紀州鉄道の存続に向けたあり方について話し合う協議が進んでいます。運営会社は鉄道部門について事業譲渡をする方針ですが、いまのところ、明確な情報は明らかにされていません。現状をまとめてみましょう。
専門部会を設置
紀州鉄道は和歌山県の御坊~西御坊の2.7kmを結ぶローカル私鉄です。利用者の減少などで厳しい経営状況が続いており、運営会社が鉄道事業を手放す意向を示していることから、存続が難しくなっています。
地元の御坊市では、地域公共交通活性化再生協議会で、紀州鉄道のあり方を話し合う専門部会を設置。国、県、市、学識経験者、紀州鉄道の5者で協議を開始しました。

整理と分析
専門部会は2025年12月25日に初めて開催されました。御坊市によりますと、初会合では、紀州鉄道の経営状況や、設備の維持更新に要する将来的なコストなどについて確認をおこなったそうです。
また、2026年2月5日の第2回部会では、鉄道事業として将来にわたり維持していくための形態について、客観的な整理と分析をおこったとのことです。
交渉の行方を見守る
3回目の部会は、4月13日に開かれました。御坊市からの発表はありませんが、NHKによれば、紀州鉄道側から事業を譲渡するための民間企業との交渉の進捗状況などが報告されました。御坊市は、当面、事業譲渡の交渉の行方を見守る方針とのことです。
「交渉の行方」という以上、交渉相手がいるわけで、その点では希望の持てる話です。ただ、現時点で決定した事項はありませんし、会合は非公開で行われていて、詳細もわかりません。
平日午後に乗ってみると
4月上旬の平日に紀州鉄道を訪れ、午後の列車に乗車しました。起点の御坊駅の隅っこのホームで待っていると、赤とクリームのツートンカラーの車両が入線してきました。

かつて信楽高原鉄道で走っていた車両を、2015年に譲受したものです。
数名の客を乗せてほどなく出発し、御坊市内をゆっくりと走ります。前方から見てみると、枕木の交換が進んでいて、しっかりした軌道になっています。

途中乗降も
次の学問駅で1人が下車、1名が紀伊御坊駅で下車しました。
紀伊御坊駅からは4名が乗車し、終点西御坊駅まで乗りました。うち2人は小学生で、通学のために利用しているようでした。
小学生以外の利用者は、1人が遠方からの鉄道ファンでしたが、それ以外は沿線住民のようでした。ただ、運賃の支払いを尋ねていた方もいましたので、日常的な利用者でもなさそうです。

紀伊御坊駅へ
西御坊駅から歩いて、車庫や本社のある紀伊御坊駅を訪れました。

高度成長期に建てられた立派な駅舎で、中に入ると、ちょっとした地方の拠点駅の雰囲気を感じさせます。

意外と乗っているが
待合室には、乗り慣れたような地元のサラリーマンと、中高年の家族連れがいました。数人にすぎませんが、意外と賑わっているという感想です。
サラリーマンはバス代わりのようです。家族連れはこの地域の出身者で、久しぶりに訪れたような会話を交わしています。
広々としたホームに、先ほどの折り返し列車がやってきました。

帰りも、利用者は数人です。ローカル線の平日昼間の列車としてみれば、それほど悪くはない気もしますが、距離からみても、コミュニティバスで十分代替できる利用者数です。
財政状況を踏まえて検討
御坊市長は議会で「財政状況を踏まえて存続に向けた可能性を検討する」と答弁しており、支援をする場合でも限定的な範囲にとどめる姿勢を示唆しています。
つまり、事業譲渡がまとまらなかった場合に、第三セクターや上下分離などの形で残していくことは考えていないようです。
交通機関として考えた場合、絶対的に必要な路線とまではいえませんし、市の姿勢は当然と言えば当然でしょう。
ただ、紀州鉄道は日本一短いローカル私鉄として知られていて、観光的なシンボルという価値があります。事業譲渡が決まり、地元が支援しつつ存続することを期待したいところです。(鎌倉淳)





















