JR横須賀線・湘南新宿ラインの武蔵小杉駅で、ホーム増設と新改札口の設置が発表されました。供用開始は2023年度の予定。武蔵小杉駅の混雑は解消するのでしょうか。
ホームと改札口を増設
川崎市とJR東日本は、2018年7月17日、JR横須賀線・湘南新宿ラインの武蔵小杉駅ホームを増設するとともに、新しい改札口を設置すると発表しました。
現在の同線武蔵小杉駅は、1面2線の島式ホームです。新たに東側へ下り線専用ホームを増設し、2面2線に変更します。現在のホームは上り線専用となります。新ホーム用地はJR東日本が所有者のNECから買収します。
想定外の利用者数
JR横須賀線・湘南新宿ラインに武蔵小杉駅が設置されたのは2010年。駅周辺の大規模再開発を見据えたもので、これまで東急東横線と南武線しかなかった武蔵小杉駅が、東京駅や品川駅と直接結ばれることになりました。
駅前にタワーマンションが次々と建設され、周辺人口は急増。東横線や南武線からの乗り換え客も増え、横須賀線・湘南新宿ラインの利用者は想定以上に膨らみました。JR武蔵小杉駅の乗車人数は、南武線のみの2009年度は1日約76,000人でしたが、横須賀線開業後の2010年度には約99,000人に増え、2017年度は約129,000人に達しています。
駅開業が決まった2005年時点では、1日9万人の利用者を想定していたそうですが、実際はそれを大幅に上回る利用者数となったわけです。
東横線乗り換えは3ルートに
想定外の利用者数のため、武蔵小杉駅ではラッシュ時に大混雑が発生。対応策として、JRでは、南武線ホームの拡幅や、臨時改札口の設置などをしてきましたが、混雑は収まっていません。そこで、今回のホーム増設に至ったわけです。
ホーム増設後、東京寄りに新改札口も設置されます。これにより、東急線からの乗り換えルートが、駅構内を通るルートと、いったん改札外に出る2ルートの計3ルートに増えます。東横線からの乗り換え客の利便性は高まりますし、近隣住民にも便利になるでしょう。
混雑率196%
ただ、これで武蔵小杉駅の混雑が解消されるかといえば、疑問も残ります。横須賀線・湘南新宿ラインの武蔵小杉~西大井間の混雑率は2017年度で196%。前年度より5%も上がり、首都圏ワースト3位となりました。この混雑を緩和しなければ、武蔵小杉駅でスムーズな乗降ができません。
抜本的な解決策は増発ですが、この区間では、すでに朝7時台に16本の列車を運行。線路容量は限界に近くなっていて、増発は容易ではありません。
さらなる乗り換え駅に
新たな混雑要因もあります。2019年度に開始される相鉄線との相互乗り入れです。
相鉄線直通列車は新宿方面に乗り入れる予定で、羽沢横浜国大駅の次の停車駅が武蔵小杉駅です。したがって、相鉄線から東京駅方面の利用者は、武蔵小杉駅または西大井駅で乗り換えます。混雑している武蔵小杉駅が、さらなる乗り換え駅になるわけです。
その乗り換え客は、当然、武蔵小杉駅ホームに降り立つわけです。今回のホーム増設は、そうした利用者増も想定しているのでしょう。
近隣ではさらなるタワーマンションの建設も進んでいます。2023年度にホーム容量が増えれば、改札口への入場行列は減ることでしょう。しかし、線路容量が変わらずに、利用者が増えるのであれば、混雑が抜本的に解消するのは難しそうです。(鎌倉淳)