水槽のある水族館と、イルカやペンギン、アザラシ、アシカといったプールなどの施設があります。
水族館は淡島近海の魚の展示が主で、ふれあい水槽なども設置されています。古いプールを使った釣り堀なども営業しています。
最近の目玉は「日本最大級」と銘打つカエル館。また、近年はアニメ「ラブライブ!サンシャイン」の聖地としても、親しまれてきました。
燃油費高騰も打撃か
筆者も2年ほど前に訪れたことがあります。ボートで島へ渡るのはアドベンチャー感があり、旅行気分を沸き立てます。
ただ、施設全体の老朽化は見て取れて、設備投資を手控えているのが明らかでした。昭和レトロな雰囲気を楽しめるものの、いつまで続けられるのか、と思ったものです。
最近は、インフレによる諸物価の高騰も打撃になったようです。船で渡るという立地特性上、燃油費の高騰はとくに痛手だったと思われます。
突然の閉館
近隣には伊豆・三津シーパラダイスという大規模な水族館があります。近いエリアで水族館が競合するという事情もあり、閉館という判断になったのでしょうか。
最終営業日は2月12日。三連休の最終日を以ての閉館となります。閉館まで1ヶ月を切っての発表には突然感もあり、何か事情があったのかもしれません。(鎌倉淳)