一部区間が不通となっているJR米坂線について、上下分離による、いわゆる「只見線方式」で復旧した場合、年間維持費の地元負担が最大17億円に達することが明らかになりました。
2年前に被災
JR米坂線は、2022年8月の豪雨で被災し、今泉~坂町間が不通となっています。沿線自治体とJR東日本は、「米坂線復旧検討会議」を組織し、復旧について話し合っています。
JR東日本は、これまでに、復旧案として、①JRによる運営(被災前と同様)、②上下分離、③第三セクター方式、④バス転換、の4つを示しています。ただし、同社は、復旧後に鉄道の利用者が多く見込めないことから、被災前と同じ形でJRが運営するのは難しいという姿勢も明確にしています。
したがって、鉄道で復旧するなら、②の上下分離か、③の第三セクター方式となります。②の上下分離の場合、線路設備を地元が負担して維持し、JRは運行のみを担うことになります。③の場合は、設備の維持・運行とも、地元が出資する第三セクターが担います。
最大17億円の地元負担
2024年11月19日に開催された検討会議の第4回会合では、このうち、②の上下分離をした場合の、地元負担の概算が示されました。
JR東日本よれば、線路を保有する自治体などに、年間で12億8000万円~17億円の費用負担が生じるということです。
JR東日本は、被災前の2019年度の米坂線の収支も開示。収入9800万円に対し、経費が19億4400万円に達することが示されました。
経費の多くは線路設備の維持のために使われています。そのため、上下分離をした場合に、それが地元負担になるということです。
只見線と比較しても
米坂線の復旧費用は86億円にのぼると見積もられています。上下分離による費用負担は、この復旧費用とは別の話です。
したがって、地元が米坂線を復旧して維持しようとするならば、86億円の復旧費用の何割かを負担したうえで、復旧後、毎年十数億円を負担しつづけなければなりません。
同様の状況で、費用負担を迫られた事例として、福島県の只見線があります。只見線は、費用負担に応じて復旧しましたが、年間の負担額は3億円程度です。それに比べると、米坂線の維持費は巨額です。
米坂線の沿線自治体が、「只見線方式」で復旧させられるか。厳しい局面にさしかかっています。(鎌倉淳)