上瀬谷ラインに「赤信号」。横浜シーサイドラインが参画見送り

再検討には含み

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旧上瀬谷通信施設跡地に計画されている新交通システム「上瀬谷ライン」について、運行事業者になるよう要請されていた横浜シーサイドラインが、参画を見送る方針を示しました。跡地再開発の行方が不透明ななか、上瀬谷ラインの建設に「赤信号」が灯ったといえます。

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花博輸送の交通機関

「上瀬谷ライン(仮称)」は、旧上瀬谷通信施設跡地に横浜市が計画している新交通システムで、相鉄線瀬谷駅~上瀬谷(仮称)間2.2kmを整備します。同跡地では、2027年に国際園芸博覧会(花博)が予定されていて、閉幕後に大型テーマパークなどの集客施設を建設する構想があります。上瀬谷ラインは、その主要輸送機関という位置づけです。

横浜市は、上瀬谷ラインの運行事業者として、新杉田~金沢八景間で新交通システムを運営する横浜シーサイドラインに白羽の矢を立て、事業参画を依頼していました。同社は、外部有識者会議を設けてこれを検討。その結果、2021年11月16日の会議で、「現時点で事業に参画すべきでない」という方針をまとめました。

他に事業者の候補も見当たらないことから、2027年までの上瀬谷ライン開業は困難で、計画実現に赤信号が灯ったといえます。

横浜シーサイドライン

採算性が担保されず

横浜シーサイドラインは、横浜市が63%を出資する第三セクターで、三上章彦社長は横浜市役所出身です。そうした会社が市の要請を断るというのは異例と言えば異例です。

横浜シーサイドラインは、事業参画を見送った理由として、テーマパークの事業内容や事業主体が未定であること、適切な工事期間や整備事業費が示されていないこと、採算性や継続性が見込めないこと、リスクにより金沢シーサイドライン事業に影響が及ぶ可能性があること、などを上げています。

最初の「テーマパークの事業内容や事業主体が未定」に尽きる話で、それが明確にならないと、採算性が担保されない、ということです。

旧上瀬谷通信施設跡地の再開発計画が固まっていない状況で、新交通システムを作る判断だけを先行するというのは、どう考えても無理な話ですから、収まるべき方向に収まったといえるでしょう。

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再検討の可能性も

ただ、横浜シーサイドラインは、事業参画見送りについて「現時点の判断」とし、再検討については否定しませんでした。十分な工期があり、路線延伸やテーマパーク構想が具体化した場合、需要予測をしたうえで参画する可能性を示したともいえます。

上瀬谷ラインは8両対応の施設で計画されていて、瀬谷~上瀬谷間2kmあまりの路線としてはオーバースペックです。横浜線十日市場駅や長津田駅などへの延伸が想定されているのは明らかですが、そこに触れずに「テーマパーク」を錦の御旗として事業化を急いだことが、無理な計画につながったようにも思えます。

公共事業は一度動き出すとなかなか止まらないので、立ち止まるべき時に立ち止まれたことは幸いです。今後、延伸計画をきちんと詰めたうえで、テーマパーク構想の帰結も見定めてから、再検討をするのが望ましいでしょう。(鎌倉淳)

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