JALは、米国の航空機メーカーJetZeroと、次世代旅客機「Z4」の開発で協業すると発表しました。JetZeroは、翼と胴体を一体化した「ブレンデッド・ウイング・ボディ(BWB)」機の実用化を目指す新興メーカーです。JALは開発の初期段階から運航や整備の知見を提供し、2030年代初頭の実用化を目指します。
米新興メーカーJetZeroとは
協業相手となるJetZeroは、2021年設立の米国航空宇宙ベンチャーです。
航空業界では、ボーイングとエアバスの2社が大型旅客機市場をほぼ独占していますが、JetZeroはこれまでとは異なる機体形状を採用することで、その構図に挑戦しています。
同社が開発する「Z4」は、翼と胴体が滑らかにつながる「ブレンデッド・ウイング・ボディ(BWB)」を採用した中型旅客機です。従来のような円筒形の胴体ではなく、機体全体で揚力を発生させることで空気抵抗を減らし、大幅な燃費向上を実現することを目指しています。
米空軍から実証機開発の支援を受けるなど、将来性が期待されるスタートアップの一社として注目を集めています。

燃費30~50%改善を目指す
Z4は標準250席、航続距離約9300kmの中型機として開発が進められています。東京から米国西海岸北部まで飛行できる性能を想定しています。
最大の特徴は燃費性能です。現行の中型旅客機と比べて30~50%の燃費改善を目標としており、CO2排出量や運航コストの大幅な削減が期待されています。
また、客室は従来機より広い空間を確保できるほか、独特な機体形状でありながら既存の搭乗橋や駐機場を利用できる設計とし、新たな空港インフラ整備を最小限に抑える考えです。
JALは設計段階から参画
JALは機体を発注したわけではなく、開発パートナーとして参画します。
運航や客室サービス、整備、グランドハンドリングのノウハウを設計段階から提供し、航空会社の立場から実用性を高める役割を担います。
さらに、BWB機を既存空港でどのように運用するかや、就航後のMRO(整備・修理・オーバーホール)体制についても共同で検討します。
JALは、高効率で環境負荷の小さい航空機への需要が高まるなか、中長期的な機材戦略の一環として、Z4を将来の有力な選択肢と位置付けています。
航空機の姿が変わる可能性も
BWBは航空工学の世界では古くから研究されてきたコンセプトですが、民間の大型旅客機として実用化された例はありません。
現在の旅客機はボーイング787やエアバスA350に代表される「筒状の胴体に翼を取り付けた」形状が標準となっています。一方、BWBは機体全体で揚力を生み出すため、燃費性能では大きな優位性が期待されています。
実用化へのハードルは、安全性の実証や型式証明、客室レイアウト、非常脱出性能など数多く残されています。しかし、これらをクリアできれば、航空機の基本形を変える技術革新となる可能性があります。
JALが設計初期から参画したことは、単なる新型機の導入検討ではなく、将来の航空機開発に日本の航空会社が関わるという点で、大きな意味を持つ発表といえそうです。




















