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芸備線、再構築協議は3年で終わらせられるのか。JRと知事、互いに牽制

2027年春が目安だけれど

JR芸備線の再構築協議をめぐる実証事業が3年目を迎えます。目安とされている年限で、JR西日本は協議終了を視野にいれますが、広島県は期限にこだわらない姿勢をみせ、互いに牽制しています。

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備中神代~備後庄原間

芸備線の「再構築協議会」は、2023年10月に施行された改正地域公共交通活性化再生法に基づきます。

同法では、鉄道会社がローカル線の再構築協議を国に求めることができるようになりました。これを受け、JR西日本が芸備線の備中神代~備後庄原間68.5kmについて再構築協議を要請。2024年1月に第1回会合が開催され、実証事業などがおこなわれています。

再構築協議会は3年をメドとすることが定められていて、2027年春が結論を出す一つの目安となります。

芸備線

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スケジュール感で認識差

JR西日本の林秀樹岡山支社長は、2026年3月27日の記者会見で、「目安としている3年に向けてお互いが答えを出す状況が整いつつある」とし、定められている通り、2027年春に結論を出すという認識を示しました。

いっぽう、広島県の横田美香知事は、4月7日の会見で、「スケジュールありきではない」とし、期限にこだわらない姿勢を示しました。

「3年が目安とされていることは理解しているが、期間を優先して必要な実証や検討が不十分なまま結論を出すことがないように、丁寧に議論を進めていくことが必要」と釘を刺しています。

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有識者会議がとりまとめ

広島県は、芸備線の扱いに関し、国鉄分割民営化の経緯や、完全民営化の際に出された大臣指針に基づいて、JRが維持すべきという立場を貫いてきました。

2025年4月には、全国的な鉄道ネットワークのあり方について、29道府県知事の連名で、首相と国交省に対して、JRが担うべき鉄道ネットワークのあり方や、国の責任や負担のあり方を明確にすることを要望しました。

この要望に応じて、国は有識者会議として「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会(第2期)」を設置し、4月10日にとりまとめを公表しました。

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国も廃線を容認

とりまとめでは、ローカル鉄道を「基幹的鉄道ネットワークを形成する区間」と「大量輸送機関としての特性が十分に発揮できていないローカル鉄道」に分類しました。

そのうえで、前者については国の責任で維持する方針を示したいっぽう、後者については「新たな交通手段への転換といった再構築に取り組むことにより、利便性や持続可能性の高いモビリティを実現していくことが重要」としました。

芸備線の協議区間は、特急や貨物列車が運転されておらず、輸送密度も極端に低いことから、後者に該当しますので、国としても廃線を容認したと受け止められます。

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一方的に終わらせられるのか

ただ、協議後3年経った段階で、JRが一方的に協議を終わらせて、廃線の手続きに入れるかというと、なんともいえません。再構築協議会は廃止ありき、存続ありきといった前提を置かないという建前なので、3年経ったら廃止決定とも言えないからです。

とはいえ、協議区間の輸送密度は100に満たず、鉄道として残す意義が小さいことも確かで、外堀は埋められつつあるように感じられます。(鎌倉淳)

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