航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が若干値上がりします。JALが4月分より1段階引き上げることを明らかにしました。今後の見通しとあわせて見てみましょう。
4-5月分を発表
国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALは2025年4~5月発券分で、価格を引き上げることを発表しました。
燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。
JALによりますと、4-5月発券分の基準となるシンガポールケロシンは、2024年12月から2025年1月の市況価格が90.96米ドルでした。また、同期間の為替平均は1ドル155.03円でした。これを乗じた1バレルあたりの基準金額は14,103円となりました。
欧米往復66,000円
2-3月発券分は、市況価格88.60米ドル、為替151.57円、基準価格13,429円でした。この2ヵ月で燃料相場は2ドルの小幅な値上がり、為替は3円程度の円安に振れています。小幅な原油高と円安により、基準価格はやや上昇しました。
これにより、JALでは2025年4月1日発券分から燃油サーチャージの価格を値上げします。4-5月発券分のひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが33,000円に、ハワイ・インドなどが21,000円に、タイ・シンガポールなどが18,000円になります。
これは片道の金額なので、往復の場合、北米・欧州・オセアニアなどが66,000円に、ハワイ・インドなどが42,000円に、タイ・シンガポールなどが36,000円となります。
燃油価格は落ち着くも
最近の燃油サーチャージは、2024年6月から11月まで6ヶ月連続で据え置かれ、12-1月分で大幅に下落。その後はじり高になっています。
12月から1月は燃油価格が小高く推移し、年末に円安が進んだことから、燃油サーチャージは値上がりという結果になりました。
過去1年の燃油サーチャージの変化は下表の通りです。
路線 | 24年 4-5月 |
24年 6-7月 |
24年 8-9月 |
24年 10-11月 |
24-25年 12-1月 |
25年 2-3月 |
25年 4-5月 |
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北米・欧州・中東・オセアニア | 33,000 | 35,000 | 35,000 | 35,000 | 25,000 | 29,000 | 33,000 |
ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ | 21,000 | 22,500 | 22,500 | 22,500 | 16,000 | 18,500 | 21,000 |
タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ | 18,000 | 18,500 | 18,500 | 18,500 | 13,000 | 15,500 | 18,000 |
グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル | 11,000 | 12,000 | 12,000 | 12,000 | 8,000 | 9,500 | 11,000 |
東アジア(韓国、モンゴルを除く) | 8,500 | 9,200 | 9,200 | 9,200 | 6,200 | 7,400 | 8,500 |
韓国 | 3,500 | 4,000 | 4,000 | 4,000 | 2,500 | 3,000 | 3,500 |
※片道あたり、発券日基準。
適用条件「ゾーンI」に
今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の「ゾーンI」に該当します。ちょうど1年前の2024年4-5月と同ランクです。
ゾーン | 基準価格 | サーチャージ額 |
---|---|---|
A | 6,000円~7,000円 | 4,500円 |
B | 7,000円~8,000円 | 8,900円 |
C | 8,000円~9,000円 | 13,400円 |
D | 9,000円~10,000円 | 16,000円 |
E | 10,000円~11,000円 | 18,500円 |
F | 11,000円~12,000円 | 21,000円 |
G | 12,000円~13,000円 | 25,000円 |
H | 13,000円~14,000円 | 29,000円 |
I | 14,000円~15,000円 | 33,000円 |
J | 15,000円~16,000円 | 35,000円 |
K | 16,000円~17,000円 | 38,000円 |
L | 17,000円~18,000円 | 41,000円 |
M | 18,000円~19,000円 | 44,000円 |
N | 19,000円~20,000円 | 47,000円 |
O | 20,000円~21,000円 | 50,000円 |
今後の見通しは?
値上がりしたとはいえ、この1年間の燃油サーチャージ価格のレンジの範囲内といえます。
直近では、燃油価格はじり高となっています。基準となるシンガポールケロシンの市況価格は95-96米ドル程度で、今回の基準価格90.96ドルから5%程度値上がりしています。
為替相場は、2月の上旬に155円前後で推移していましたが、直近では円高に振れていて、150円を割り込んできました。今回の基準価格の151.57円と比べると、平均として大きくは変わらないでしょう。
このままの状況で推移すれば、燃油価格の上昇はあるものの、次回の基準価格も14,000円台にとどまる可能性が高そうです。その場合、燃油サーチャージのゾーンは、今回と同じ「I」のままです。欧米往復は66,000円です。
ただ、アメリカでトランプ大統領が就任したことにより、国際情勢は大きく変化しています。ウクライナの戦争も停戦の気配が出てきました。米金利の先行きは不透明で、為替の動向も見通せません。
燃油サーチャージは安定していますが、夏に向けて大きく安くなることもなさそうです。購入をお考えの方は、航空券本体の価格が安い早期に、買ってしまってもよさそうです。(鎌倉淳)