西九州新幹線、開業効果は限定的? 新幹線利用者数ランキング2023年ゴールデンウィーク版

東海道新幹線は2018年超え

JR各社から2023年ゴールデンウィークの列車利用状況が発表されました。新型コロナウイルス感染症による行動制限から解放され、各路線ともコロナ前に近い水準まで利用者が回復しました。詳細をランキング形式で見ていきましょう。

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ゴールデンウィークの利用状況

JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表します。このうち「2023年ゴールデンウィークの利用状況」がこのほど発表されました。各社の情報をまとめて、「全国新幹線利用者数」をランキングにしてみましょう。

2023年4月28日~2023年5月7日の10日間の統計です。比較として前年比と、コロナ前の2018年比を掲載しています。

西九州新幹線

新幹線利用者数ランキング2023年ゴールデンウィーク版

順位 路線名 区間 利用者数
(万人)
対前年比 対18年比
1 東海道新幹線 新横浜~静岡 356.7 126% 101%
2 山陽新幹線 新大阪~西明石 157.5 129% 96%
3 山陽新幹線 岡山~広島 116.2 128% 95%
4 東北新幹線 大宮~宇都宮 115.7 144% 88%
5 上越新幹線 大宮~高崎 108.6 129% 94%
6 東北新幹線 那須塩原~郡山 97.0 146% 89%
7 山陽新幹線 広島~新山口 79.1 126% 95%
8 山陽新幹線 新山口~小倉 72.2 127% 96%
9 山陽新幹線 小倉~博多 67.6 128% 99%
10 北陸新幹線 高崎~軽井沢 59.2 124% 96%
11 東北新幹線 古川~北上 44.2 156% 87%
12 九州新幹線 博多~熊本 31.8 138% 93%
13 北陸新幹線 上越妙高~糸魚川 29.8 123% 97%
14 上越新幹線 越後湯沢~長岡 28.7 146% 97%
15 東北新幹線 盛岡~八戸 21.0 159% 86%
16 九州新幹線 熊本~鹿児島中央 16.0 142% 91%
17 山形新幹線 福島~米沢 9.7 144% 86%
18 西九州新幹線 武雄温泉~長崎 8.4 186% 101%
19 秋田新幹線 盛岡~田沢湖 6.5 170% 81%
20 北海道新幹線 新青森~新函館北斗 6.4 180% 78%
21 山形新幹線 山形~新庄 2.5 161% 78%
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「コロナ前水準」に

2023年ゴールデンウィークは、新型コロナウイルス感染症による行動制限がほぼなくなったことで、各新幹線とも旅行者で混雑しました。

コロナ前の2018年と比べると90%前後の区間が多く、「コロナ前には及ばない」という数字にもみえます。ただ、2018年のゴールデンウィークは3連休と4連休が2日間空いて並ぶ絶好の曜日配列だったうえに、天候にも恵まれ、鉄道各社とも空前の賑わいとなっていました。

そういう条件を加味すると、2018年比で90%を超えれば、「コロナ前水準」に達したとみなしてよさそうです。

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東海道新幹線が賑わう

なかでも賑わったのが、東海道新幹線です。2018年比で100%を超えたのは、新規開業の西九州新幹線を除けば東海道新幹線のみ。既存新幹線では唯一の100%超えです。

東名阪での利用者回復が著しかった、というのが最大の理由とみられますが、コロナ禍でも乗務員と車両を維持してきたことで、十分な本数を運行できた、という側面もありそうです。

一方、対2018年比で利用者回復が鈍いのは北日本方面です。東北・北海道新幹線系統は、対前年比で140%~180%もの伸びを見せているものの、対2018年比では80%前後の回復にとどまっています。

はっきりとした理由はわかりませんが、北日本ではコロナ禍以降、全体的に人の動きが鈍っている印象があります。

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西九州新幹線は?

2022年9月に新規開業した西九州新幹線は、初めてのゴールデンウィークとなりました。利用者数は8.4万人で、山形新幹線より少なく、秋田、北海道新幹線より多い、という位置です。

対前年比で186%、対2018年比でも100%を超えていて、一見、開業効果が持続しているように感じられます。ただ、これは在来線特急時代の諫早~長崎間との比較なので、額面通りには受け取れません。

上表にはありませんが、リレー区間となる鳥栖~江北間をみてみると、前年比132%、2018年比78%となっています。したがって、博多~長崎間でみた場合、2018年比で旅客が急増しているわけではなさそうで、西九州新幹線の開業効果としては限られているように感じられます。(鎌倉淳)

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