羽田空港発着の国内線で、2025年度の座席利用率の低い路線をランキングにしてみました。政策的に維持されている地方路線の利用率は低めで、能登線、大館線は50%台にとどまりました。また、新幹線並行路線では、富山空港が70%と苦戦しています。
航空輸送統計年報
国土交通省では航空輸送統計年報で、国内航空路線の旅客数や座席利用率を公表しています。最新の2025年度の旅客総数は1億1250万人と過去最高を記録。座席利用率の平均は83.4%で、こちらも近年では最高の利用率となっています。
このうち、羽田発着路線で座席利用率が80%未満の路線をランキングにしてみました。

羽田路線「低利用率」ランキング2025年版
順位 区間 座席利用率 旅客数(人)
01 羽田―能登* 53.3% 128,724
02 羽田―大館能代* 58.7% 194,763
03 羽田―八丈島* 60.9% 197,047
04 羽田―紋別* 62.7% 74,425
05 羽田―石見* 64.6% 146,026
06 羽田―南紀白浜* 67.4% 239,026
07 羽田―庄内* 67.6% 367,575
08 羽田―富山* 70.0% 248,988
09 羽田―稚内* 70.6% 115,550
10 羽田―鳥取* 72.0% 418,409
11 羽田―中標津* 72.2% 96,399
12 羽田―米子 72.3% 625,139
13 羽田―佐賀* 73.7% 475,288
14 羽田―北九州 74.5% 1,097,566
15 羽田―中部* 74.7% 259,326
16 羽田―久米島* 74.8% 15,928
17 羽田―岩国 75.5% 449,029
17 羽田―小松 75.5% 823,646
19 羽田―岡山 75.9% 962,868
20 羽田―三沢* 76.1% 279,735
21 羽田―大分 76.4% 1,318,758
22 羽田―秋田 76.5% 775,515
23 羽田―長崎 76.6% 1,897,012
24 羽田―宮崎 77.0% 1,524,781
25 羽田―広島 77.2% 1,888,858
26 羽田―鹿児島 77.4% 2,557,243
27 羽田―徳島 77.8% 964,104
27 羽田―青森 77.8% 580,946
29 羽田―熊本 78.8% 2,103,080
30 羽田―関西 78.9% 1,252,763
30 羽田―松山 78.9% 1,668,307
32 羽田―山口宇部 79.4% 850,297
33 羽田―高松 79.6% 1,320,900
34 羽田―神戸 79.7% 864,680
34 羽田―出雲 79.7% 691,678
*は「1便、3便ルール」適用路線
60%台以下は7路線
もっとも低搭乗率の路線は、羽田~能登線の53.3%でした。ANAが1日2往復しています。2位が羽田~大館能代線の58.7%です。ANAが1日3往復しています。
つづいて、八丈島線、紋別線、石見線、南紀白浜線、庄内線が60%台となっています。60%台以下は、この7路線です。
政策的に路線を維持
一般論としていえば、60%台の座席利用率の路線は収益性が厳しく、減便対象になってもおかしくはありません。
しかし、ここまでの路線は、首都東京へのアクセスを確保するため、政策的に羽田発着の航空路が維持されている側面があります。
具体的には、羽田空港のいわゆる「1便・3便ルール」によって発着枠の転用が制限されています。今回のランキング10位までの路線は、すべて「1便・3便ルール」の対象路線です。
鳥取は1日5便ですが、権益外便と政策コンテスト枠を活用した便が含まれているため、「3便ルール」の対象になっています。
1便・3便ルールとは
「1便・3便ルール」を簡単に説明しておきます。
「1便ルール」とは、減便した場合に1便未満(廃止)となる場合には、当該発着枠を国が回収し、当該路線で別の運航会社を募集するルールです。
過去にはANAが廃止した羽田~山形線の枠に対し、JAS(当時)が応募した例があります。以後、羽田~山形線は、JASを継承したJALが運航しています。
「3便ルール」とは、1日3便以下の路線を減便する際には、他の3便以下の路線にのみ転用できるルールです。過去には、ANAが羽田~大島線の2便を1便に減便し、羽田~佐賀線(2便)を増便した例などがあります。
下図は、近年の「1便・3便ルール」対象路線の変遷です。

1便、3便ルールの対象路線
現在の「1便、3便ルール」対象路線の座席利用率は以下の通りです。
羽田~稚内 70.6%
羽田~紋別 62.7%
羽田~中標津 72.2%
羽田~三沢 76.1%
羽田~大館能代 58.7%
羽田~庄内 67.6%
羽田~山形 81.1%
羽田~八丈島 60.9%
羽田~富山 70.0%
羽田~能登 53.3%
羽田~中部 74.7%
羽田~南紀白浜 67.4%
羽田~鳥取 72.0%
羽田~奄美大島 82.5%
羽田~佐賀 73.7%
羽田~石見 64.6%
羽田~久米島 74.8%
羽田~宮古 81.0%
奄美大島線、山形線、宮古線は80%を超えて堅調ですが、多くの路線は75%以下にとどまっています。「1便・3便ルール」がなければ、航空会社が減便して、枠を収益性の高い路線に振り向けても不思議ではないでしょう。このルールが、地方路線の維持に一定の役割を果たしていることがわかります。
なお、3便路線が増便となった場合、3便ルールの対象から外れます。過去には石垣線が対象から外れた例があります。現状で利用率が高い3路線のうち、3便運航の宮古線が増便された場合、「3便ルール」から外れることになります。
新幹線並行路線は?
ランキングに戻ります。最近の国内線で苦戦が伝えられているのは、新幹線並行路線です。座席利用率の面で見ると、とくに厳しいのが富山線(70.0%)でしょう。
そのほか、小松線(75.5%)、岩国線(75.5%)、岡山線(75.9%)、秋田線(76.5%)、広島線(77.2%)、青森線(77.8%)などが低めです。
新幹線並行路線は単価を高く設定しづらい点が問題とされています。そのうえで、座席利用率が低い路線は、収益性からみて厳しいことがうかがえます。
富山空港が「富山高山すし空港」という異例の命名に踏み切ったのも、羽田~富山線の利用率が低いため、なりふりかまっていられないから、という事情がありそうです。(鎌倉淳)





















